立川国際中と同様、いくら地の利がいい(他の都立中と競合しにくい)と言いましても、南多摩中もきっと(作文以外でも)近々独自問題出題校化します。楽しみにしています。東北端の白鴎中と張り合った問題を期待していますよ!
初稿 2017/8/27 第二稿2017/9/25 第三稿2018/9/17
都立南多摩中 入試問題 勝手に目次
1 南多摩中 2010(H22)
高尾山の野鳥9種類を観察しよう!/わき水の量を5本の木の枝を使って調べよう!
2 南多摩中 2011(H23)
富山市のコミュニティサイクルの社会実験は?/贈り物のハムとベーコンの差
3 南多摩中 2012(H24)
在来タンポポと外来種タンポポの差/江戸時代の「お八つ」はいまの何時?
4 南多摩中 2013(H25)
420きゃくのいすを体育館に並べる。/ゲンジボタルの生息しやすいところを科学する。
5 南多摩中 2014(H26)
富山市のコミュニティサイクルの社会実験/段ボールからティッシュケースを作る
![]() 高尾山の野鳥9種類を観察しよう!/わき水の量を5本の木の枝を使って調べよう
2017・9・15(金)
適性検査2
6問あります。
1
理科 高尾山の野鳥というテーマ。この南多摩中もデビューの年。高尾山の玄関口、八王子駅近くの学校としての面目躍如。オオタカ、カワセミ、ハクセキレイ、コジュケイ、オナガ、カルガモ、ジョウビタキ、オオルイ、ムクドリと9種の野鳥の1996年〜2004年の8年間の平均月別確認数のグラフをもとにした問題です。これまたよく調べた資料ですねー。
問1 6月に野鳥を観察すると観察できる野鳥を可能性の高い順に書く。すると確認数0の野鳥がでるので、もう一度高尾山に行くとしたら何月に行くか。その理由とともに書く。オオタカなどもともと多く観察された月でも8年間の平均で月1羽に満たないのですから、もうオオタカにあわせて2月に焦点をあてるしかないですよね。おもしろいですね。
2
総合(段取り問題) 3年生から6年生までが動物飼育当番を月順にする、その当番表を作る問題。このぐらいの設定だと違和感を感じないで話に入っていけます。段取り問題は無理に作りますので本当に不自然な設定が多すぎます。当方のような大人は申し訳ないですが、まあ、しらけてしまうのです・・・この2番は納得の範囲でした。
4
理科 わき水の水量を調べる方法を質問する。
問1 地面の底からわき出ているわき水を底から出ている水路の流量を利用して量る問題。何と、それなりに長さ、直径などを整えてはいますが、木の枝が5本!えーこれで量るの??おもしろい問題です。
問2 市内のわき水の出ている地点の数が1995年は31か所、2007年には25か所に減っているその理由を資料2・3・4・5をすべて使って説明する。ほそう道路の増加、宅地の増加、生徒さんはこれは書けますよね。
![]() 1955から1970年、クワの栽培面積が年々減少している中、生糸生産量が年々増加した理由 2017・9・8(金)
2017・9・8(金)
適性検査2
7題あります。
1
理科・算数 調べ学習のテーマとしてストローの笛の名人に話を聞く。
問1 最初に電話で挨拶するときに伝えておかなければいけないこと二つ。それを□にあてはめて文を完成させる。
問2 ストローの笛を作る作り方を計算する。問の前半は音楽というより、算数。計算7題。後半は楽ふを見て、それに合うストローの長さを書いていく。ほんの少し、音符が読めなければならない。小学生なら皆出来ますね。むしろドレミにあわせて長さを書いていくのが手間。時間ばかりかかって面倒です。
2
理科 チューリップの球根14個をプランターにきちんと植えていくシミュレーションをする問題。
問1 解答用紙に定規を使ってきちんと書く。
問2 パズル問題。チューリップの球根、赤色6・黄色5・白色3個を、約束に従ってはるお、なつみ、あきよの3人に分けた個数を確定する問題。パズルです。おもしろい(面倒すぎず、てごろ)けれどつまらない(パズル問題そのものと当方の相性の問題)。
3
理科 たまおの夏休みの自由研究のテーマを「カイコと生糸」とし、養蚕業のことをいろいろ質問する。
問1 まゆから糸を作る「ケンネル式繰糸機」を説明し、それに従ってまゆから生糸を作る過程を6枚のカードに書く。
問2 資料2・3・4・5・6から、日本の生糸産業の歴史、養蚕業の農業戸数、クワの栽培面積、まゆの量、生糸生産量、作付面積の変化、5種類のクワの性質、一つのまゆの重さと糸の長さの変化などを読み取る。
問2 その上での質問、
クワの栽培面積が年々減少しているのに、生糸生産量が年々増加している理由を説明する。これはおもしろい問題です。 実際、資料3の15年間で養蚕農家数が激減していますし、クワの栽培面積も微減しています。それにもかかわらず、生糸生産量が年々増加しているのです。普通のことではありません。ですが、資料4を見ると寒さやひでりや病気に強いクワA、クワBの作付面積が増えている。まゆの重さ、糸の長さも10年ごとに少しづつ伸びている。おそらく改良につぐ改良がおこなわれていたのですね。もはや天然繊維そのものが人工繊維に置き換わる時代ですのに、この熱意はすごいですね。「ミネルバの梟(フクロウ)は黄昏に飛翔する」という有名な言葉の第二義(または当方の強引な解釈?)に時代の終わり頃になるとようやく活躍する存在が出現する、とでもいう箴言(しんげん。ことわざみたいなもの)がありますが、それですかね。かつての養蚕業の都、八王子にある南多摩中ならではの名問!
![]() 在来タンポポと外来種タンポポの差/江戸時代の「お八つ」はいまの何時?
2017・5・17(水)
適性検査1
8問あります。
1
問1 理 在来種タンポポと外来種タンポポの発芽の時期に関する問題。資料を読み解くと在来種タンポポは発芽割合60%以上の温度が7度から19度、これに対して外来種は4度から34度まで発芽。つまりグラフの左から右まですべての温度で発芽する。資料2の月別の気温グラフで調べる(仮に平均気温とする)と在来種は3月から5月に60%以上発芽するが後は9月から10月となる。一方外来種は1年中発芽する。解答はここまでなのですが、だから在来種は淘汰されているのか・・・という豆感慨が沸き、横道にそれていく・・・
3
理 まず江戸時代の時刻表示と簡単な説明が1ページ分。江戸の時刻問題は別の都立中で以前にあったので、その意味では再確認。最もこの「お八つの時刻が最もおそい月とそのときの時刻」質問は、おそらく私立中勉強した生徒さんの方が楽だったでしょう。ただし、資料8での12時は南中時刻ではない(江戸=東京。計算すると午前11:45。みなさんご存知、明石との経度の違い。)。計算を12時からすると誤差がでるので要注意。私には再知見 このタイプ、だんだん慣れてくる。
![]() 420きゃくのいすを体育館に並べる。/ゲンジボタルの生息しやすいところを科学する。
2017・9・13(水)
適性検査2
6第あります。
1
社会 1965年から2010年までの「生活用水使用量の変化」のグラフ、1994年から2006年ごろまでの「家庭用水洗便器で使う水量の変化」の表。節水に関する調査の表の3資料から、2000年ごろから生活用水の使用量が減少した理由を説明する。日常生活で小6ならよくわかる話で親しみやすかったでしょう。まあ、全員できたでしょう。
2
算数 学習発表会の横24m、縦28mの会場体育館に420きゃくのいすを並べる問題。数えると13の条件が書いてあります。まあ、13ぐらいは普通でしたね。このタイプの質問は本当に面倒ですな。中味は算数です。パズル問題の一種。
3
理科 ゲンジボタルの生息しやすい環境を考える。
問1 水中の幼虫が陸上に上がる日の特徴を調べる。一つ目、降水量が少なくとも17mmあり、二つ目、最高気温、最低気温、水温が接近していること。この二つを同時にかなえた日がゲンジボタルの幼虫が陸上に上がる日。
問2 環境。@、河川はばを流水はばで割った値が2.0〜3.0。A、植物高を河川はばで割った値が0.5〜1.5の間。この二つか、それに変わる、湿り気の多い空気が風にふきとばされずにたまっている場所であれば、そこがゲンジボタルの生息しやすい環境。何と地道な研究成果でしょう。以上をもとにして、資料7の「景観率(数多く生息できるかどうかの値)」」グラフを見て、生息に不適なグラフ上の点を質問。いやー、おもしろい。こんな地味な研究に興味が出るとは思ってもみませんでした。
![]() 富山市のコミュニティサイクルの社会実験/段ボールからティッシュケースを作る
2016・11・16(水)
適性検査2
6問あります。
1
富山市のコミュニティサイクルの社会実験やいかに?
問1・2 社・算 東京都のコミュニティサイクルという自転車活用のしくみのモデルとして、「富山市の自転車市民共同利用システム」の利用のされ方を問題にしています。富山市は市がおもしろいアイデイアを実際化して町の活性化に努力している市として有名だそうで、なるほど、これもその一例かと、興味津々で問題に取り組みました。
計算結果から見えて来たのは、冬の日本海側の気候のせいで12月、1月の自転車利用はやはり、当然のように低迷。実際の利用は市役所などの公的機関に駅から行く、または帰るのに利用しているのかなーという統計結果などが見えてきました。これだけで何かを言うのは大げさになりますのでストップしますが、大変おもしろかったです。定番の少数割り算問題がここで出されました。
2
段ボールからティッシュケースを作る問題。
問1・2 算 段ボールからティッシュケースを作る問題。
上面の真ん中に長方形のあなが開いている。という設定が難しさのもとで、確かにティッシュケースにはあながありますが、問題の中でのその位置づけが初めよくわからず、この問題の意味するところをわかるのに時間がかかりました。結局、段ボール1・2・3の総面積を出し、作りたい箱ティッシュケースの総面積をだすと、1は面積不足、3は面積には余裕があるが、6つの面がうまく切り分けられない。結果段ボール2しかできない。(2)はあなのあいた面を切り分けるアイデイアに気がつくのが結構大変です。私は時間内にできませんでした。しょうがないけれどくやしいですね。
3
カイワレ大根の発芽実験の実験計画書
問1 理 カイワレ大根の発芽実験の実験計画書
計画書を作るのに、後から日光のある・なしの条件を追加する。その結果、3種類の条件は4種類の条件になり、「全部で計画書の8通りの条件のプリンカップを用意する」はまず2×2×2×2=16通りとなりますが、冷蔵庫に入れることと日光をあてることの両立が無理なので実験できない場合が4通りでき、「空気がない状態は水のなかにカイワレ大根の種をつける」ことになりこれで3通りまた実験できない場合がでるので、16−7=9通りの実験用のプリンカップを用意することになる。おそらくこの9通りを出すことがこの問題のハイライトになるはず。さて、できるかなー・・・ 良い問題
問2・3 理 日光にあてないとき、カイワレ大根は何により茎が長くなったのかを実験結果から説明する。ただ水分と書くのは簡単ですが、実験結果から説明するのがポイントです。
![]() 個人の趣向でほぼ2年ごとに全都立中10校から選んだリスト内南多摩中問題言及版です
あくまで脳トレとして、Cタイプ(脳トレの宝庫)の訪問者さん向けに書いています。
当方、パズル系の問題にはあまり興味がわきませんので、取り上げる頻度が少ない点はお許し下さい。
1 南多摩中 2010年(H22)適性 問題1 高尾山の野鳥9種類を観察しよう!
高尾山で観測できるオオタカ、カワセミ、ハクセキレイ、コジュケイ、オナガ、カルガモ、ジョウビタキ、オオルイ、ムクドリの9種の野鳥の月ごとの観測数を資料とし、6月に観測可能な野鳥を可能性の高い順に書く。観測出来なかった鳥を再訪して観測するには何月がよいか。おもしろいですね。いかにも南多摩中。平成19年の白鴎中問題の東京最西端版!
2 南多摩中 2014(H26)適性2 問題6 理想は16セットのカイワレ大根の発芽実験を可能な限り小学生がしてみると・・・!
カイワレ大根の発芽実験の実験計画書を作る問題。水、空気、温度、それに光の必要性を付け加えた実験をする。付け加えたことにより、理論上は2×2×2×2=16通りの実験用のプリンカップを用意しなくてはいけないのですが、現実は「空気なし」実験は「水あり実験」のみしか用意できないというように、生徒の実験では無理な例がでる。さて・・・。小学生の出来る範囲の実験を調べるとても良い問題です。
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