物流・共同化を考える。

物流の共同化を物流変革のキーワードにしたいものです。
物流は今、労働力、エネルギー、土地、交通インフラ、環境問題…、いずれの点から見ても、多岐の課題が次から次へと現れ、極めて難しい
時代にあると思います。
例えば、商流・商取引(商慣習)、商品荷姿とマテハン、商品コード体系、共同保管、庫内オペレーション、共同配送(車両の有効活用&車両
の改造)、定時・定ルート配送、保証検品、受発注単位、輸送荷姿、保管荷姿、作業単位荷姿、投資負担・作業料率、etcなどの実務・実
地面からみると、よりよい変革(構造)が必要とされています。
よりよい変革は、これまでの物流の「基本的な枠組み」を変えることしかありません。
その枠組みを変える一つの方策として、幾つものパターンの実務ベースの物流共同化の経験から、物流の共同化がベター(ベストにはならない
?)だと考えています。
物流の共同化は、物流の変革のキーワードとなるはずです。(・・・したいものです。)
物流共同化の事例
実務・実地で経験した物流共同化の事例などを5ツほど、ご紹介します。
物流の共同化を目指している方、目指そうとしている企業のご参考になれば幸いです。
●事例パターン1・・・拠点を持たない集荷型共同配送(セメント卸5社)●
集荷型共同配送、またはトラックターミナル型共同物流(配送)のパターン。
A県にあるセメント卸5社が顧客からの受注後の袋モノセメントを組合経由で納品先&納品現場に最も近いエリア内にあるSS(系列を意識
しない)に一括発注、SSに近い地域運送業者に納品を委託・・・コスト削減効果は、年間 26,400千円(輸送費のみ試算)が見込まれた。
今後、袋モノの経験をベースに「生コン、二次製品、トンパック、土壌改良品、etc」を検討、逐次拡大していく予定。

●事例パターン2・・・TC(スル−センター)型共同物流(地域配送主体の異業種卸4組合)●
卸4組合は、重量・長大な特殊貨物をはじめ、一般の管工機材、機械器具、鋲螺、建設機械器具の輸配送を中心に保管、物流加工、グローバ
ル物流サービスなど、顧客の多様なニーズに合わせた4業種・4組合の新しい「総合物流サービス」の提供を検討。

●事例パターン3・・・TC(スルー)+DC(共同保管)型のドラック系一括(共配)物流●
多店舗展開(開発時124店舗)の商品を納品センターに在庫していない商品(TC)と在庫している商品(DC)を一緒に短時間で方面・コ
ース別、顧客別に集約・仕分け後、スキャン検品を行い、各店舗への一括配送で煩雑・錯綜していた店舗納品の改善を実現した。

●事例パターン4・・・在庫保管型・共同物流●
化粧品・日用雑貨の複数の地域卸が共同で商品の荷役、保管、流通加工作業、配送などに取り組んだ共同物流センターの事例をご紹介します。
当初、地域卸4社は、物流(倉庫)拠点9か所を所有していたが、物流の共同化で拠点を1ヵ所に集約、その後、装飾品・菓子食品・家庭雑貨
(TC)、メーカー在庫、コンビニ在庫などを受入、取り扱い量を増やしていった。(年商約280億円)1つの業界同士で物流は共同、営業は
競合、商物分離で事業活動に専念、さらに卸4社が商品管理、受発注(仕入管理)、在庫管理(コントロール)などを担当する協同組合を設立
庫内物流作業は、関連企業との出資で物流作業会社を設立、輸配送は総合物流企業に委託、第3者の立場で物流作業を管理・運営していた事
例を参考までにご紹介しておきます。

●事例パターン5・・・帰り荷を交換する共配化(鋼材と自動車部品)●
化粧品・日用雑貨の複数の地域卸が共同で商品の荷役、保管、流通加工作業、配送などに取り組んだ共同物流センターの事例をご紹介します。
コイルと自動車部品を同じ車両で輸送できる電動フルオープン型の併用車両(最大積載量22〜25トン)を共同開発、京浜地区の製鉄所と神奈川
県の自動車メーカーが栃木県、静岡県の鋼材納入先、自動車部品メーカーとそれぞれ相互共同輸送(30台/日)を展開、年間効果3,100トン
のCO2の削減をはかっている。

物流・共同化の必要性(背景)
物流共同化についての必要性(関心度)を感じている企業が30〜40%、その関心の高さにあらためて驚きました。
参考:物流共同化の関心度合い
企業の成長の持続に何が必要なのかを戦略的に考える時代が訪れています。
物流に携わる企業や部門が成長実現を目指すものとして「規模の重要性」は揺るぎません。
規模を求めてるだけではありませんが、新聞、雑誌、インターネット、etcの報道によると、特に物流企業の提携、合併が日常茶飯事(報
道)で行われています。
物流企業や物流部門に問われているのは、規模を追求しながら独自の収益モデルを築く「力」だと思います。
規模だけでなく物流企業として、資源高、デフレの風圧下で収益を生む仕組みづくり、技術、品質を含めた総合力を持ち、追いかけて来る同
業他社よりも速く走れる企業体質が必要と考えます。
競争の土俵をどこに探すか、規模と技術と品質を収益源と位置付け、その進化の速度を上げ、より良き連鎖を個々の物流企業(及び物流部門)
の枠を超え、事業活動を広げる手段の一つとしての物流の共同化の必要性を考えてみたいと思います。
海外進出、輸入増大、インターネット、環境対応、高齢化社会、人口減などの背景を抱えて、従来の消費増大・発展を前提に「それ行けドン
ドン」の環境が一変、これからは、日本企業の全業種・業態に前述の如く、社会の変革(構造)に会わせた物流企業づくり!基本的な枠組みを
変えるような物流の変革(構造)が求められています。
そこで基本的な枠組みを変えるような物流の変革(構造)を物流の共同化に求めて行きたいと考えています。
経産省・国交省もアジア地域との競争力強化のため、日本の物流力の水準向上と環境対応(京都議定書)などを柱に高い水準の「物流品質、物
流コストの低減、スピ−ド納品、IT化」などの要請を強めており、新たな方向へ向かっています。

物流・共同化の狙い!

物流をコアコンピタンス(強い機能)にしている企業の基盤強化を狙います。
物流共同化で、個々の企業では、負担が多すぎる物流施設の近代化、情報システムの共同化、物流拠点の集約化、顧客指向などで企業基盤の
強化(物流品質の向上、物流コストの低減、納品のスピードアッ プ、etc)の実現を目指したいものです。
 1)物流共同化で、得意分野を強化、足りない所の補完を狙います。
 2)複数企業の類似ビジネスモデルで投資コスト(ローコスト・・・。)を分担しあいWMSなどの共同開発を狙います。
 3)事業者同士の連携で共同化のメリットを狙います。
       @荷物や車両の融通・・・共同配送・共同保管、荷姿の標準化などの連携
       A情報の共同化・・・EDIの推進・導入、受発注、情報(WMS)の武装などの連携
       B中小・小売業との連携・・・小売り納品センタ−、異業種間連携など
 4)スケールを活かす庫内物流作業(共同物流事業)の標準化、物流オペレーションの共同化による作業コストの低減、品質・精度、サービ
       ス性の向上、など、更に、物流共同化で、省エネルギーの効果を狙います。
 5)輸配送車両の効率的な活用、及び車両台数の削減。
       @参加企業の共配化(配達・集荷)、帰り便の利用(車両有効活用・台数の削減)
       A参加企業の納品商品を配送エリアとルートを集約化することにより、共同配送・共同集荷(混載、積載率の向上、走行延べ距離の短縮)
       による車両台数の削減。
       B社会的エネルギーの削減。
       分散化している企業の輸・配送業務を集約化し、共同配送を実現することにより、従来の使用エネルギーの削減が見込まれます。


物流共同化のスタイル(物流共同化とは!)

前述(◆参考:物流共同化の関心度合い)の如く、物流の共同化を目指しておられる企業や組織、団体が沢山ありますが、共同物流を検討する
出発点は、荷主主体、物流専業者主体、機能主体、発荷主・着荷主主体、etcと色々と挙げられます。
そこで、物流共同化の目的、狙いからどのような実施スタイルが参加企業にとって必要とする変革、成果を享受できるのかを判断することが最
も重要です。
やみくもに物流共同化を実施したいではなく、目的、狙いからどのような自社の物流のスタイルを考え、参加企業を募ったり、自社の目指す物
流共同化のスタイルに近い共同化推進組織を探し出し、加わることだと思います。
新しい共同化のスタイルを指向するのも変革の時代として重要だと考えます。
参考までに、物流共同化のスタイルの具体例を下記にご紹介します。


成功する物流共同化の取り組みの考え方(&留意事項!)
1)先ず、自社の物流を知ること。
      @物流は泥臭く多岐に渡る様々なものが多い、先ず、自社の物流を知り、他社の物流を知ること、鉄則!
      A物流業務を核に経営資源の選択と集中を考える。
      B各社の物流条件をまず把握・見直しなど調整する。
         従来の取引慣行(取引口座、納品&サービス条件、在庫水準、etc)など。
2)参加意識の有る企業から始める。
      @総論賛成、各論反対が物流共同化の実践にはつきもの、企業変革の意識の高い企業、同一・共通の目的、目標を持った小数精鋭の企業
         に絞って取り組むのが肝要と考えます。
      A多種多様の意見を持つ沢山の企業を対象に共同物流に取り組むのは難しい。
3)実現性が高く成果が得やすい共同化から取り組んでいきます。
      @成果を確実に上げた段階で、次のステップの共同化に進むことが重要(成功のポイント)です。
      A従って、スタートの取り組みは、「穏やかな共同化」から始めたい!
      B取り組む共同化事業は、「実現の可能性が高い」「共同化のメリットが享受し易い」部分から着手し、早期に共同化事業を立ち上げ、
         効果を確実にした段階で、次のステップに進むことが成功のポイントと考えます。
4)強力なリーダーシップ(企業&個々人)が必要・・・旗振り役や推進組織がしっかりしていないと進まず、途中頓挫してしまいます。
      @リーダー企業
         共同物流に適した荷量が確保できる企業が望ましい。
      A個々人のリーダーシップ
         利害を乗り越え共同事業の策定、共同化内部の組織固め種々雑多な意見調整等々の「強力な牽引力の発揮」が出来る人材が望ましい。
5)物流共同化は、「公平、公正」と「犠牲・妥協」を旨とすることが必要です。
      @特に投資負担、運用費(作業料率)、などに気遣いを持つことが肝要です。
         投資負荷の小さい事業展開を心掛けることが信頼関係醸成の第一歩です。
      A極力早めに作業コスト負担の在り方を整理すること。
         例えば、共同化への参加責任負担(均等割り負担)、企業規模による負担(差等割負担)、作業費負担など。
      B機密保持の範囲の明確化
6)物流情報システムの共有化・武装化
         複数企業の類似ビジネスモデルを構築、開発WMSの要件を同一にし1社では負担の大きい開発コストを共同開発で極少化を狙います。
      @質の高いWMS(物流現場管理システム)の共同開発
      A参加企業とのデータの標準化、規格化、EDI普及促進(仕入先、納品先、etc)
      B参加企業とのデータインターフェイス
7)物流力のある物流事業者との提携
      @立地条件を加味した物流拠点の確保
      Aアウトソーシング(&3PL)事業者との連携
      B共同化参加企業と物流事業者との物流子会社などの設立

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