都立武蔵中の問題は社会科系で「地道な学問」志向!それがまた、よくぞ探してきた!という問題なのです。当方のような偏屈なタイプにはこたえられません。深い!練られている!頑張って下さい!あえて言いますが、全都立中の出題担当の先生方!安易に「算数志向」に走らなくてもこういう方向性があるでしょう!
初稿 2017/7/21 二訂 2017/9/24 三訂 2018/9/17
都立武蔵中 入試問題 勝手に目次
1 武蔵中A 2008(H20)
東京の「みどり率」とは?/ヒバリの繁殖場所の危機図/森林の有効性を数字で確認しよう!
1 武蔵中B 2008(H20)
パビリオンのショー・映画などを見て回る/モビールを、最後はあぶらねん土で釣り合わす
2 武蔵中A 2009(H21)
ツバメの巣はなぜ落ちる/アメリカ・中国・日本・インドの二酸化炭素排出量、1990と2005版の違い
2 武蔵中B 2009(H21)
公倍数の問題。プラスチックが水や塩水に浮いたり沈んだり
3 武蔵中A 2010(H22)
本格的なパンの作り方。
3 武蔵中B 2010(H22)
レーマーの温度計とは?アルコール温度計を作ってみよう。
4 武蔵中A 2011(H23)
変形樹−風力発電の適地を地図に書く。/ヘラクレスオオカブトにひっぱらせると・・・
4 武蔵中B 2011(H23)
さいころ問題解法の必殺技の紹介
5 武蔵中A 2012(H24)
しじみ、木の実、イノシシの研究から縄文弥生の暮らしを読み解く!
5 武蔵中B 2012(H24)
運動会の奇跡の裏には緻密な計算が!/あずき一粒の重さを量る方法。
6 武蔵中A 2013(H25)
よさこい祭りはどのようにしてメジャーになったか?/トキの子育てとこれから!
6 武蔵中B 2013(H25)
イチゴのジャムを家庭で作るためのグラフを作成!
7 武蔵中A 2014(H26)
コチ・ダシ・イナサ・ヤマゼ・マゼの風向き?/南極大陸の氷床から気候を判断
7 武蔵中B 2014(H26)
線対称・点対称・3回対称。何ですかそれ?/タデアイから染液を作り、布を染める
8 武蔵中A 2015(H27)
明治大正期の三多摩の農家の1年は大変だった・・・/小水力発電実現への課題。
8 武蔵中B 2015(H27)
五輪マークの構造/立体図形の公式作り/グライダーの作り方と飛ばし方
9 武蔵中A 2016(H28)
光の害を少なくする工夫。ルーメンとルクスってどう使い分けるの?
9 武蔵中B 2016(H28)
正方形のます目の中で一筆書きを!/500gの氷を溶かして10℃にするには20℃の水を何g?
10 武蔵中A 2017(H29)
理想の米とは何か?/江戸時代の加賀藩で米は85品種作られていた!中食・外食?
10 武蔵中B 2017(H29)
3目並べを立体にすると!/塩水を濃くする方法を考え、現代の方式を科学する。
11 武蔵中A 2018(H30)
「大江戸商い白書」に驚嘆!/日本橋北側にはなぜか銀行が多い!/日本橋に観光客を誘致しよう!
11 武蔵中B 2018(H30)
レンガの積み方の公式を見つけよう/鹿と、鹿が食べる植物ガマスミの食物連鎖をグラフから読みとく!
![]() 東京の「みどり率」とは?/ヒバリの繁殖場所の危機図/森林の有効性を数字で確認しよう!
2017・11・5(日)
適性検査2
6問あります。
1
表1で東京のみどり率(ある地域の緑の割合)を紹介。
【注】 ここで言う「緑」とは植林地、草地、農地、宅地等の緑、公園、街路樹、河川、水路、湖、沼、などもあわせて考える。
問1 1974年と1998年を比較して、東京都全体のみどり率が66.9%から62.5%に減少している。表1と図1のみどり率の内訳に注目して東京全体のみどり率の減少について説明する。
表と図を見ると、23区と23区以外に帯グラフが分けられている。23区では「公園が占める割合」「宅地等の緑が占める割合」は上がっていて、「農地が占める割合」「草地が占める割合」が減っている。23区以外では、「公園が占める割合」が増え、「農地が占める割合」が大きく減っている。結果、1974年と1998年の24年間では全体として、4.4%減っている。これは武蔵中が位置する武蔵野市近辺、及び武蔵野市以西の畑地や雑木林が次々と宅地に変わったことと推測できますね。
問2 変化の仕方についてさらに詳しく、「約何倍」「約何分の一」という言い方を持ちいて書く。
問3 1974年の緑の状態(図2−1)と1970年代のヒバリの繁殖場所(図3−1)を関係づけてわかることを1つ書く。
問4 1970年代と1990年代を比べて、緑の状態がどのように変化し、その結果ヒバリの繁殖場所はどのように変化したかを具体的にあげ、図2と図3を関係づけて書く。見ますと、1990年代にはヒバリの繁殖場所の何と寂しくなったこと!残された○の多い地帯はどうやら多摩川と荒川の川沿い。後は東京湾の埋めたて地、おそらく建設未着工の土地。悲しい結末です。
問5 図4「地面の状態による水のしみこみやすさ(裸地を1とする)」。図5「1年間に1ヘクタールあたり流れ出る土砂の量」。図3「雨水と森林の土の中を通った水1ヘクタールあたりにふくまれる物質の出入り」。図7「北海道、えりも町での、植林にともなう漁かく量の変化」。以上の4つの図より2つを選び、資料からわかることを関係づけながら、森林の役割について考えられることを書く。
この4つの図というか資料がとても良いのです。森林では、裸地での水のしみこみやすさの約3倍。流れ出る土砂の量は裸地の方が1ヘクタールあたり約44倍。飲料水として人体に害のある物質の含有量が雨水の方が森林よりチッ素で、4倍以上。逆に人体に必要な物質の量はカルシウムで森林の方が2倍。漁獲量の変化は植林をし続けた結果、45年間で24倍。簡単化しすぎていますのでぜひ原資料をご覧下さい。それにしてもこの効果は・・
問6 森林を守るために現在の自分が取り組めることを考え、なぜそのことが森林を守ることにたつながるかの理由を書く。
![]() パビリオンのショー・映画などを見て回る/モビールを最後はあぶらねん土で釣り合わす
2017・11・10(金)
適性検査2
7問あります。
1
問1 パズル 算 最短時間で対角線状の目的地に着く問題。斜めに進む組み合わせで何通りもあります。どの場合も24分になります。
問2 斜めに通ると5分。同じ区画を直角に動くと7分。縦方向横方向ともに斜めはどの場合も最大2回しか使えないので、組み合わせは4通り。どの場合も所要時間は同じでかつ最短時間となる。
問3 パビリオンのショー・映画・公開実験のご案内の表1を表示。全て見て回る場合には、水族館での14時00分のショーを見ることが出来ない理由を説明する。
未来館での映画上演時間と水族館でのショーの時間が13時台も14時台も重なってしまうから、ですね。
問4 軽食コーナーから開館中のすべてを見て回る順番を考える。閉館中の2つをパスします。隣どおしを順番に見て行くという常識的な発想をするとうまくいきません。途中まだ見ていないものを飛ばしても効率を考えて計画すると何とかなります。
問5からはガラッと変わって理科というか、算数のモビール算とその現場応用問題。
問5 バランスの計算はあっているのです。算数の問題ではないのです。現実の問題としてだめなのです。動かすと「からまる」のです。棒2の右端が回転すると棒1の大クジラの糸と「からまる」のです。解決策は大クジラの糸ウを短くするか、右の糸エを長くするかです。実演した生徒さんや理科部生が有利です。
問6 理科・算 図5のモビールではつりあわない。計算すると左がモーメントで150不足。そこで左5に30gか、左3に10gで釣り合う。算数。
問7 設計図通りに作ったモビールの棒が傾く。その理由は支点からの左と右の棒の部分の重さのせい。普通は小学校の問題はそこまで考慮しなくていいことになります。現にこの問題でもひもの重さは無視していいことになっています。ですから、あとちょっとでの現場での不自然な傾きをどう取り除くかの問題です。
使って良いものとして「あぶらねん土」がありますので、これを現場感覚で、「棒6の左のくじら側が明らかに棒の部分が少ないので軽いわけです。そこで、支点より少し左側にあぶらねん土をつけて調節する。すると今度は棒4が右側が重くなるので、棒4の左側にあぶらねん土をつけて再度調節する。」ですね。普通の小学生問題では触れない(棒や糸の重さはないものと考えるのが普通)領域まで踏み込み、ちょっとおもしろかったですが、正確な数値が出ない点が変に計算になれた生徒さんがかえって迷うかも知れません。良い問題なのですが。
![]() ツバメの巣はなぜ落ちる/米・中・日本・インドの二酸化炭素排出量1990〜2005年版
2017・7・12(水)
適性検査2
6題あります。
1
算
問1 社 1990年と2005年の @ 東京都の家庭におけるエネルギーの種類別二酸化炭素排出量の図と A 家電製品の所有台数の移り変わり、 B 東京都の人口と世帯数の移り変わりの表 の3つを比べてその資料からわかることを挙げる。
例えば@とAで電力消費量が1.2倍に増えていることは、カラーテレビ、冷蔵庫、ビデオデッキ、電子レンジなどの所有台数が横ばいの中、エアコンの所有台数だけが1.9倍に増えていることにも一因がある。
@とBなら、東京都の人口を世帯数でわると、1990年は一世帯あたり人口は2.5人だったのが2005年には一世帯あたり2.2人に縮小している。また、2005年の人口や世帯数を1990年の数字でわると、それぞれ1.1倍、1.2倍とこちらも人口の増加割合より世帯数の増加の割合のほうが若干多い。このことから東京は人口対世帯数では、人口も増えたが、それ以上に世帯数が増えたことにより、二酸化炭素の排出量は一世帯あたりを単位にしたとき、少ない人数でも同じようにクーラーを備えるなどの無駄が生じているからではないかとわかる。
この二つの比較では、家電製品の所有台数の移り変わりの図の方が、人口、世帯数の移り変わりの表より一部の変化がはっきりしているだけ、採り上げやすい。短い時間で試算するしかないので、どちらを比較に利用したかではっきりした結果とややぼやけたかも知れない結果(いい例が1.9倍という数値と1.1倍という数値の違い)の差がでます。数値の差がそれほどにも感じられないと自信も生まれにくい。テストの際には両タイプを比較して良い方を選ぶだけの時間の余裕はありませんので、こういうのが現場でどうしても起きてしまう運命の分かれ道かもしれません。
問2 社 1990年と2004年におけるアメリカ・中国・日本・インドの二酸化炭素の排出量を一部計算し、選んだ国の人口の変化と二酸化炭素の排出量の変化について書く。
問3 社 経済発展をしている国に対して、二酸化炭素排出量を減らすために日本にできることを具体的に書く問題。
変な問題ですねー。日本にできることですか・・・何か、日本のおごりのような気がするのですが・・・ともに学び合うではないですかねー?それとも経済発展中の国々の現状は想像以上の惨状なのでしょうか。各国の公害につながる真実は30〜50年後でないと全体像はわからない、または闇に葬られる、のでしょうね。経済発展をしている国の若者がこの質問を読んだら今はやりのヘイト論争につながりかねない問題です。あ、受験生の皆さんは素直に思いついた公害防止の知識、技術、関連産業力を移転すると書きましょう。もっと具体的には水道浄化のシステムを移転するとかですね
2
理
問1 理 つばめの巣作りでは、なぜ一戸建て住宅をあまり利用せず、集合住宅や一戸建て商店を利用するのか。建物の構造や建物の置かれた環境から自分の考えた理由を書く。環境の方は、人の出入りが頻繁(ひんぱん)だからと書けるでしょうが、建物の構造の方はよくわかりませんでした。声の教育社解答でもそこは触れていませんでした。
問2 理 つばめの巣作りの途中でなぜ失敗する例があるのかを説明する。意欲作です。そうですが、結論は見えている気がしました。調べて問題を作った方にはもうしわけないですが、みんな合ったでしょう。
![]() 公倍数の問題。プラスチックが水や塩水に浮いたり沈んだり・・2017・7・12(水)
2017・7・12(水)
適性検査2
5題あります。
1
問1 算 トランプのカードでオセロの白の数を決め円形に並べる。一枚を黒にしておく。次にサイコロで最初の黒から進む数を決め(何種類かの候補を用意)、繰り返しているうちに黒に重なったら終わりにする。質問はその後で、サイコロで出て欲しくない目の和を2つ挙げる。これはようするに公倍数にならないように数を選ぶ。
問2、問3もその関連の公倍数や公約数を調べる問題。
2
問1 理 プラスチックの分類でPP(ポリプロピレン),PS(ポリスチレン),PET(ポリエチレンテレフタラート)を説明し、それぞれの1c?あたりの重さ(比重)を紹介し、分別する方法を具体的に書く問題。図の5で食塩水、砂糖水の濃さと重さの関係のグラフを紹介してくれているので、それを信じて、楽に計算できます。たて横整数どうしで一致するいわゆる格子点を選ばないと時間を損します。候補が6つもあります。
![]() 本格的なパンの作り方。
2017・6・21(水)
適性検査2
5問あります。
1
総・社・算
問1 社・算 ここでいつもの「少数の割り算計算」を出題しています。米・畜産物・油脂類・その他の国民一人あたりの供給熱量。1960年。1970年、2005年を比較して読み取れることを説明する。
問2・3 総合・社・算 先進国と発展途上国の世界人口の変化のグラフと主要穀物の需要の変化のグラフを見て、食べ物がこれからも足りず、需要は増えるだろうことを説明する問題。2050年の予測では世界人口はそのとき先進国12.41億人、発展途上国79.50億人、世界合計91.91億人です。当方が子ども時代の世界の人口は24億人と今も記憶しています。今思えばたった24億人かもしれません!そのころに脅かされていた世界人口100億人の壁はもうそこです。震え上がる数字です。そして、この二つのグラフのもう一つ、主要穀物の需要のグラフのこれまた空恐ろしさ!2003年時点で飼料用の穀物だけでも25億トンの需要。一方で世界で7億5千万人の人が栄養不足。こういう数字の取り出し方にはやや当方の恣意性が加味されましたので、若干落ち着かない表記ですが、それにしてもこれでいいのかという問題提起でもあります。入試とは関係ありません。入試勉強しながらの「少年少女なりの正義感からのざわめき」にはつながるでしょう。生徒さんたちの時代の最重要課題です。
2
総合・家庭科 スポンジケーキ・ホットケーキ、パンの作り方だよ!おもしろいよ!時間内無理。
問1 写真そのものがすでに相当程度物語っています。スポンジケーキがおいしいのは、おそらく小さな空洞が「ふわふわ」感のもとだからだと確認できないとなにが問題なのかすらわからないですね。普段繊細な味覚を持っていないと題意がわからないかもしれない。ですが、模範解答を見ると、なーんだ、すきまがあるかないかだけでいいようですね。考えすぎました。そうか、ふわふわはすき間からくるのかー!
問2・3 問2は質問に至るまでが長いです。
まずパンを焼く話なのです。材料をこねあげるのに1時間。ドライイーストを使って強力粉を3倍に膨らませます(一次発酵)。そのあと一度余分なガスをぬき、きりわけ、形を整え、天板に並べ2倍にふくらむまで二次発酵。ふくらんだら、180℃に熱したオーブンに入れて20分くらい焼く。
次ぎに一次発酵は室温に影響する。この会話の場面での室温を武蔵くんが測ると27℃。あとの問では20℃。途中で冷蔵庫で保存する方法とそれによるパン生地にあたえる影響も説明しているが、今ひとつ10時間を越すあたりからの説明が不明。もう一つの30℃発泡スチロールを使う方は未検討。結局だいたいはわかるのですが、ヒントがあちこちに散らばりすぎていて、一度では把握できませんでした。パンを焼いたことがなかったのでおもしろかったですが、当方が受験したらこの問題は落としていました。
![]() レーマーの温度計とは?アルコール温度計を作ってみよう。
2017・6・21(水)
適性検査2
6問あります。
1
算
問1 算 質問の中の物語りで、登場人物が30分しかない持ち時間で置き時計と懐中時計の進み具合のずれをチェックする問題。1時間を4分の1とか6分の1に縮めて計測すればいいわけです。簡単。
問2 算 置き時計と時報を比べて最小公倍数を出す問題。そちらはすぐできるのですが、もう一つの問題、置き時計、懐中時計、腕時計の中から2つ選んで、時報と同時になるのは次ぎにいつという問題。こちらは私立中受験問題でいう「連比」+公倍数の計算なのですが、とても面倒でした。
実は置き時計、懐中時計、腕時計、正しい時計(時報)を4つまとめて連比にすると1000:1140:1197:1200の比になります。ここまで計算するのは大変な「時間の無駄」になりました。できることはできますが、よほどのスピードと正確さを兼ね備えていないと入試に落ちる地雷原になる問題です。やはり、算数系の問題では「場合分け問題」やこういう「一つにまとめるのが大変な問題」は避けるのが王道ですね。武蔵中の面目躍如です。時間無制限ならおもしろい。解けたら快感という問題でした。
問3 社・算・総合 干支の十干・十二支をしっかり利用説明する問題。10の倍数でくりかえしていく十干と12の倍数で繰り返していく十二支では、「甲牛(きのえうし)」や「乙寅(きのととら)」など全部で60タイプがないのですね。これは公立中対応の進学塾で対策済み問題だったでしょう。ただし、初めて見た方はきっとおもしろいと思います。なお、白?中など他の中学でも似た問題が出題されていましたね。
2
総・算 アルコール温度計の作り方、温度の刻み方。これまたおもしろい。
問1 理・算 温度変化のグラフから資料の水の量がどちらが多いかを説明する問題。スタートの温度を、はるきくんたちの班もとなりの班も70度にして、40度に下がるまでの時間を調べるとすぐわかります。以上のような判断をしてスタートするまでに、どれだけもたつくかが合否の分かれ目。
問2 理・算 レーマーの温度計の話
おもしろいですね。ただし、問題ではレーマーの温度計での計測の基準になる「塩水が凍る温度」がセルシウスの温度計の何度にあたるかがわかりません。そこで次の基準を探すと、水が溶ける温度が7.5度で沸騰する温度が60度。60−7.5=52.5、100−0=100から、レーマーとセルシウスの温度配分を比にすると、セルシウスの1度はレーマーの0.525度とわかる。したがって20℃の水はレーマー温度計では、7.5+0.525×20=18℃。あとはグラフのいわゆる格子点(縦横整数値の場所)をチェックすると1分、3分、5分、6分、7分までははっきりでます。例。3分なら、7.5+0.525×55=36.375℃。そして最後の9分でも厳密には100度にならないのは仕方ないので、解答欄の方も60度に限りなく接近させればいいでしょう。
解答欄の縦軸の件です。受験するような生徒さんはどちらかというと完璧主義者が多いでしょうから、縦軸を最上端まで使いたい気持ちになるでしょう。そうすると一目盛りが3.3度になり、つかいづらくなります。ここは書き込みやすいよう、一目盛り2度で書きましょう。グラフ的には横長になってしまい、ものたりませんが・・・結局全体としては良い問題です。
問3 理 0度から40度までをはかることのできる温度計を自作するシミュレーション問題。40度というのは体温計をイメージしているのかもしれません。すると当方のような昔の人間はすぐに水銀温度計が脳裏に浮かびます。受験生の方が浮かぶのはデジタル温度計ですね。
ポイントその1はゴムせんをどの時点でするかだと思われます。
ところで、そもそも温度計の上端の空間はどうなっているのでしょうか。大気圧の影響をしゃ断する必要があるので密閉するのはわかりますが、ではそこの空間には何があるのか。またはないのか。なまじ気体があると温度上昇により気体が膨張しますので、下のアルコールはむしろ押し下げられたりすらしかねない。どうしても真空に近くなくてはいけないでしょう。真空に近くても実際に運用すると使っているうちにアルコールの揮発(蒸発?)で気体で満たされ、数値が変わっていく、または複雑な目盛り幅になったりするかもしれません。それを考えると思考があらぬ方向にどんどんずれていきます。武蔵中の問題はそこをわざとふれないようにしていると思いますのでふれずに解きましょう。つまりガラス管を40度より高い温度にしてからゴムせんですぐ密閉する。その後デジタル温度計で40度まで下がったことを確認し、そのときの水の線に油性ペンでガラス管の外部に40度のしるしを書く・・・・。その他の部分は模範解答を。
ガラス管選びは特殊な思いつきがなければBです。内径が狭くなるので、温度差が大きく目盛りに影響しますから。
![]() 変形樹−風力発電の適地を地図に書く。/ヘラクレスオオカブトにひっぱらせると・
2017・4・26(水)
適性検査2
6問あります。
1
問1 理 風力発電に適した場所を地図中に記入する問題。風力発電は、風が強いほどよい。騒音による被害を防ぐため人家に近くないこと。その土地は他に利用する利点がない。自然の地形として常に風が吹きそうな場所を選ぶ。などをあわせて決めましょう。答えを地図に書き入れる珍しいタイプの問題。書き込み問題は当方、ちょっとわくわくします。なぜなのでしょう。
2
理 模範解答では足の数で分類処理していました。節足動物、環形動物、線形動物などの分類でも処理できるとあります。ただし、その知識は小学校の知識を越えているはずですので、少なくとも他の分類があるはずです。そこで、・・・
全長で分類すると 1mm前後 @CFG 1cm前後ABDH 2cm前後 E (これが苦しいところです)
名前で分類すると 〜ムシ BDFHk 固有名 @A 固有名+ 修飾語 CEG
足の数第二案 多数 CDH 8本または6本 @ABF 0本 EG
足以外の分類がないはずはない。ちょっと遊んでみました。
![]() さいころ問題解法の必殺技の紹介
2017・4・26(水)
適性検査2
1
問2 算
さいころの6面のうち、真上の正方形とその面の周りに垂直な4面をつぶして伸ばした平面図をイメージしてみましょう。するとさいころ形の6面のうち5面が一度に書けます。6面のうち真上に5が見えればその周りは1、3、4、6後ろが2。この書き方だと、立体図形のイメージしにくさという心理的負担感が大幅に緩和(かんわ)されます。これは当方もインターネットのさいころサイトで教えていただきました。感謝です。さいころ問題の必殺技ですからぜひ書く練習をしてマスターしましょう。
![]() しじみ、木の実、イノシシの研究から縄文弥生の暮らしを読み解く!
2016・12・7(水)
適性検査2
6問あります。
1
縄文時代から弥生時代の人々の暮らし。 良い問題です。
問1・2・3 社 縄文時代の化石を題材にしています。まず琵琶湖の貝塚から採集されたシジミと、同じく縄文時代の木の実の研究から読み取れること。銅鐸に残された弥生時代の狩りの姿の模様。鳥浜貝塚から調べられた出土イノシシの年齢比較一覧。よくもうまいこと横並べしたものです。シジミ、木の実、イノシシの研究など、こういうのが学問なのですよねー・・・思わず本題からずれて楽しくなってしまいます。
2
オゾンホールとフロンガスの関係。
問1・2 理・算 資料をもとにしてグラフを書く問題です。目盛りの数字も自分で書くのですから、これは良い問題ですね。ちょっとわくわくしますね。しかも書いたものについて「分かることを書く」のですから、ちょっとしたミニ学問修行ですね。いいぞ!
問3 理 新しい化学物質を使い始めるときに、気をつけなくてはいけないことがいろいろとあるのだと表と図から再確認できます。良いと思ってしたことが次の問題を起こす、きっと他にも多いのでしょうね。
![]() 運動会の奇跡の裏には緻密な計算が!/あずき一粒の重さを量る方法。
2016・12・7(水)
適性検査2
6題あります。
1
運動会関連問題です。運動会には奇跡がつきもの!奇跡の裏には緻密な計算が!良い問題です。
問1 算 むちゃくちゃ面倒です。まず題意を把握するまでに時間がかかります。むかで競争までに565+648+497=1710点。総当たり戦が4プログラム。総当たりだから1プログラムあたり赤・青、赤・白、青・白の3試合。従って50点×3試合×4プログラム=600点。各学年種目は150点×5プログラム=750点。すると1710点−(600+750)=1710−1350=360点。360点÷50点(予想最高得点)=7.2回(予想最低レース数)となる。半端はでないので、予想最低レース数は8試合。逆に最高レース数は1レースの点数配分が最低で0+1+2+3+4+5=+15点なので、360÷15=24(予想最高レース数)となる。ふー疲れる!
問2 算 青・赤・白団の順位を残り2種目で逆転する方法を考え、その結果の得点を考えて書く問題。むかで競争は1位80点。2位50点。3位20点。計150点。選ばつリレーは1位140点、2位50点、3位10点とすると11試合目まで3位の白団が1位になることがある。そういう道筋が見えていれば簡単。言っていることが分からなければこの問題も難問。
問3 算 4つの箱の倉庫へのしまい方。縦横を工夫すると「とにかく始めれば」結果がでます。
2
原液を体積で5倍に薄めるには重さでどれだけの比率にすればよいかを考える問題。茶化せばカルピス問題?
問1 理 あずき一粒の重さのはかり方。100粒にして量ればある程度の平均値がでますよね。
問2 理・算 量で5倍に薄める作業を重さで計算し直す問題。案外良い問題。100mLの原液を400mLの水で薄めると体積で5倍。すると、それは、原液125gを水400gで薄めるわけだから、 125:525=□:(258+265+261+256)を計算すればよい。
問3 理 空気より軽いものを電子式のはかりで量る方法を考える。
![]() よさこい祭りはどのようにしてメジャーになったか?/トキの子育てとこれから!
2017・9・5(火)
適性検査2
1
よさこい祭りはどのようにしてメジャーになったか?/トキの子育てとこれから!
2
理科 トキについての自由研究がテーマ。
問1 えさをとる、枝などで休む、ねぐらで寝るというトキの一日の暮らしぶりを時間で割り振った円グラフが春夏秋冬の4つ紹介してあり、それをもとに「わかったこと」を空らんに書く問題。さらに、ひなを育てているときの親鳥の一日のくらしぶりを前述の4つの円グラフと比べる。すると円グラフはどのように変化すると考えるかを書く。これは明らかにエサをとる時間が増え、休む時間がほとんどなくなり、寝る時間は暗いときは寝るしかないので、春と夏の中間と想像できますね。エサをとる時間が細切れに書けるといいのですが・・・
問2 (1) トキの食物連鎖の関係を食物網に記入する問題。
(2) 「トキがふえていくために必要なこと」についてのまとめを、食べているえさ、水田の1年間の様子に注目して書く。定番と言えば定番問題ですね。
![]() イチゴのジャムを家庭で作るためのグラフを作成!
2017・9・13(水)
適性検査3
6問あります。
1
パズル・計算 クラス対抗の球技大会の計画をする問題。
問1・2 練習場所の割り当てをする。バレーボールのボールの色分けデザインを自主的にする。場合分けの問題。
2
理科・算数 イチゴジャムを作る問題。ジャムは砂糖などが40%以上ふくまれたもの(日本農林規格)。まずイチゴ100g、砂糖50gでかき混ぜながら煮る。図1は材料を煮たときのなべの中身の重さの変化を、横軸は「煮つめはじめてからの時間」、縦軸は「重さ」で表したグラフ。このグラフを利用して40%以上になったときを説明する問題。
問2は1のグラフを改良して、ジャムの濃度(パーセント)を自分で決め、煮つめる時間を目で見やすくしたグラフを書く問題。イチゴの重さを横軸、火を止めるときのジャムの重さを縦軸、とすると何分煮つめたらいいかが家庭ですぐわかるわけです。理科の応用としては大変親しみやすい良い問題ですね。
![]() コチ・ダシ・イナサ・ヤマゼ・マゼの風向き?/南極大陸の氷床から気候を判断
2017・9・28(水)
適性検査2
8問あります。
1
初めて読んだときの感想です。「良い問題だが文が長すぎ!」それから何度か読みましたから、当方今は楽に読めますが、受験生は大変でしたね。
問1 理・社 上位2県である静岡県と島根県を選ぶと、「ダシ」の最頻値は静岡では北、島根では南とわかり、それぞれ静岡県は北に山、島根県は南に山があるからと推測出来る。フジオロシが吹く都庁・県庁を選ぶ問題ですが、常識から静岡市か甲府市となるでしょう。
まさか東京湾を越した千葉市や東京都、横浜市にフジオロシは吹いても届かないでしょう。個人的なことですが、当方幼少時、都下武蔵野に住んでおりましたが、「フジオロシ」という言葉は聞いたことがありません。小学校中学年時に父親の転勤で兵庫県伊丹に2年弱おりましたが、ここでは「六甲おろし」というクラス文集を作った記憶がありますから、間接的には縁があったのでしょうか。本当に吹いていたのか阪神タイガース応援歌の影響だったのか・・・土地の人しか知らない知識ですね。話を元に戻して、あるいは東京の南西、横浜市あたりはなごりがあるかもしれませんね・・・静岡市なら北東の風、甲府市なら南南東の風ですね。
問2 理・算 グラフを書く問題。計算問題でもある。少数の割り算問題。
問3 理・社 日記資料をよく読めばヤマゼは雨が降るとき、富士山は見えないか、見えても暗いときに。イナサは雨が激しく、大雨のとき。マゼは暖かい陽気のとき。それぞれ多いことが誰でも読み取れます。
2
木の年輪から年代を推定する。さらに古い時代を推測するための湖の底にたまった土の層、「年縞(ねんこう)」。もっと前の時代を知るための南極大陸の氷床。この二つの資料からそれぞれ年代を推測し、気候の特色まで調べる問題。おもしろい問題です。
問1 理 ABCをよーく見ると、共通性はみつかります。あると思ってさがすと見つかる問題です。
問2 理 図4からトウヒが17500年前ごろから15000年ぐらい前に、ブナのなかまが14000年前から10000年前ぐらいに多かったことが分かります。トウヒとブナのなかまでは花粉の個数が全然違いますが、それは判断材料としては使わなくていいと思われます。図の5から2万年前と1万年前の氷床の厚さがわかります。それを利用すると図の6から氷床が300mのとき−54℃。500mのとき−64℃。したがって20000年前は−64℃、10000年前は−54℃とわかる。それと図4を比較すると20000年近く前(図4からは17500年前)は寒く、10000年前ごろは少し暖かくなってきた。といえる。
とはいえ、図4・図5・図6がこういう形でつながっていることを読み解くのは案外難しいです。そもそも2万年前と17500年前の資料を同一視するのは少し大胆といえば大胆なので、迷っていると何も進まないですね。
![]() 線対称・点対称・3回対称/タデアイから染液を作り、布を染める
2017・9・28(水)
適性検査2
7問あります。
1
線対称・点対称・3回対称(3回まわると、もとに戻る図形。)
問1 算 14ある模様を線対称、点対称、□回対称の3つに分ける問題。導入の問題。
問2 算 5個の色違いタイルで点対称を3種類作る問題。
問3 算 面対称な図形(この言葉、小学生には初出)の切り口を解答欄に書く問題。
問4 算 面対称な図形のさいころの個数を数える問題。一種の数列問題。容易です。
2
生徒4人が育てたタデアイから染液を作り、布を染める問題。意欲的な素材なのでしょうが、正直いつもの問題。
問1 算 育てたタデアイの葉を何枚か集めて20gの重さの葉を用意する。タデアイの葉には小さい葉、中ぐらいの葉、大きい葉があり、表1に葉のたての長さと重さの一覧表がある。ここから小さい葉、中ぐらいの葉、大きい葉をそれぞれ同じ枚数集めて20g以上30g未満のタデアイを用意するための計算。3種の葉の最低の重さなら0.77g、最高なら1.07gこのとき20枚÷0.7=25.9・・、20枚÷1.07=28.039・・・このことから26枚以上、28枚以下とわかる。
問2 理 タデアイの葉をビニール袋にいれ、酸素をいれた袋と酸素を抜いた袋で実験すればよい。その際明るい場所と暗い場所を用意し、計4セットの実験をする。
問3 算 図さえ書ければ面積の計算は容易です。はさむ木は広げたときの真ん中になるようにしましょう。後の計算が楽ですからね。楽な例を予想して、すばやく解く。合格への王道ですね。
![]() 明治大正期の三多摩の農家の1年は大変だった・・・/小水力発電実現への課題。
武蔵中も平成27年から、独自問題を適性Uの(2)と独自問題で目一杯出してきました。小石川中と並び称されることの多い武蔵中のプライドがありありと出ています。社会科は武蔵中のある武蔵野市がかつてから属する「三多摩」の問題。おそらく三多摩を問題にするこれが最後の機会。理科・算数は「平面図形や立体図形の頂点と頂点を結ぶ線分の関係」を問う問題。グライダーの「主翼、水平尾翼、垂直尾翼の面積」を問う問題、どちらも意欲的。だんだん題材が難しくなってきますねー・・・
2017・9・23(土)
適性検査 U(2)
3問あります。
1
総合 もし東京が大都市になっていなかったら、ここで紹介されている姿の延長が日本の多摩地区の現実だったのです!
質問は、水車の利用の問題。しかし、台地や丘陵地が多い地域でどうして水車がそれなりにあるのだろうか・・・ひょっとするとだからこそなのかもしれません。水車の配置状況が当方にもわかりませんので、そこは知りたいこととして残ります。さて、
資料の関係から東京の多摩地域の明治期から大正期の数字。図や表を調べると、最初の予想より複雑です。
表1は明治期から大正期の「多摩地域における水車の仕事別地域別利用台数」の表。図1は「大正期における東京都の地形の様子と郡の位置」の図。表2は「多摩地域における地域別に見た主要産物の生産」の表。
問1 北多摩郡、南多摩郡、西多摩郡の3つから1つ選ぶ。選んだ郡の地形と水車の仕事内容との関係について登場人物の会話と図1、表2をふまえて説明する。条件がついていて、表1で、水車ののべ台数に対する割合が大きい仕事に着目して、地形との関係を説明する。
一番大きいとは書いてないので、二つぐらい候補をあげると、北多摩郡なら精穀か、製粉。南多摩郡なら精穀か製糸・織物、西多摩郡なら精穀か製粉。このしばりがなければ西多摩郡は製材もあげたいところですが・・・それぞれの特徴的な数字をあげると、北多摩郡なら製粉、南多摩郡なら製糸・織物、西多摩郡なら精穀とすると棲み分け感がでますね。
次に主要産物の表に注目すると、北多摩郡は小麦が突出。南多摩郡は絹織物の生産、西多摩郡は木材が突出となります。まだ触れなかった地図情報の図1をあっさり書くと、北多摩の代表都市は今の立川、吉祥寺、南多摩は今の八王子、西多摩は今の青梅、ついでにさらに東にあり、先に消滅した豊多摩郡の代表は今の新宿(地図には新宿しか記載なしのため。
最後に地形です。あっさり書くと、北多摩郡は台地、南多摩郡は丘陵地、西多摩郡は山地なのです。台地は少し高く、平らな土地で水田には向かない、丘陵地はなだらかな丘という違い。そこから、北多摩は小麦などの畑の作物が、南多摩は桑畑からカイコの桑、西多摩は山で木材となりますね。あー長かった。表と図の説明で時間ががかります。
問2 米、小麦、大麦の中から一つを選び、その作物をいつ収穫し、いつごろ水車で精米や製粉や精穀をし、どのようにして食べたかを説明する。
図2と図3を見ると、米は一年中水車で精米しています。小麦は収穫の後の7月が突出。大麦は10月と2月。武蔵君の会話も参考にすると、質問の答えはほぼ会話にそって図を援用すれば書けます。
大麦は結局食べづらいので他の食料のとぼしくなる2月に精穀するのですね。豆知識が増えます。
日本の他の地域と違い、何しろ陸稲だから、収穫量というか、栽培面積もそう大がかりではなかったはずで、次の年の新米の収穫前には米は足りなくなったと想像します。ですから、補完する小麦、大麦が多摩地区では大切だったのです。大麦は常には割って混ぜ、小麦が採れるときは小麦にシフトする。なるほど、大変だったのですねー・・・
割麦かー、そういえば昔は米に麦が混ぜてあった!もし東京が大都会になっていなければ、台地や丘陵地に住む、東日本の一地方の厳しい生活が今でも続いていたかも知れません。現実の東京都という雰囲気からは想像できない、100年ほど前の姿を知ることができ、とても良い問題ですね。
蛇足です。東京都下という言葉がありました。またはまだあります。都下と総称するなかに戦後しばらくまでは上記の三多摩と称する郡があったのです。もっと前は今の練馬区などが豊多摩郡だったことすら・・・。明治大正、昭和の戦後までは名残がありました。当方、住んでいたからよく承知しています。陸稲(おかぼ)。ありました!O君の家が栽培していました!何しろ、となりの市の名前が「田無(たなし)」市(今の西東京市の一部)。今の人にわかる言い方ならば、トトロのすみかが北多摩郡、ぽんぽこ狸合戦の舞台が南多摩郡です。かつては都立高校の学校群すら意味不明の7・8・9学区合併群として三多摩ならどこの都立高校でも受けることができたのです。東京都の中でのなぞの独立地帯だったのです。今回こういう形で問題化され、水車という狂言回しで一瞬の表舞台。なつかしかったです。そして、「やはりそうだったなー」という実体験がらみの郡の特色、おもしろかったです。東京さえなければ、多摩県で県庁所在地は八王子か立川。空想の羽はどんどん広がる。
問3 「小水力発電」」の際の基準にする水の「流況図」を国土交通省資料よりグラフ化した資料を参考に効率よく発電できる川を選ぶ。
その際、最大使用水量を多い方から95日目(一年の4分の1にあたる)と仮定し、その30パーセントを切ると発電しなくなることにし、一年にどれほど発電できるかをグラフから読み取り、計算する問題。説明が長くなる理由はこの概念が初出に近いからですかね。理解するまでに時間がかかる。当方の言う「まごまご問題」。ただし、わかればなるほどの問題でした。
3つの河川ともグラフの線が接近していますので、読み取りにくいです。それでも辛抱して読めば、A川は一年中使える。B川は半年使えない、C川は2ヶ月ほど使えないと計算出来ます。思いつきで考える「小水力発電というアイディアはすばらしい」という感想は、現実化する際にはこういう判断を積み重ねて実現していくのですね。勉強になりました。
![]() 五輪マークの構造/立体図形の公式作り/グライダーの作り方と飛ばし方
2017・9・23(土)
適性検査 V(3)
6問あります。
1
算 平面図形をイメージできるかの問題。
2020年に行われる東京大会の話題から。当方もそうですが、マークを見ているだけですから、五輪のマークがどうできているかなど実は知りません。問題は、豆知識です。そのデザインを確認した上で。
問1 では、このうち「輪と輪が交差した部分のかき方を変えて三つの輪がばらばらになるような図を作る」として、どこの部分を書きかえれば良いかを答える。
問2 (1)ねん土玉9つを規則正しく並べて正方形を作り、その間を針金で結ぶ。そのとき結ぶ針金は何本になるか、どんな図になるか、から図を交えて説明をはじめ、ねん土玉16個の図、36個の図を紹介。今説明のため9や16や25と書いていますから、ヒント性を感じるでしょうが、そもそもの問題にはこういう数字は出てきません。わざと出さなかったのでしょう。
この36個のときの一例の図を見たとたんに針金の本数を言い当てる「ふゆみさん」が登場。ふゆみさんはどこの特ちょうに注目して本数がわかったのか?が問2。
これは「崩しがいのある質問」でした。しばらく「あーでもない、こーでもない」と当方も考えました。そして図6の8本、9本、10本というヒントの図で、そういえば、下の絵は16、次のページの絵は36のねん土だなー・・・これだな、ヒントは・・・と糸口がみつかっていきました。
問3 次の問題は立体図形化した図を読み解く問題。真上から見た図の頂点と頂点を結ぶ直線を調べる問題。図の11が最初なじめないのですが。あ、これ「さいころ必勝法の面の書き方」と同じ手法だ!と気づくと、急になじめます。ただし、「交差する」という表現の厳密性(定義)が当方にはよく分からず、つまり、いわゆる「クロスしている直線同しの関係」を「交差」というのではないかと思うのですが、模範解答では他方の直線は接している半直線でも「交差」なのですね。普通こういうときはせいぜい、「線分と線分が接している」ではないのでしょうか。まして、小学生は定義すら知らないのですから、模範解答、無理があります。または当方が何か勘違いをしているのかもしれませんね。
2 算数・理科 グライダーをバルサ材で作るときの設計図を作る問題。
問1 「空力中心」という概念が今一つはっきりしませんが、出題した武蔵中の先生の気持ちではあっさり無視に近い説明で終わります。少し気になったままスルーしていくよりありません。とにかく、グライダーの紙飛行機の作り方の本を書かれた二宮康明さんが紹介して下さっている「水平尾翼の面積と垂直尾翼の面積を計算するための式」を信じて先へ行きます。こういうところでもたもたすると合格しないのが、適性問題の欠点なのです。好奇心あふれる生徒さんはここが気になってしまう。別に注意力散漫なのではなく、集中力に欠けているのでもなく、12歳などそんなものでしょうし。で、スルーした人から、計算式にあてはめて、何種類かある解答の一つを見つければいいのです。
問2 グライダーというか、実質紙飛行機のようなものですが、それを飛ばす実験をすると、当然最初は左右、上下にそれて飛ぶ分けです。登場人物4人の飛行試験の結果を1回目、2回目、3回目と紹介しています。ポイントは「まっすぐに飛ばす」です。すると飛行試験結果の表で、水平方向A、垂直方向Eがまっすぐに飛ぶ正解ですので、図3のAは右に旋回する修正をする。以下、Bは左方向へ、Cは下方向へ、Dは上方向への修正とわかりますので、最後の4回目飛行試験に向けてそれぞれ調整すればよいのですね。どの登場人物でも正解にたどりつきます。
問3 最後は理科ですね。上昇気流の発生場所、発生条件を理由とともに具体的に示して書く。よくある理科の教科書問題です。
![]() 光の害を少なくする工夫。ルーメンとルクスってどう使い分けるの?
2017・10・4(水)
国際光(ひかりねん)」の話題。内容は意外と平凡です。
適性検査 U(2)
3問あります。
1
理科・総合 「光(ひかり)害」の問題。
問2
(1) 「照度」の変化と「出穂遅延日数」との関係について、水銀灯と発行ダイオードのどちらにも共通する傾向を書く。
(2) 次に、水銀灯の光より発光ダイオードの光の方がすぐれていることを「照明器具の明るさとイネの穂の出るまでの関係」のグラフの縦軸「出穂遅延日数」の変化から説明する問題。
問3 「最近改修された近所の街灯の形の変化を示した写真」と「改修前後の照明から出る光の量と照らされる地面の明るさ」を記録した表1の二つを紹介。ここから、照明器具の改修前と後とで、照明から出る光の量と地面の明るさがどのように変化したかについて答える計算問題。表を見ますと、照明から出る光の量はA地点では45.5パーセント、B地点では65、7パーセントと少なくなっているのに、地面の明るさはA地点で5.2倍、B地点で2.3倍とすばらしく改良されています。
? 改修された街灯の写真の説明:改修前は明かりが無駄に上の方に拡散されるタイプのデザインの街灯。改修後は明かりがもっぱら下方向を照らすのに使われているデザインの街灯の写真です。
光の単位として、ルクスは照らされている地面などのものの明るさ(照度)を表し、ルーメンは照明から出る光の量を表す。ルーメンは最近の照明器具ではよく表示されているそう。
![]() 正方形のますの中で一筆書きを!/500gの氷を溶かして10℃にするには・・・
2017・9・23(土)
適性検査 V(3)
6問あります。
1
算 小さな正方形(ますと名付ける)を集めた大きな正方形、4個タイプから始まり、9個、16個、25個・・・のグループを用意し、すべてのますを一度だけ通ってスタート地点に戻るゲームの問題。いわゆる一筆書き問題の一種。偶数個だと可能、奇数個だとできない。
問1 16個でスタート地点に戻る経路を書く問題。偶数個の例。
問2 25個でスタート地点に戻る経路を書く問題。奇数個の例。説明にあるとおり、この場合はどこか1カ所だけ通らなくて良いますに×を書く。
問3 立体の表面のますを全て通る経路を考える問題。実際には途中まで経路が引かれていて、その先を書く。さらに、できあがった経路の直線によって囲まれた図形の面積を答える。問1や問2はすぐできますが、この問3が合否の分かれ道のような問題。立体の展開図上に線を引くため、経路は途中で展開図の外にはみ出す。そこの処理の説明が短い時間でスッと頭にはいるか。そこが運命の分かれ道かもしれません。
2 理科・算数
問2 0℃の氷一定量を10℃で8倍の水で溶かすと、氷が溶けて0℃の水になる。では、0℃の氷500gを20℃の水何gで溶かすと10℃の水になるかという問題。初読ですと案外できません。えーとまず氷を水にする。次に0℃の水を10℃にする。この2段の操作がわかれば後は比の計算ですね。なお、1gの氷を水にする熱量、約80カロリーという知識を10℃の水8倍という表現で小学生の解ける問題にしています。
この先にいつか水の気化熱の問題も出されるでしょうね。気化熱は100℃のときとは限りませんから、題材には事欠かない気がするのです。
もう一つ、最近官民の運動で「打ち水大作戦」というキャンペーンを聞きます。特に毎年7月1日。都立中ではまだですが、きっとそんな話題をテスト問題にしたものがもうどこかの公立問題ででているのでは・・・。
![]() 理想の米とは何か?/江戸時代の加賀藩で米は85品種作られていた!中食・外食
2017・10・24(火)
適性検査 U(2)
3問あります。
スーパーマーケットで売られているお米の話題から入ります。資料がおもしろい!
1
社 お米をスーパーで買うときの基準は何かを武蔵君が聞く。米の袋についている表示を調べるが、そこからわかることは少ない。買い手にとっての「理想のお米」」と「実際によく食べているお米」をアンケートした資料から話は先へ進む。
問1 理想のお米を選ぶ理由のアンケート結果から、「減農薬など安心・安全な米」が理想の1位。「よく食べているお米」の方ではそれは5位。この差がなぜ生じるかを説明する問題。
問2 江戸時代の加賀藩の資料(「加賀藩の米の品種とその特徴(1738年)」武井弘一さんの「江戸時代の転換点」より)を紹介。早生、中稲、晩稲のそれぞれの品種に対する「良い味」の品種の割合を計算する。その結果わかることですが、早稲には良い味の品種が少ない。それにもかかわらず作られているのはなぜかを書く。
そういえば、現代では味が「良い」ことは発言しても、「ふつう」や「悪い」とされる米の品種など、表に出しません。わかりますよね、資本主義経済の常識ですから。だからこそ武蔵中も武井さんの紹介する江戸時代の資料を唐突に持ち出したのでしょうね。こんなところからも出題者の側の隠れた苦労が想像できて当方も何というか、凜として受け取らないとと思った次第です。
問3
(1) 中食(なかしょく)と外食(がいしょく)の説明をした上で、それらに対する要望のアンケートを図2で紹介。中食や外食に共通して最も多い、「より安全で安心なもの、健康に良いものを提供してほしい」という要望はなぜ多いか。その理由を書く。
(2)外食と比べ、中食に消費者がより多く要望しているもの、例えば「材料の産地や食品添加物、カロリーなどの表示をじゅう実してほしい」と「ごみの少ない包装、少量の包装にしてほしい」の2点を取り上げ、望ましい中食とはどういうものかについて説明する。あるいは同じ視点で外食について説明する。何を使っているかわからないことに対する消費者の心配があらわれていることを書けば良いのですね。話はなかなかおもしろいのですが、答えは普通に書けばできますよ。
それより、驚きましたねー、江戸時代の加賀藩の資料。よくも書いた、調べたです。加賀藩だけで85種類の品種の米が作られていたのですよ!日本すごい!または加賀藩?または篤農家、土屋又三郎?調べた武井弘一さん?「江戸時代の転換点」とはどんな本なのかと興味津々になりました。
![]() 3目並べを立体にすると!/塩水を濃くする方法を考え、現代の方式を科学する。
2017・10・21(土)
適性検査 V(3)
6問あります。
1
算 小学生低学年男子の必須アイテム、「3目並べ(9ます○×並べ」問題と立体板3目並べの問題。
問1 普通に勝ったときの○×の並びぐあいを図示。 問2 で27個の立方体(ブロックと名付ける)を積み上げた立体にして斜めも含めて勝ち負けを調べる。3個直列するとそれをラインといい、ラインが1つ以上できた人の勝ち。各ブロックにアからヒまで27の名前を決め、その中で通るラインの最も多いまたは少ないブロックを選び、そこを通ることの出来るラインの数を書く。簡単です。多い方は1種類。少ない方は、8種類あります。
問3 21個目まで書いた図を紹介。3か所不明箇所(オ、ソ、ノ)を残してあります。この段階で勝った人を選び、そのときの不明箇所(オ、ソ、ノ)を○×Δで埋める。直前の20個目のブロックは各柱の最上部に置いたことに注目しないと下の方のラインを選んで間違います。まあ、受験生はそんなへまはしないね。解答はいくつかあります。
2 理科 塩水を熱する実験からスタートします。
問1 岩塩の取り出し方、そのままほり出す方法と水を流し込んで、濃い塩水にして取り出す方法を比べて水を流し込んで取り出す方法の優れている点、またはおとっている点を一つ、言葉で説明する。この問題は「おとっている」方で書くべきでしょうね。
問2 現代の「特殊なまくを使い、塩水を濃くする方法」を紹介し、どうそのまくを置くと塩水が濃くなるかを図示する。
問3 3%の塩を含む海水1000gを濃度15〜20%の塩水にするには何gの水を蒸発させればよいかの問題。15%から20%までのどれを選んでもよいので、解答は整数だけでも11通りあります。ただし、1つ解くことは簡単です。
![]() 「大江戸商い白書」にびっくり!/日本橋北側にはなぜか銀行が多い!/観光客誘致!
2018・9・21(金)
適性検査 U(2)
3問あります。
1
社 問1 日本橋川にかかる日本橋(要するに東海道の起点、今の首都高に上空を占拠された日本橋)を話のスタートにした、江戸の問題。武蔵中はとにかく地道な学問を掘り起こすのが特色。
![]() レンガの積み方の公式を見つけよう/しかとガマスミの食物連鎖をグラフから読む。
゙2018・9・21(金)
適性検査 V(3)
6問あります。
1
算
問1 来場門のアーチの断面積を出す問題。すぐ出来なくてはね。
問2 縦16cm横 16cmの方眼紙を使って体積が96平方pになる直方体の柱を作る問題。96の約数がヒントの易しい問題です。
問3 これはなかなか面倒な問題です。まず図の5と7の意味を把握しないといけません。さらにルールの1から7までをしっかり理解しなければスタートできません。図8と図9の出来具合の説明がややわかりにくかったですねー。
当方程度の人間ですと、この読み取りがいつも大変なのです。「すばやく、正確に!」が合い言葉ではありますが、1度目の読みにはどこか読み飛ばしがあるのです。
その一つ目の理由はこの質問の枠組み、ルールがわからず、ポイントがつかめない。毎回これはそうです。
そして、最近思うのですが、二つ目の理由として、やはり本試験のときの読みではないなーと反省しています。小学6年生が45分という限られた時間で研ぎ澄まされた、今風に言うとチューンアップしまくった状態で臨んでいるのではなく、どこか横にお菓子を置いて鼻歌を歌いながら解いている、そんな緩んだ読み方をしているのでしょう。(本当にお菓子をおいているわけではないですし、鼻歌も歌っているわけではないですよ。念のため。)要するに問題に向かう姿勢ですね。2度目に読めばきっとわかると思いながらの読みです。それは明らかに質問文章との格闘ではない。だから横に脱線する。妄想が妄想を呼ぶ。おそらくこのサイトをお読みの方も同様な中だるみに陥ってはいませんか。だからこそ当方にたどり着いた・・・(ごめんなさいね。こんな程度で・・・)
都立中の質問は「善人の出した」、「定義しまくった」、「だらだらした」文なのです。好意的に言うと「質問文の中にすべてのヒントが内在している」のです。足を引っ張る風に言うと、かっこ付き定義文だらけのためにだらだらするのです。救いは「落とし穴はない。」ことと、「意地悪はしない」ことですかね・・・。だから善人と言って、みました。
さて本問に戻りますと、@とAの積み方でレンガを積む。そのときの30段目の一番下のレンガの数をどのように考えたかの説明付きで求める。両方の規則性を調べると、@を選んだ方がAを選ぶより規則性が簡単なので早くできるはずです。
2 理科 塩。宮城県金華山島での鹿(しか)とガマズミ(その小枝を鹿が食べる)の調査記録(高槻成紀さんの論文)を題材にする。
問1 鹿の頭数がどのくらい減るとガマズミの枝が成長できるか。あなたがそう考えた理由を図3と図4のグラフから読み取れる具体的な数字を使って説明する。ここに学問精神がこめられていますね。武蔵中の問題はみなさんをどこか大人扱いしているところが読んでいて好感が持てます。「今、ここでの質問に対する追求姿勢」を問う!後ろに控えている豆知識ではない。グラフを読み解けばわかるのです。がんばって!
問2 @ 本文でオオカミを放して鹿を少なくするという提案が出ています。それを踏まえ、もう少し現実的な工夫を考えてみるという前提での質問。ガマズミの小枝の長さが鹿による食害と直接の関係があるかを調べるための調査の工夫を書く。鹿にガマズミを食べられないようにすればいいのですから、「徹底的にガマズミ栽培地の周りを囲えばいい」のでしょう。
A その工夫でガマズミの成長がどのような結果になればいいかを予想して書く。
問3 3アメリカイエローストーン国立公園における動物植物の食べる食べられるの関係図を紹介しています。残念ながら著作権の関係で図が未発表です。文章内容からはできるかもしれませんが、やはり無理としましょう。それにしても、資料が外国版とは少し驚きました。記憶では都立中で、初めてですね。
![]() 個人の趣向でほぼ2年ごとに全都立中10校から選んだリスト内武蔵中問題言及版です。
あくまで脳トレとして、Cタイプ(脳トレの宝庫)の訪問者さん向けに書いています。
当方、パズル系の問題にはあまり興味がわきませんので、取り上げる頻度が少ない点はお許し下さい。
2018・9・21(金)
1 武蔵中 平成20年 適性2 問題1 モビールのつり合いを最後にあぶらねん土で調節する
普通はモビール問題は私立中入試対策の算数で、次に理科の計算問題で扱われるのです。今回はそういう問題では無視するのが暗黙のルールである、棒の重さや長さまで考慮させる問題にした点がすごい!確かに棒の重さや長さまで考えるとモビールはどちらかが垂れ下がりますし、からまります。からまるのは長さを調節すればよく、棒の重さの調節は現場ではあぶらねん土などの付け方を工夫すれば水平に戻る。ただし、したことがない机上派はここで答えにつまる。実学派の小6が有利となる予定!この問題は、都立中問題は「手を動かす、観察する、実験する」がテーマの一つだという宣言です!
2 武蔵中 2010年(H22) 適性2 問題2 本格的なパンの作り方。
パンの焼き方を科学する!パンの一次発酵、二次発酵の話を自分の家での実演につなげる問題。家庭科問題でもありますかね。
3 武蔵中 2010年(H22) 適性3 問題2 レーマーの温度計とは?アルコール温度計を作ってみよう。
レーマーの温度計の問題。今のセルシウスの温度計との違いを説明して、換算する問題です。換算式を作ってグラフに書くのですが、このグラフが縦横とも目盛りを自分で決めるのです。きっとここで悲劇が起こるのです。
4 武蔵中 2011(H23) 適性1 問題1 変形樹−風力発電の適地を地図に書く。
風力発電とそれに適した土地を探すための地図の問題です。年中一定の風が吹く。騒音被害がでない。その土地は他の利用目的がない・・・などを考慮して地図から候補地を選びます。書く楽しさもあるよい問題だと思いました。
5 武蔵中 2012(H24)適性2 問題1 しじみ、木の実、イノシシの研究から縄文弥生の暮らしを読み解く!
縄文時代の化石、特に琵琶湖の貝塚のシジミ化石、同時代の木の実の研究、鳥浜貝塚から出土したイノシシの年齢比較。これらを組み合わせて読み取れることを書く。いやーよくも調べたものです。地味な地味な学問分野の成果をうまく問題にしています!ノーベル賞とは縁がなくてもこれも学問なのです!
6 武蔵中 2013(H25) 適性2 問題1 よさこい祭りはどのようにしてメジャーになったか?
よさこい祭りはどのようにしてメジャーになったか?を聞く問題。参加者が10000人になるまでの年表というものがあるのです。そこには出来事とその結果の人数変化がすべて記録されているのです。地元活性化に商店会、町内会が中心で始まり、企業が参加し始め、テレビ局が中継し始め、大学が参加し、大阪万博で踊り披露、フランスカーニバル出演、県や市の補助金増加・・・絵に描いたような成功例です。この中から一つ選び、なぜ増えたかを資料2を踏まえ説明する。どれを選んでいいやら!
7 武蔵中 2014(H26) 適性2 問題1 コチ・ダシ・イナサ・ヤマゼ・マゼの風向き?
コチ・ダシ・イナサ・ヤマゼ・マゼの風向き?よく資料を調べましたねー。その学者的良心のかたまり資料に脱帽です。文が長い!長すぎです。しかも資料も多すぎで、どれを選ぶか迷いました。ですが、王道を歩む名作です。
8 武蔵中 2014(H26) 適性2 問題2 南極大陸の氷床から気候を判断
南極大陸の氷床から気候を判断。こちらも南極探検隊の研究まで引用した労作です。ただし、わずか45分でグラフを読み解くのが大変。時間軸ひとつとっても右左が逆になるような読み取りにくさは、大人でも時間がかかってしまいます。しかも対象年が2万年とか1万年です。良問ですよ。良問。ですが、時間が・・・
9 武蔵中 2015(H27) 適性2 問題2 明治大正期の三多摩の農家の1年は大変だった・・・もし東京が首都でなかたらどうなっていたか・・・
明治大正期、三多摩の水車の利用状況を調べた図や表をもとに、北多摩、南多摩、西多摩の当時の様子を聞く。いかにも武蔵中。しかも実態も二重構造で案外複雑でした。陸稲(おかぼ)と小麦と大麦を育てていた北多摩。かいこで養蚕、製糸業の南多摩。森林で木材製材の西多摩。それに水車による米、小麦、大麦の精米・精穀・製粉の時期や量をからめ、なぜそうしたかを問う。厳しい農業の実態がわかる!苦心の良問。
10 武蔵中 2015(H27) 適性3 問題2 グライダーの作り方と飛ばし方
模型グライダーの作り方が前半。主翼、水平尾翼、垂直尾翼の面積・幅・長さを決めるのが模型グライダー設計のポイント。二宮康明さんの著書から引用したすばらしい方法で出した計算式を紹介。興味のある方は「空力中心」などという概念もどうぞ調べて下さい。ここではそこは、簡易化。主翼の長さと幅、水平尾翼・垂直尾翼の面積を出す。次に解答用紙でその設計図を書く。後半はまっすぐに飛ばすための調整方法を答える。どちらの問題も舞台装置が新鮮で読み解くまでに時間がかかります。素直に読んで、いわれた通りに計算したり、推理したりすればよいのですが、そうだとしても、斬新な問題で、当方もその世界に圧倒されました。
11 武蔵中 2017(H29)適性2 問題1 理想の米とは何か?/江戸時代の加賀藩で米は85品種作られていた!中食・外食?
武蔵中名物「地味な研究を掘り出して、出題する」一例。まったく武蔵中はすごい!東京の西の雄!早稲、中稲、晩稲のイネの研究を江戸時代の加賀藩で栽培された全85種の稲の、さらに品種ごとの味の良い悪いを資料に出してきました。どうして早稲には「味が良い」が少ないのに作られているかを説明する。いやー・・・おもしろい!研究の出所、加賀藩のお百姓。江戸時台の篤農家、土屋又三郎。それを掘り起こした武井弘一さん。さらにそれを問題化した武蔵中の先生たち。どの人もすごい!
初稿脱稿 2017/9/28(木)
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