平成17年に白鴎中が最初に都立一貫校になりました。試行問題発表時から、ニュースになり、受験生、保護者の好奇の目に晒されながらの最初の適性問題担当校。大変な役割を担い、関係された方々は本当に大変でしたでしょう。お察し申し上げます。
 ニュースというものは過ぎ去ってみるとあの騒ぎは何だったのかということがしばしば。内容は、今振り返るとこんな問題でよかったのですか?というほど易しい。難し目から出発すると後がやりにくくなりますからそれは戦略として当然のことでした。
 参考にされる立場の学校は常に後続に抜かれる心配を抱えながら進みます。都内最初の公立中という栄光のもと、出題内容は10年にわたり常に衆目にさらされ、トップランナーを守ってきたわけです。では先行した学校は競馬のように逃げ切れるかと思いきや、後続の学校の出題との傾向性、出来具合、受験生の感触等、収まるべき着地点があるようでないまま10年推移したように感じます。簡単に申しますと、若干息切れ感あり・・・
 そのせいなのか、平成27年からの共同問題移行時に作文系を除く適性問題で独自色を出さない選択(立川国際・南多摩ともども、共同問題全面採用)をしました。当方はこの選択は失敗だったと思っております。なーんだ、積極的ではない!そう感じました。
 学校側もそう思われたようで、平成30年2月入試から適性問題3を追加しました。同時に検定試験等を参考にする特別選考も廃止しました。この2つの出来事により「最初の都立中」らしさが失われましたが、都立中どうしでの序列化にあらがうにはこの選択しかない。
 今となっては都立10校の東北端の1校。身軽になったのですから、再度独自色ある、人をうならせるような出題を目指しませんか?がんばれ白鴎中!えらそうな発言、ごめんなさい。     初稿 2017/7/21 二稿 2018/9/22
  1 白鴎中 2005(H17) 台場から始めるしりとり/31音で果物を読み秋を表す/ものをはかる道具を次々に/8枚の金貨で・・・
2 白鴎中 2006(H18) カボチャで俳句/稚内・母島・那覇の日の出時間は?/25年間の電力使用量の推移/16ますゲーム
3 白鴎中 2007(H19) 不忍池に飛来するカモの数/パンダを暗号に!/高値の天然ガスをなぜ使う?/サイコロで熟語
4 白鴎中 2008(H20) 東京マラソンで一位とすれ違う/ローマ数字で1964は?/桜の開花/四字熟語で短文/部首でゲーム
5 白鴎中 2009(H21) 東京都の島々を調べると/出ました!分数÷分数の計算と理由。/日本に来る外国人数の変化
6 白鴎中 2010(H22) 路面電車・地下鉄・バスの輸送人員変化を知ろう!/伊能忠敬は旅に出る前に歩く練習をした!
7 白鴎中 2011(H23) 夏休みの家族旅行計画を作る。2班の秋の遠足計画−まっすぐ行くより戻った方が!
8 白鴎中 2012(H24) 東京スカイツリーの影/千代田区が23区の中心のわけ!
9 白鴎中 2013(H25) 虹はなぜ赤、だいだい、黄色、緑、青、あい、むらさきの順に見えるのか
10 白鴎中 2014(H26) 夏休みの自由研究2題。打ち水をするとなぜ涼しくなる?/自転車の利用の実態 平凡
11 共同 2015(H27) 共同問題のみ
12 共同 2016(H28) 共同問題のみ
13 共同 2017(H29) 共同問題のみ
14 白鴎中 2018(H30) 為替の問題。既出!/ピックの定理で面積を出す!立体図形にまで踏み込む/赤白得点ゲームを推理する。
 
 台場から始まるしりとり/31音で果物を読み秋を表す。/ものをはかる道具をあげる/8枚の金貨で・・
2017・11・6(月)
 適性検査2   10題あります。記念すべき都立中最初の正式な適性問題です。今振り返ると、こんな問題でよかったのですかというほど易しい。驚きのスタートでした。
 1  
 問 「台場」から始まる二字の漢字しりとり遊び。間に漢字2文字の言葉を3つ以上入れて最後が「都会」で終わればよい。次に間で答えた言葉から3つ選んで意味のとおる文を作る。エッ、それでいいのですか、というレベルの問題。
 2  
 問1 「輸入されているくだものが東京青果市場に入ってくる時期を月単位で表した」資料を見て、資料からわかることを、市場に入ってくる時期に注目して3つ書く。グレープフルーツ(アメリカ)、グレープフルーツ(南アメリカ)、レモン(アメリカ)、ハニーデューメロン(アメリカ)、ハニーデューメロン(メキシコ)、バナナ(フィリピン)、マンゴー(オーストラリア)、アボカド(メキシコ)、マンゴスチン(タイ)の8種類。一年中来るのがレモン、バナナ、アボカド。季節で産地が違うのがグレープフルーツ、ハニーデューメロン、一定の時期しか入荷しないのがマンゴーとマンゴスチン。この3つがわかることですね。
 問2 秋に実るくだものを1つとりあげ、短歌のように31音で秋らしい様子を表せという問題。これがここから10年ほど続く白?中のある意味での名物問題の始まりです。
 3   発ぽうスチロールに関する問題。
 問 身のまわりの発ぽうスチロールが使われているものを2つあげ、それらが使われているのが発ぽうスチロールのどういう性質によるかを書く。
 
 4   身のまわりで長さや重さ以外をはかる道具を思い出し、その道具の名前と何をはかる道具か、単位は何かを例にならって3種類書く。
 問1 いくらでもありそうですが、とっさにでない生徒さんもいたのかな・・・模範解答では、メスシリンダー・体積・ml。温度計・温度・℃。ストップウォッチ・時間・秒。があがっていました。まだまだありますね。湿度計・湿度・%。自動車のスピードメーター・速さ・時速。電圧計・電圧・ボルト。電流計・電流・アンペア。血圧計・血圧・mmHg。あれ、もう思いつかない!人のことは言えない・・・単位が同じグループをはずすと出ないものですね。
 問2 8枚の金貨の中に1枚だけ軽い金貨がある。てんびんを使ったなるべくよい方法を考えて、その方法をわかりやすく説明し、その方法の良い点は何かを書く。
   生徒さんたち、どこかで読んだり聞いたりした問題でしたね。この問題で最初の白?中の適性テスト問題はおしまい!平成29年(2017年)から振り返ると、何と素朴な問題だったことか!
   その前の年に「試行問題」というのが発表され、白?中の説明会から始まり、塾の予想問題等で盛んに分析されましたが、分析の多くは「江戸時代だ!」江戸の文化だ!」「東海道五十三次の旅の日数だ!」「金と銀の交換比率だ!」「江戸の時間の数え方だ!」・・・などミニ江戸文化問題だらけだった記憶があります。
   しかたないことでしたが、後から振り返るとあちらこちらで後にばらばらに出題されましたから、間違ってはいませんでしたね。まあ、この時評も含め、評論、予想のたぐいは「当たらずといえども遠からず」または、「遠からずと言えども、あたらず」ですからね。どなたかのブログに「都立中予想が当たった!ということは、他の9校でははずれたということです」という名言がありましたね。
 
 カボチャで俳句/稚内・母島・那覇の日の出時間は?/25年間の電力使用量の推移/16ますゲーム
2017・11・5(日)
 適性検査2   6問あります。
 1   「 どつしりと 尻を据えたる 南瓜かな 」 という、夏目漱石の俳句をきっかけにして、
 問1 カボチャという野菜の特徴はどのような点にあるか。
 問2 野菜の特徴を夏目漱石の俳句を参考にして、五・七・五の十七音で表現する。
  前年はくだもので、三十一音でした。つまり、今年は野菜で十七音。
 2   北海道の稚内と小笠原諸島の母島と、沖縄の那覇で春分・夏至・秋分・冬至の日の日の出・日の入りの時間を記録した資料1を表示。私立中入試問題を記述形式化した問題ですね。
 問 @ 日の出時刻と日の入り時刻について、どのような法則性が考えられるか。東西と南北のそれぞれの場合について答える。
   A 日の出から日の入りまでの時間の長さについてどのような法則性が考えられるか。箇条書きで2つ以上書く。
   
 3   真夏の1日の電気の使われ方の移り変わりをグラフ化した資料1を表示。1975年7月から2001年7月24日まで26年間を5年または10年間隔でほぼ同じ時期に記録した、まる1日24時間の記録(2003年−2004年版)。驚くほど波形が一致しています。おそらく高校野球中継などの不確定変動要因を除いて標準的な夏のある1日を選んでグラフに採用しているのでしょう。  
次に気がつくことは、じりじりと増加しているのです。どの時点でも波形は午前6時ごろが最低で午前中ぐんぐん増加し、昼休み前から直後あたりまでいったん下がり、14時すぎに最高になっています。電力の使用はこういう波形なのか、と納得できます。
   1975年(昭和50年)と2001年(平成13年)では午後2時時点での使用量73百万kwが183百万kwとは2.5倍の増加量。なお、この統計資料の出所が「原子力・エネルギー」図面集2003−2004より作成であることに小さな驚き!平成18年の問題ですから、2011年3月11日(平成23年)より前の問題なのかー・・・という感慨も続き、複雑な思いになりました。感慨ついでに調べますと、同じ統計資料の2016年版があり、大震災の翌年の2012年7月27日では、159百万kw。最新の2014年7月25日では171百万kwです。大震災のショックの翌年の落ち込みと今のまた戻りようも知りました。
 問1 電力の使われ方についてわかることを2つ書け。またその原因として考えられることも書け、という出題。年ごとに増えていることと午後2時ごろがピークだということですね。原因は製造業その他の企業でも、家庭でも電気使用量が年々増えていること、夏の1日で午後2時といえばクーラーの使用量が年々増加していることを書けばいいのですよね。この5年後に想定外の大節電キャンペーンになるとは夢のまた夢。
 問2 電気については「電力料金を値上げする」という方法で使用量を減らす効果があるかという質問。もしこの方法を用いた場合、どのような問題点があるかについても書く。
   現実には電力料金は値上がりしたのでした。ただし、因果関係が逆でしたね。原子力が使えなくなったことが先、その賠償金の上乗せ。石油火力に頼らざるを得ないことから来る燃料費の高騰分の上乗せ。何とも皮肉な結末です。白?中が開校して13年。いろいろなことがあったのでしたねー。
 
 4   16ますパズルゲームを解く手順を書く問題。懐かしい問題です。昔さんざんしましたよ!16ますゲーム。そこに四字熟語を並べ直して一列にする問題を混ぜましたね。書くのが手間です。問題が難しいのではありません。
 
 不忍池に飛来するカモの数/パンダを暗号に!/高値の天然ガスをなぜ使う?/サイコロで熟語
2017・10・29(日)
 適性検査2   2017・10・29(日)
 1   理・国 清澄庭園、葛西臨海公園、多摩川で7月、10月、1月、4月に観察された「カモの仲間の数」を調べた資料1とよく見られる野鳥の資料2を紹介。
 @ 資料1を見て、不忍池に飛来するカルガモが他のカモと違う特徴を書く。
   A 資料2から季節が変わると野鳥の数や種類がどのように変化するか、読み取れることを二つ書く。平成21年の南多摩中適性問題でも高尾山に飛来する鳥の話がありましたね。東京の東の端と西の端、因縁かもしれません。鳥つながりで将来のライバルになるといいですね。
 問2 ユリカモメ・コアジサシ・ツバメ・ツグミ・スズメ・カラスから一つ選び、動きや生活の様子などの特徴を短歌にする。ふーん。ここで短歌ですか・・・
 2  
 問1・2 算・国 小学6年生の愛ちゃんの出した、(4、5)(2,2)(5,5)(2,1)(5,4)という暗号を読み解く。ヒントがあるので、すぐ、ひらがなの50音図を暗号にしたとわかる。問題は、パンダを暗号化するさらなる工夫を考えて書く。
 問3 クイズです。すぐわかります。調べて見ると、大人の入場料、2500円だと4つ見るのが精一杯でした。それより、上野公園付近の地の利、国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館、東京都美術館。本当にすぐ近くにこんなにぜいたくな施設があるのです。どうぞ、受験生は6年生までの間に一度行かれることをお薦めします。一日で全部は本当は無理ですよ。上野公園も含め、何なら上野動物園も含め、何ならアメ横や上の鈴本や秋葉原も含めてぜひ実体験を!東京西部に住む受験生も是非どうぞ!
   
 3  
 問1 社 1次エネルギー供給の移り変わりの資料から、原油の供給量の変化を計算式を用いて説明する。グラフ2の1次エネルギー総供給量の資料から、原油の供給量は計算すると増えている(小数掛け算の計算3回)ことがわかる。参考として、供給割合は資料1から減っていることがわかる。公立中定番の「量」と「率」の違いをわからせる姿勢がここ出ていましたね。
 問2 で、特徴的なエネルギー、天然ガスが浮かび上がるかもしれません。天然ガスの価格は石油や石炭と比べて平均して高いのですが、それでも供給率が増えている理由が、資料3を見ると納得できます。二酸化炭素排出量の比較をすると断然少ないのですね。すでに天然ガスはクリーンエネルギーと言われ続けているのですが、マイナス要素である、値段比較が加わったおもしろい確認です。
 
 4   サイコロ問題。
 問1 サイコロを展開する問題。時間さえあれば必ずできます。いつも言う時間との勝負になる問題です。
 問2 漢字の熟語問題。白鴎中がずーっとこだわっている問題です。知識問題です。
 
 東京マラソンで一位とすれ違う/ローマ数字で1964は?/桜の開花/四字熟語で短文/部首ゲーム 
2017・10・28(土)
 適性検査2   9問あります。
 1    算・総合 東京マラソンのコース(平成20年当時)を題材にした問題。
 問1 東京マラソンのコースの図を示し、こういうコース図になった理由を東京の特徴を取り上げながら、書く。
 問2 健太、千夏のお父さんが東京マラソンに参加する。お父さんの自己ベストは3時間10分。一番速いランナーは2時間10分。コースは少し概算で42.2km。参加する一番速い選手とお父さんがコースの途中ですれ違う可能性がある区間が2か所ある。質問は健太たちのお父さん(以下、父)は最大何回一番速い選手(以下、1番)とすれ違う可能性があるか。そう考えた理由を計算結果を示しながら説明する。もともとすれ違う区間は2か所なので、0か1か2かしか答えはない。従って解答よりはそれに至る理由を書くことがすべて。
 計算は最初のすれ違い可能コースを1番が通過する時間前に父がそのコースに走り込めれば「すれ違い」。ところが案外計算が面倒。父は42.2km÷190分=0.222km/分、1番は42.2km÷130分=0.325km/分。A地点入まで10km。A地点脱まで21km。父は入まで45.0分。一番はA地点脱まで64.6分。ということは父は余裕(?マラソン中に余裕は変か?)で1回目のすれ違い。次はC地点22km走るとすれ違いコースに入る。22÷0.222=99.1分。34km走るとすれ違いコースから脱する。34÷0.325=104、6分するとここでもすれ違える。わかった!2回すれ違える可能性があるぞ!めでたし、めでたし、と行くかなー・・・結構時間かかるぞ!
 2    算 腕時計の文字盤のローマ数字からローマ数字の秘密を調べる。
 問2 T、U、V、W、X、Y、Z、[、\、]、]T、]Uがローマ数字の1から12まで。その後、50がL、100がC、500がD、1000はM。さらに減算則などのローマ数字特有の規則を紹介し、1964をローマ数字で書く問題。今、ローマ数字は小学校では習わないに等しいようです。当方相当いい年なので、時代のせいで小学校時代ローマ字はかなり教えられたのです。何しろ1冊まるごとローマ字で書かれた本を読んだ覚えがあるのです。ですから、100までは知っていた記憶があります。おもしろかったし、なつかしかったです。もちろん1000までを知っていたのではありませんよ。
 
 3   社・理 
 問1 札幌、盛岡、仙台、長野、東京の5都市を対象とします。それらの都市の2005年と2006、2007年の桜の開花の時期とその年の2月、3月、4月の平均気温を表1と表2で紹介。桜の開花した日と各都市の位置には全体としてどのような関係があるか。その関係にあてはまらない例があれば具体的にあげ、説明する。その理由を考えて書く。
 事実の説明と考察を分けて記述させる点はとてもいいですね。「事実と意見を混ぜない」。小学校の到達目標ですね。というか、中学校でも高校でも、大学でもそうかな。
 問2 最近5年(2003〜2007)の東京の桜の開花日をくらべ、50年前の5年間の観測値と比べて、桜の開花する日が全体的に早くなっているといえるか、いえないかという質問。その際の解答の根拠を、比べた数値などを示して説明する。
   普通に普通な問題といえばいいのでしょうか。
 
 4   国 語句の問題です。どうしても「知識」優位ですが、国語を適性Uに出そうとするとこんなことしかできないのでしょう。
 問1 「『保護者会』のような3+1に意味が分かれる四字熟語や『都道府県』のような一つずつの独立した4つでできた」四字熟語と、「『意思統一』のような、二字の熟語の組み合わせ」でできた四字熟語の両方が入った短文を一つ作る。固有名詞は除く。これは完全な知識。知識が悪いわけではないのです。「適性」の一つに知識は関係があるでしょうが、私立中学受験生が優位になると機会の均等性が減り、税金を使う都立の名が泣くのです。
 問2 漢字の「偏(へん)」と「つくり(作り)」で、組み合わせ連続ゲームを作る問題。8回繰り返さないと解答欄が終了しません。知識の問題。
 
 東京都の島々を調べると/出ました!分数÷分数の計算と理由。/日本に来る外国人数の変化。
2017・9・23(土)
 適性検査2   10題あります。「日本に来た外国人旅行者の人数」と「日本から外国へ出かけた人数」の比較グラフはこの10年余りですっかり変わってしまいました。今この問題を出すと、全く違う質問をしなくてはいけなくなります。驚いたことにあの「爆買い」という言葉すら、この10年余りの間に発生し、死語となってしまったのです。
 1   伊豆諸島問題。
 問1 伊豆諸島ではどんな産業がさかんか。島の特ちょうと主な特産物を挙げて書く。
 問2 八丈島の人口、面積を教えず、人口密度だけを122.0人/平方qとして、八丈島に対し人口で100分の3,面積で7分の2の御蔵島の人口密度を計算する問題。どうしても分数の割り算をすることになる。都立中問題としては極めて異例な問題。
 問3 そのせいか、この問3で「分数の割り算は、割る数の分母と分子を入れ替えた数をかけることと同じだ」ということを説明しなさい。と出されています。おそらく白鴎中はこの問2と問3の連続の問で出しにくかった分数÷分数を東京都教育委員会のOKをもらって問題化できたのです。
   「分数÷分数が割る数を逆数にして掛け算に直せる」という計算法則、ほとんどの生徒さんが自力では説明できません。大人も大半がしどろもどろになります。小学校で習っているのにですよ。しかも小学校の先生はかなり本気で教えるのです。説明できなくても「使える」。私立中学入試問題でこの技がでない学校などありません。みんな計算はできるのです。この「計算できればいいでしょ」という通念を東京都はきっと心底嫌っているのですね。わかっていない考えにもとづく計算はさせない!ということでしょうから、ほとんど、分数の十字軍!原理主義者!という感じです。この後も平成29年に至るまで分数計算は出さないという主義を貫いています。ですので、くどいですが、ここで白鴎中が出したのは異例!
 2   平成15年から17年までの間の、資料1は「日本に来た外国人旅行者の人数」と「日本から外国へ出かけた人数」の比較グラフ。資料2は韓国、中国、アメリカ、イギリス、オーストラリア、シンガポールの6カ国の構成割合の表。資料3は国際旅行収支のグラフ。資料4は外国人旅行者の目的を7位まで調べた表。
 問1 日本に来た外国人の人数の移り変わりをどれか1カ国を選んで計算する。さらにその答えを用いて分かったことを書く。この質問の後半は案外答えにくいですね。資料2の6カ国はどれも全体に対する割合を減らしているか、横ばい。一方資料1は全体としての人数は増えている。つまり6カ国とも入国人数は増えているのに全体に対する割合がむしろ減っているのですね。
   ところでこのテストは2009(平成21年)年2月3日出題のテストです。ですからこの後起こっている、「外国人(特に中国人)の来日プーム」の前なのです。例えば「爆買い」という言葉はどうやら2009年発売の書籍で題材にされはじめ、最盛期は2015年5月、または流行語大賞になった2015年の年末で、すでに死語になりかけています。そして、来日ブームはますますで、2013年1036万人あたりから増加が目立ちはじめ、2016年の来日人数は2403.9万人、今年2017年の推計はさらに12%増の2700万人かもしれないそうです。 すごい増加割合ですね。推計があっていれば、今年の来日外国人数は2003(平成15年)の5.2倍です。14年間で5倍はすごすぎる!
 問2 すると、問2の日本の国際旅行収支の「収入」と「支出」の差を少なくするためにどのようなことを行ったら良いと考えるかという問にはすでに少なくなっているはずですから、検証可能ということになりますね。人数については2015年(平成27年)にすでに入国者数(1974万人)が出国者数(1620万人)を45年ぶり(1970年以来)に上回ったそうです。出国者数の横ばいはアベノミクスによる円安傾向、それはそのまま入国者数の増加の原因でもあります。アベノミクスのおかげなどという答えは都立中入試では要求されていませんね。
   
 3   理科 
 問1 まずこのテスト資料の見方を知った上で資料を見る。慣れている生徒さんとそうでない生徒さんですでに時間の差が出ると思います。今日が4月として、夕方、すでに太陽が沈んで暗くなっているビルの谷間に見える三日月を参考に、日のしずむ時刻と三日月のしずむ時刻が何時ごろかを答える。三日月は新月から3日目ごろの月。三日月の見える絵からもうすぐこの三日月は沈む。夕方日が沈んでいる。すると4月の日没線と月の沈む線の交差するところを読むと、4月8日ごろ。従って日がしずむのは18時すぎ、三日月のしずむのは20時ごろとだせます。少しずれてもしかたないですよ。心配しないで。
 問2 与謝蕪村の有名な句、「菜の花や月は東に日は西に」を今ならいつごろかを判断する問題。  菜の花で春、日は西なので太陽はしずみかけ。月は出て少したったころと判断し、資料(2008年日本天文年鑑)からその日の月の形、一日のうちの24時制で何時ごろ。を説明する。→まず春だから3月か4月か、日没前で月がすでに出ている。菜の花だから4月後半は遅すぎかな、3月の方の満月あたりどうかな。ああ、あるある、3月20日ごろ、日没18時。月の出16時半。しかも満月。これでしょう!
 問3 太陽と月のように実際の大きさはちがうが、大きいものが小さいものとほぼ同じ大きさに見える例を一つあげる。その見え方を書く。よくある例としては写真に撮ろうとしたときに「遠くのビルと近くの友達」。「遠くの銅像と近くの家族」を比べるなど・・・
 
 4   国語 
   問1 漢字辞書の調べ方と二字熟語の知識、さらにその二字熟語を使って短文を書く。
 問2 漢字ゲーム。まあ、知識とゲームの両方。国語系の問題はどうしてもこういう問題にしか構成できませんよね。  
 路面電車・地下鉄・バスの輸送人員変化を知ろう!/伊能忠敬は旅に出る前にまず歩く練習をした!
2017・9・17(日)
 適性検査2   9題あります。
 1  
 問1 総合(パズル) 地下鉄大江戸線と新宿線を利用して、新宿から森下まで一番早く到着する方法を選ぶ問題。まあ、パズル問題
 問2 理科 棒磁石AとBが引き合ったりしりぞけあったりするすべての場合を図も利用して説明する。
 問3 理科 棒磁石AとBを下向きにして磁極を無理にそろえたまま一枚の透明アクリル板に固定する。クリップに糸を付けた物をその下で移動していくとき、クリップはどう動くかの様子を詳しく文で説明する。
 2  
 問1 資料7を見て、昭和35年から平成17年までに路面電車・地下鉄・バスの輸送人員がそれぞれどのように移り変わったのかを数字をあげながら説明する問題。資料7を見ると路面電車は昭和45年を境にほぼ横ばい。地下鉄は平成2年までは順調に増加、平成2年から12年までは横ばい。それを過ぎるとまた増加。バスは昭和45年までは増加、その後ゆるやかに減少。こんなことを書けば良いのです。おそらく質問の趣旨からして、地下鉄の便利さを強調したいのではないかと想像しました。
  ただし、昭和35年から平成17年の資料では、この質問に出てこないJRと私鉄の一貫した増加傾向が無視できない結果で、質問を離れて資料7のグラフから言えることは、都内の交通機関は、JR、私鉄、地下鉄が一貫して増加傾向で、バスは横ばい、路面電車は1路線を除いて全廃されたというのが実態。ですから、この質問は若干意図的なのかもしれませんね。
 問2 夏目漱石の「曼珠沙華 あっけらかんと 道の端」という俳句は彼岸花の咲き方を人のどのような様子にたとえているか一文で書く。
 問3 花を一つとりあげ、その様子を五、七、五で表す。白?中独特の問題。
 3   浅草の町の散歩の話から、
 問1 日本地図を測量で描いた伊能忠敬が、まだ幕府の役所の暦局(れききょく)に通っていたころの題材を問題化。伊能忠敬が歩いた距離が当時の言い方で、22町45間だった。これを換算表を使ってm(メートル)に直す。
 問2 伊能忠敬は当時、緯度の1度の数値がわかれば地球の北極と南極を通る一周の距離を出せると考えていた。では、その方法を説明しなさいという問題。
 問3 伊能忠敬が歩いて距離を測る練習をしたことでどのような効果があったかを、この問題の主人公一家の3人が実際に練習した結果の一覧表の結果を踏まえ、考えを書く。
 夏休みの家族旅行計画を作る。2班の秋の遠足計画−まっすぐ行くより戻った方が!
2017・6・28(水)
 適性検査3   6問あります。
 1   意欲作
 問1  総合 A町への2泊3日の6人家族の旅行計画を立てる問題。これは時間がかかります。組み合わせる材料が多すぎる。加えてヒントが散らかっている。まず無理な日をカレンダーに記入し、最終日に遊園地にいく。行きと帰りは新幹線の時間を考えて時間がせばまる。プールと遊園地の休業日、大混雑の曜日チェック、ホテルの時間制限、・・一度目の通読は、意味をおおざっぱに把握するだけで終わります。最後に「質問にできる限り多くの希望をかなえる旅行計画を立てるとあります。解答用紙には2日目に3カ所の余白、これでだまされます。全部でなくていいのです。6人の希望には遊覧船乗船は入っていないのですから、カットしましょう。うーん・・・・当方はこれもいれて考えたのでできませんでした。カットしてかまわないのですね。もう一つ。母の希望「なるべくすいている日にゆっくり回りたい」をかなえようとすると8月29.30.31日ぐらいしか空かなくなります。人間の感情としてそれは夏休みとしてはどうかなー・・・たまった宿題どうするの?とかどうしても横にずれてしまって無駄なためらいで時間が過ぎます。模範解答などではそこは無視、日曜に遊園地に行く(資料では日曜は大混雑)ことにしています。当方はそれは絶対してはいけないだろうと最初からはずしたのですが・・・いろいろと気持ちがあわない!この問題も私は落ちる。
 2   意欲作か、引っかけ問題か・・・
 問1  算 かもめ湖自然公園での散策、最後に遊覧船乗り場まで行く問題。健太君の班と花子さんの班が別な目的地に寄った後、どこで出会うか、または追い越すかを計算する。質問の条件にあるとおり、時計回りか反時計回りかはどちらでもいいのです。しかし、人間の常、第一目的地に着いた後、わざわざ最初の出発点に戻ろうと考えるでしょうか?普通の思考パターンで、太郎と花子の班のどちらも同じ方向をとるとする。すると、あれれ、めんどうな旅人算の追い越し問題になってしまいました。これに対し健太班に逆まわりさせればまったく単純な計算で答えがでました。うわー・・・運命の分かれ道がそこにありました。
 問2  国 短歌を作る問題。平凡。得点源。
 東京スカイツリーの影/千代田区が23区の中心のわけ!
2017・5・31(水)
 適性検査2   7問あります。
 1  
 問1  問題1の 問2 総合(算) 全国のタワーの特徴をパンチングしたカードを使ってカードソーシングで並べ直して分類する問題。この仕組みは、まだパソコンが普及する前の時代のとてもわかりやすいツールでした。アイディアとしてはうまいやり方だったと今でも思います。いろいろなタワーが8つでてきて、その説明を読むだけでも興味深かったです。分類わけそのものはそうめんどうでもなかったです。
 2  
 問1  総合・国語(俳句まがい) 東京スカイツリーからの眺めを想像して五七五の俳句表現をする問題。容易。しかし、白鴎中の特色を出そうとするあまりの問題なのでしょうが、俳句・短歌の出題を頻発しすぎた気がします。
 私見ですが、保護者や受験生はこの「江戸趣味」を求めていないように感じます。最近振るわない(たまたまなのでしょうが、2017年春の東大合格者が一人もでなかったことと、高校入試で定員割れの異常事態が発生したことの2点からの推測です。見当ちがいならお詫びします。)理由の一端がこの江戸趣味、三味線趣味、検定趣味(英数国の特別選考は失敗だから止めたのでしょう?。準備と称して英検・漢検・数検を先行学習する生徒さん、保護者さんが多いのですが、何か、勘違いした早期教育の方向に走っている方が多かったです。全人教育志向の中に資格フリークが混ざってしまったという感じですかねー・・・)のあたりにある気がしてならないのです。江戸趣味と理数系嗜好は両立しません。「理数系」を標榜した小石川中に当初からキャッチフレーズでしてやられたと思いますよ。いい学校なのです。「辞書が友達、授業が命」の精神でひたすら邁進して下さい!
 問2  算 小数の掛け算問題。角度×「影の長さを求めるために必要な数」の「影の長さを求めるために必要な数」がコタンジェントの近似値だとわかる。もちろんコタンジェントという数学概念を知る必要はまったくなく、逆に大人がうん、なるほどねと確認してちょっと悦にいるだけの話題。小学6年生の問題にこういう形で登場させているのですね。
 問3  算 もとの縮尺に戻して解かないとうまくいかない問題。そして、意味がわかれば地図中に作図するある意味楽しい問題。「白鬚橋、桜橋、言問橋、吾妻橋、駒形橋、厩橋、蔵前橋とつながる隅田川の橋を選ぶ」などいかにも白鴎中の問題。お薦め問題。「影の長さを求めるために必要な数」とは高校で学ぶコタンジェントθ=1/tangentθの近似値のこと。知らなくて何の問題もありません。いろいろとお薦めの問題です。
 3  
 問1 総合・理 現代の16方位を江戸時代の方位に直して考える問題。ついでに、私立中入試でよく出るこの問題、「なるほど春分のころの影ってこうなるんだなー」と改めて具体的に理解できます。
 問2 地理・総合 答えはすぐわかります。今の千代田区が地図の中で中心扱いされる理由を、十二支の資料と、「国が統計調査で使う、23区の順番表」と地図の3つの資料から読み取り推測し、考えを述べる問題。豆知識が増えました。
 虹はなぜ赤、だいだい、黄色、緑、青、あい、むらさきの順に見えるのか 
2016/12/21(水)
 適性検査2   9問あります。
 1  
 問1  理 すぐわかります。導入問題
 問2  理 虹はなぜ赤、だいだい、黄色、緑、青、あい、むらさきの順に見えるのか問題。情けないことに当方、今回初めて真剣に納得しました。そうか、人間の目に飛び込んでくるスペクトル光線は「違う水滴から発した別々の部分」が上から下へ段になって順に飛び込んでくるのか!と納得でした。新知見
 問3  理 虹が夕方よく見える理由。さらにその際、虹はどの方角に見えるかを理由とともに書く。問題2の説明内容と連動する問題。
 2  
 問1 算 少数の割り算。わかります。導入問題
 問2 算 表と図を組み合わせる。足し算と掛け算でできる。
 問3 総合 容易。
   
 3  
 問1  算 すぐわかります。こういう問題はとにかく始めれば必ず答えになります。導入問題
 問2  算 前の問題を考えたメモを見直し、春を冬にとか秋を冬にとか変える作業をしていけばかならず出ます。
 問3  算 解答を見ると全部で4例のっています。
   
 夏休みの自由研究2題。打ち水をするとなぜ涼しくなる?/自転車の利用の実態 平凡
2017・9・7(水)
 適性検査2   8問あります。
 1   理科・算数 美咲さんが夏休みの自由研究のテーマを「打ち水」として、先生と相談する問題。
 問1 打ち水で周囲の温度が下がる理由を、二つ書く問題。一つはまいたものの表面の温度が下がるから。もう一つが、水の状態が個体、液体、気体と変わるごとに周囲から熱を奪って変わることにあると説明。問3は今までにも何度か出た、上空に行くと、気温はほぼ一定の割合で下がる。その計算式を紹介して、解かせる問題。
 問2 体力向上月間に向けて積極的に取り組めることを自分なりに提案する。
 2    社会・算数 健太君が夏休みの自由研究のテーマを「自転車の利用」にして先生と相談する問題。
 問1 資料が4つ。資料1は自転車利用調査の協力者1878人の年齢別割合。資料2は年齢別利用目的の割合。資料3は利用目的別人数。資料4は、利用目的別の利用時間の割合。題名だけでも想像できるように、人数と割合が混ざっている資料。従って、比較するときに「人数」か「割合」かをしっかり理解しないとそこから出せる結論も支離滅裂(しりめつれつ)になりかねません。算数基礎計算問題ですね。
 3   パズル・算数 コンピューターを利用する際に必要なパスワードをカードを利用して決める問題。16ますでできた正方形カードにローマ字やひらがなを16書き、上に丸い穴が二つ開いたもう一枚のカードを重ねる。上のカードを回して確認した文字を8個順に並べてパスワードにする。
 問2は穴を4つにして再挑戦。
 問3は六角形にして問題を発展させる。
バナナの値段と給料の平均額の関連性。水から飛び出す際のイルカの形に意味がある
2016・10・5(水)
 適性検査2   8問あります。
 1   全都共通問題  うるう年の問題問題
 問1   算 恒例の下二桁が4の倍数か、00になればいいので、いろいろたくさんあります。       
 問2   算  地球のうるう年の計算をしたことがある生徒さんなら、一応とっかかれます。2015.4日−2015=0.4日。0.4×2=0.8日→2年に1回1日増やせば2年での誤差は0.2日になる。それでも半端があるから、1日÷(0.2÷2)=10年で、10年に1回増やさない年(うるう年ではなくする)を作ればいい。
 問3   理・算  火星の1年を火星の1日で数える問題。地球の1日=1440分。火星の1日=1480分 したがって 地球での日数の数え方→1440分×687日=1480分×□日 ←火星での日数の数え方
計算すると668.43日だから、小数第二位を四捨五入して、668.4日。小数の割り算問題
                         
 2   全都共通問題                        
 問1   算・社 1964年、1989年、2009年の変化を調べると日本の総人口の変化に対して、世代別人口の割合はどのように変化したか。ある意味「またか」の問題。 小数の割り算問題
 問2   社  1964年から2009年までのバナナの値段の変化の表から、バナナの値段は、1年あたりの給料の平均額の変化の表と比べてどのように変化しているか。という問題。細かい差違は気にせず、バナナなら大きくは同じ傾向にあり、みかんは横ばいなことを説明するといいですね。そして、へー、バナナかー。良い統計グラフをみつけたなーと思いました。みかんは卵と似た指標だったのですね。同じ年の九段中の問題に消しゴムを指標にした問題があります。585品目にみかんやバナナはあるのでしょうか?・・・はい、自分で調べます! 
 問3   社・算  東京からロンドンやメキシコシティーまでの距離を地図と地球儀を使って測る問題。地図は丸い地球を平面にしているから誤差が出て当たり前。一方地球儀は球面のままだから誤差は少ないことを書けばよい。容易。
 3   全都共通問題  水からものが飛び出す様子を調べる問題。    
 問1   算・理 統計を出すときの誤差の処理の問題。8回の実験のうち2回目と7回目は飛び出した球の様子が明らかに違うので、例外として統計の数にいれないのが普通。 小数の割り算問題
 問2   理  予想と実際の結果の食い違いを説明する問題。 深さ10cmまでは予想と同じだが、10cmより深くなると逆に飛び出す高さが低くなる。
 問3   算  水面より高く飛び出す立体を調べる問題。6つのタイプの立体で実験。深さ0cmのとき逆円すい形が第一、球が第二に飛び抜けて良く飛び出している。深さ20cmのときは球形が飛び抜けて飛び出している。なるほど。円すいと逆円すいがそれに続く。では、GとHが候補になるが、Gは円すいなので向きが逆さでだめ。逆円すいプラス球の下半分がベストと判断できるはず。それと、半分冗談ですが、Hの形はイルカが想像できました。イルカのジャンプです、イメージは!案外良い問題です。
 渋滞の理由を簡単化してシミュレーションしてみる/アゲハのさなぎの色は緑?茶?
2016・10・5(水)
 適性検査2    9問あります。
 1    共同問題 渋滞発生の理由を調べると!
 問1 算 車が渋滞することを考える問題。追い越しができない正方形を数珠つなぎ直線にした道を左から右に3台の車がたて一列で進む。先頭のA車は常にひとますずつしか進まない(つまり遅い)。後から進むB車、C車は最大3ます進む(すぐAに追いつく)。これを繰り返して何回目で3台とも11ます目以降に来られるかという問題。
 いやー、もしこれで渋滞の起こる法則が説明できるのならすごいじゃないですか!最大3ます進めますので、初めのうちはいろいろな動きができますが、すぐにつまります。後はワンパターンの動き(繰り返し)しかできません。のろのろ渋滞ですね。1回目と2回目の図が書いてあり、1回目からもうBがつまってしまいましたので、後は簡単です。7回。後半の問題は、わかってみれば、10マス目までにAの後ろにB、そのすぐ後ろにCが来ていればよいので、Bは一度に2以上、同時にCも2以上。
 これ、正解できるの?正解するためのアイデアの方向は、つぶやき風に書くと。「まあ、多めにしよう。とりあえずBもCも3はだめだから、B2、C3で始めてみよう!問題文の図1を借用すれば何とか7回でゴールできる!」まで推測できますね。他にもB3、C2。B2,C2の計3種類の正解がみつかります。
 問2 算  前の車のすぐ後ろにつくと1回休み(つまり渋滞)というルールを付け足す。なるほど本物の渋滞に近づくわけです。まず答えの可能性はB×Cで3×3=9通りだが、B1C1は除かれるので、計8通り。いつものことですが、受験生の方はこのうち1通り選んでシミレーションすればいいだけ。利発な受験生は、なぜB1C1を除外するのかをちょっと考えると、それは一番簡単だからと気づくかもしれません。すると、B1C2とか、B2C1とかで考えれば楽かもしれないと気づき、素早く正解できますね。ここをB3C2とか、B2C3、B2C2などを選んでしまうとルール4(ストップ)にひっかかりまくり、シミュレーションが大変になってしまいます。おそらく3〜4分違ってしまいます。
 以上がこの問題の必要最低限ですが、当方はこの問題おもしろかったので、8通り全部試してみました。すると移動回+ストップ回の合計を調べて合計の少ない進み方を「快適」と勝手に定義すると、B1C1やB2C1タイプが一番、以下B3C1,B1C3,B2C3<B2C2,B1C3,B1C2の順になりました。ここから大胆仮説。結局3台とも遅いのがベスト、Bが少し早め、C普通。BCとも速め、B遅く、C速めの順に快適度が下がる。と合計値から言えました。そして、そりゃそうだなーみんなが遅ければのんびり旅で到着時間もまあ我慢できる範囲かもしれません。Bが速めCが遅めもまあいいのですね。最後にだめなのはBもCも速いタイプです。そりゃーそうです。前の車が遅く、後ろの車が速いから今日の渋滞の原型ができあがっているのですから・・・ですが、この当たり前の真理を8つのシミュレーションで論文まがいに分析可能なのですから、おもしろい!いい勉強しました。なお、声の教育社の解答のB2C3タイプのストップ回数はひょっとして6ではなく5では?当方が違っていたらごめんなさい。
 問3 算 速さ・時間・距離の問題の一種。車@と車Aの間で車Bが@に2度追いつき、Aに抜かれない範囲で進む速さを調べる問題。その速さ(時速)が整数になるものを答える。なるほど、正解は時速27km以上36km未満の整数。いつものことですが、1つ答えればいいのですね。この問題の基礎は私立中入試勉強の学習です。そういう勉強をした生徒さんが少し有利ですね。
 2  
 問1 社(歴史) 鹿苑寺金閣は足利義満の時代にもかかわらず、建物の一部に寝殿造りの形式が取り入れられている。義満のしたことでこれと同じ理由で行ったことを年表中から選びその内容で説明する。同じく応仁の乱と関ヶ原の戦いの根拠の違いを年表から選び説明する。質問文の若干の回りくどさが答えの仕方に影響します。いいたいことは何度も読めばわかるのです。つまり足利義満は朝廷(天皇)より格上になりたかったということです。
 もう一つの戦乱の問題は、イなら、応仁の乱対承久の乱。違いは武士対武士の闘いと幕府対朝廷の戦いの違い。エなら応仁の乱対関ヶ原の戦い。模範解答例では、戦いの場所が京都か美濃か、だそうですが、根拠という言葉を使う以上、戦いの大義名分またはその後ろに控えていた利害関係を小学生なりに説明するのではないのでしょうか。応仁の乱は幕府の将軍の跡継ぎ問題、関ヶ原の戦いは豊臣家の後見人としての資格の争いだったのでは。はっきり言ってピンとこない答えです。百歩譲っても、戦場はたしかそのときの状況で変化していたはず。たまたま関ヶ原になってしまっただけのことではなかったでしょうか。わからない模範解答です。   
 問2 地理 京都の碁盤の目の道が今に残るのを利用して、朱雀院が平安京当時の区分けだと「右京四条一坊」になることを例として説明した後、西本願寺または東寺を平安京当時の区分けで表現する問題。おもしろい!     
 問3 理・算 知床を世界遺産登録するために行った「堰(せき)」の改良の結果、カラフトマスが上流に戻ってきたことを資料の表から具体的に計算して説明する。定例の少数の割り算計算がここで出ています。
 
 3  
 問1 理 蝶の目・足・はねと「節」の関係。モンシロチョウの説明をアゲハで利用して答える。                       
 問2 理 アゲハのさなぎの色が「緑」だったり「茶色」だったりする理由を観察実験で探る問題。初め、実験1で表面がつるつるの写真用紙同数枚に緑や茶の色をつけてアゲハのさなぎ直前の幼虫をとまらせます。結果は10匹のさなぎはすべて緑。次ぎに実験2で表面がつるつるの写真用紙と表面がざらざらの紙やすりで、さらに明るい部屋か暗い部屋かの4分類で調べます。結果の表を分析すると、つるつるで明るいとほぼすべて「緑」(0.9倍の頻度)。ツルツルで暗いと頻度0.8倍で茶、ざらざらで暗いと頻度0.9、ざらざらで明るいと1.0が茶。ここまでを資料として生かせばOKの問題。この問題はうっかり普段の常識でつるつるの写真紙は白、ざらざらでかみヤスリは茶色というような先入観が頭を支配すると混乱が始まってしまいます。当方がしばらくそうだったのです。ふと気がつくと、つるつるとは「葉」のこと、「ざらざら」とは幹または「茎」の感触じゃないですか、あーそうか、アゲハは留まった場所の触感で色を変えているのか!と了解しました。良い問題です。
 問3 理 アゲハのさなぎは秋になると越冬してから蝶になることを実験・観察した問題。秋の終わりごろでも室温25度で飼育すると50日余りで成虫になるが、5度に冷やしてから25度に戻すと冷やした期間の長さに応じて成虫へのなり方が変化することを説明する問題。これも良い問題です。
 16個構成正三角形群の辺の数/グラフの縦軸の単位に「時間」が使われているなんて!
2017・5・24(水)
 適性検査2    9問あります。
 1    共同問題    
 問1 算 立方体の頂点や各辺の中点から3点を結んだ大きさの違う三角形を二つ書く。とてもやさしい問題。それ以上ではありません。
 問2・3 算 正三角形を16個用意し、中の線の数を数える。文章がだらだらと長いので、早読みしすぎると何を言いたいのかが不明になります。あっさり、中の重なる辺は1本と数えると「見かけ上の辺の数」を導き出す公式ができるので、それを文章で説明する問題。そのうえで、10段のときの「見かけ上の辺の数」をその公式にもとづいて導き出す。難しすぎずやさしすぎずでちょうど手頃な公式化問題だと思いました。
 2    社・算 野菜をテーマにした調べ学習からスタート。
 問1 社 太郎君のお父さんの家庭菜園の土の温度変化(8月6日)のグラフが紹介されています。珍しい。グラフの裏付けがありそうで、なさそうで、おもしろいですね。グラフの内容そのものとしても、8月の13時から15時まで、わらを敷かないと50℃を越すのですね。ビックリの高温!で、わらを土の上に敷いた理由をその資料から説明する問題です。すぐわかります。
 問2  算 なす、たまねぎ、きゅうり、ピーマンの生産上位5県の表を出し、その上位3位までの県の全国に占める割合を計算し、必要事項をカードにまとめる。
 問3  社 東京都大田市場へのピーマンの月別入荷量のグラフが紹介され、茨城県水戸市、宮崎市、高知市からの東京までの国道距離、各県の月別平均気温表を紹介し、そこからピーマンの産地の特色を説明する。最初のピーマンの月別入荷量のグラフで1月か8月に注目するとすぐ書き始められます。
   
 3  
 問1 理・社 昔の人が時間を計るのに利用した仕組み。太陽、ふり子、ろうそくから一つ選び、時間を計るのに適している理由を書く。
 問2 算 表1を調べると、0〜100個から1400〜1500個までは規則正しく100グラムあたり1.1秒かかっていますが、1600個より後になるとかかった時間が長くなってきています。わかった!と思い、グラフを選ぶときに、うっかりウとしないようにしましょう。おそらくここが引っかけ問題なのです。
 普通のグラフは横軸が時間、縦軸がその結果になるのです。当方、私立中学受験学習では、「時間」は100%横軸!と強調する時期すらあります。ところが、この問題は原因にあたる横軸が「落ちたプラスチックの量」で結果にあたる縦軸が「かかった時間」なのです。めずらしい!本当にめずらしい!ですから、結果はイなのですね。
 問3 理・算 プラスチックの玉が落ちる量と時間を調べる問題。底の穴のかたち、円筒が太いか細いか、案外先入観と違うかもしれません。まちがえないように表を調べることですね。
 
 為替の問題。平凡!/ピックの定理で面積を出す!/赤白得点ゲームを推理する。
2018・9・24(月)
適性検査 V  8問あります。
1   社会 既出問題。しかも平凡!単純練習すればみなできる問題は「適正問題ではない」のでは?研究不足?
 問1 為替の問題。過去にあちこちで出題されています。今回は日本の30000円をアメリカ(ドル)・スイス(フラン)・ブラジル(レアル)・南アフリカ(ランド)の内の2カ国を選び、両替するとどのくらいの金額を受け取れるかと言う問題。少数割り算を二つします。
 問2 質問の前にくみさんは「わたしはより多くのカナダドルをもらえた方がうれしい」と言わせています。その上で、日本からカナダに留学する場合、くみさんは1カナダドルの交換比率が「84円の場合」と「87円の場合」のどちらかの両替を選び、選んだ理由を具体的にせつめいする。これまた生徒さんは問題集等で全員練習済み。あまりに平凡な2題でした。
 問3 算数 図形の面積を求める問題。市松模様の小物入れ(正四角錐)の色のついた部分の面積を求める。ポイントがあるとしたら、「考え方を表す式」をきちんと書かせるところですね。
 問4 問5 小さな正方形を集めた方眼状の図形の中で、直線で囲まれた図形の面積を出すための公式を紹介。設問に登場する小学生、はるきさんの名をとり、「はるきさんの法則」としています。実はピックの定理(S=i+1/2b-1)という面積定理(1899年発表)なのです。便利ですが、紹介する時期が大学レベル。小学生には紹介しない定理(定理の証明に背理法が入ってしまうので無理ということでしょう)を出しているのです。
 おもしろいのですが、最近の都立中問題の傾向、こういうおもしろい定理、法則を早い者勝ちでどんどんつぶしている感がありあり。トップ校にせまろうとしている三鷹・大泉・富士・桜修館・そして白鴎!(御三家?でない都立中で独自問題を出している中学)は、結局この技で算数好きをとろうとしているわけです。もともと私立中問題の中にちらほらとあり、算数特化受験塾などではこれみよがしに以前から説明されていたのです。ですから、トップレベルの私立中学受験生にとっては既習事項。
2   ゲーム問題。出題者側としてはいくらでも問題のバリエーションが考えられるでしょうが、解いても本当におもしろくない!ただのゲーム。
 問1 問2 上記のように毒づいて書きましたが、ゲームというものの特性。考えているときは熱くなる!ちょっとおもしろかったことを白状します。条件A、B、Cと表の関係でまず2種類の可能性が確かに出るのです。そこから先は別々な場合として考えるしかない。振り返ってみれば、最初の赤−赤3点、白−白6点 または赤−白3点 白−白6点でメモをしてから、その2カ所のヒントだけで表3を使い具体的に点数を出し、それぞれ25点や26点から引いていけば3つ目の空白も埋まります。あとの一つは簡単に出ます。
 で・・・・これが白鴎中入学資格の適性?
 以前に好意的視点で書いてみましたが、今回は私の中の黒い部分が勝ってしまいました。もったいない。白鴎中らしさをゲーム問題で出そうとし続けるなら、「私はこの問題がおもしろかったから白鴎中を選びました」という動機の生徒さんは受けないよ!
 白鴎中問題で印象に残る問題を勝手に名作認定をしてしまいました。
 あくまでCタイプ(脳トレの宝庫)の訪問者さん向けに書いてみました。
私立中入試問題風と知識問題は外しました。御異論は多々おありでしょうが、まあ、こんな偏向意見もあると寛大に!
1 白鴎中 平成18年 適性 問題3 25年間の電力使用量の推移の特徴を原因とともに2つ書く。料金を値上げすると使用量は減るか?
 「ある夏の1日の24時間電力使用量」を1975年から2001年までの26年間の5年または10年ごとにグラフ化。不思議なほど同傾向で増加するきれいなグラフが描かれています。1975年(昭和50年)と2001年(平成13年)では午後2時時点での使用量73百万kwが183百万kwと2.5倍の増加量。いや、驚きの増加率。問2は料金を値上げすると使用量を減らす効果があるか。問題点とともに書く、です。この出題が2011年の大震災前ということもあり、記念すべき問題として認定。
2 白鴎中 平成19年 適性 問題1 不忍池(しのばずのいけ)などに飛来するカモの数は・・・そして季節による野鳥の数や種類は?
 不忍池からスタートする白?中の下町散策問題。「カモや野鳥の観察される数」の季節ごとの特徴を読み取る。その際使用する資料は日本野鳥の会の清澄庭園・葛西臨海公園・多摩川での観察資料。あれ?不忍池じゃないのか・・・鵜が多いのか・・・まあ、全体に東京の東、似たようなものでしょう。都立中はそれぞれの場所でそれぞれの特徴を示した自然観察問題を頑張って出し続けます。結果、後に題材が苦しくなりますが・・・。野鳥の問題は南多摩中が平成22年に高尾山で同じような問題を出す。白?中と南多摩中、まさかのコラボ!東京の東の端と西の端のライバルになるといい!
3 白鴎中 平成20年 適性 問題1 東京マラソンで一位とすれ違う
 当時の東京マラソンのコースには2か所すれ違いコースがあり、質問に出てくるお父さん(自己ベスト3時間10分)と出場する最も早いランナー(2時間10分)がコースで何回すれ違うことができるかを計算して答える問題。両者の分速を出し、すれ違いコースの抜けるまでの距離と入るまでの距離を計算し、両者の所要時間を4か所分出す。つまり1問で8回計算する(全体像が最初からつかめていた生徒さんは4回)をする。しかも分速計算では分数割り算(都立中ではまずでない)までする。まじめ7にした子にとっては白?中にしてはやや多い計算回数。こりゃ大変だぞーというメッセージでした!
4 白鴎中 2009年(H21)適性 問題3 白?中名物、江戸と現代を結びつける!今回は蕪村の句「菜の花や月は東に日は西に」を考える
 「菜の花や月は東に日は西に」の句は現代ならいつごろの何時ごろの句かを平成8年の天文年鑑を利用して読み解く。その前問もさりげなく写っているビルの谷間の三日月から今がいつかを調べる問題で、初めて見たときはちょっと考えました。
5 白鴎中 2011(H23)適性 問題1 夏休みの家族旅行計画を作る。
 A町への夏休み、2泊3日、6人家族の旅行計画を立てる問題。企画立案問題の例です。条件が本当に多く、すべてを満たすのは無理なのですが、いかにもありそうな旅行なので熱くなって計画されると思います。解答欄の構成にもヒントがあるので、気が抜けません。現実味のある話なのが採用理由です。
6 白鴎中  2012(H24) 適性2 問題2 東京スカイツリーの影
 解答欄の地図中に線を引く問題。その線を引くための計算を何回もする。そして、地図はスカイツリーの影の先頭がどの橋にかかるかという白鴎中らしさ満載の問題。下町の子(白鬚橋、言問橋、厩橋が読める子)なら、始めからだいたいの見当はつくところがちょっと・・・
7 白鴎中  2013(H25)適性2 問題1 虹はなぜ赤、だいだい、黄色、緑、青、あい、むらさきの順に見えるのか
 虹はなぜ赤、だいだい、黄、緑、青、あい、むらさきの順に見えるのかの質問。実は知っている生徒さんはとっくにご存知だったでしょうが、絶妙な絵で説明されると「なるほどなー」と納得するように組まれている問題です。
初稿脱稿  2017/11/14(火) 平成30年テストの追記 2018/9/24(月)