首都圏の埼玉・千葉・横浜の4校。さらに加えて満を持していよいよ始まった大阪府立の富田林中の問題とあわせて、計5校と、都立中問題の比較対象分析をします。
 まるで宇宙探検旅行でした。驚くような違った地平がそこに現れます!都立一貫中問題とは180度逆転した発想から来る、ビックリの別問題・新問題が続出します!「適性検査ビッグバン」で発生したそれぞれの小宇宙は「何でもあり」だったのです! 
1 横浜市立南中   2016
   さいころをブスッと突き刺すと・・・/ヒキガエルの繁殖行動
  日本の生乳利用の現状は?/観覧車から見た遊園地の地図。
2 横浜サイエンスフロンティア中 2017
   アサガオの開花時間、ソライロアサガオの色水の変化
   インターネットの便利さから生じる問題点
3 さいたま市立浦和中 2016
   名付けて「市立浦和直木賞、芥川賞、ノンフィクション賞」
   今年は、「鳥海山の空の上から」「成り立て中学生 初級編」
   「競技場の芝師と緑の悪魔」の3つの文章が受賞!
   てこのつりあい、花火の音、南半球でのオリオン座
4 千葉県立千葉中  2016
   国際宇宙ステーションの見え方・回り方/図形の2分割
   気球の動いたルートと高度と距離を調べる。
5 大阪府立富田林中 2017
   リンゴを狂言回しにして社会を問う!
都立中では絶対でない、分数計算が出た!
 初稿 2017/7/31
   
 さいころをブスッと突き刺すと・・・/ヒキガエルの繁殖行動 
 まるで宇宙探検旅行でした。驚くような違った地平がそこに現れます!都立一貫中問題とは180度逆転した発想から来る、ビックリの別問題・新問題が続出します!「適性検査ビッグバン」で発生したそれぞれの小宇宙は「何でもあり」だったのです! 
 2017・7・26(水)
 
 あまりの難しさに自力解答に確信が持てない(特に場合の数分野)問題があり、声の教育社解答等を比較参照させていただきました。ありがとうございました。12歳はこれを解けたのですかねー!合格最低点は適性UとVについては100点満点ならいいとこ40点台半ばではないのでしょうか。難しさの証拠に、上述の声の教育社の解答ページが何と13ページありますよ。こんな長いページ数、都立中解答で見たことないです。後の紹介のサイエンスフロンティア中の解説は5ページですからね。
 また、都立中問題によくあるどの科目ともいえない総合とでも分類するよりない問題は今回はありませんでした。
 それと、答えが一つだけ問題のオンパレード!都立中の正反対の解答方法。どちらも適性問題なのですね。都立中問題ー横浜スタイルー私立中問題という観じですかね。あれ、全国はどうなっているのですか?
 付け加えるなら、横浜南中、次の年(H29)は三つだった適性が二つになりました。どうしたのでしょう。減らしますかねー?都立中は雪崩をうつように三つに移行しているというのにですよ!試行錯誤中ということですか?
適性検査U(2) 15題あります。
1  これは面倒な問題です。時間内むりですね。考えるのも空間図形なのでたいていの生徒さん、苦手です。
さいころ4個、9個、27個でできている立方体を一本の直線で貫く問題。
 問1・2  算 正方形一辺2個×2個、全4個の正方形、たて2個×横3個の長方形、たて4×横7の長方形、216個の正方形でできている大きな正方形。それぞれを順番に、できるだけ多くの正方形を貫くような一本の直線を考えます。その数を聞く問題。
 問3 算 前問を踏まえ、全部の正方形が216個のとき、貫く正方形が24個。では、そのときのたての正方形の個数はいくつか。公約数の問題です。
 問4・5 算 問3までの平面図形を立体図形にした問題。今度はさいころ4個でできている大きい立方体、27個、64個をそれぞれ一本の直線でなるべく多くの立方体を斜めに貫くとして、その本数を答える問題です。
 問6 算 たて3cm、横5cm、高さ4cmの直方体で一辺60cmの大きな立方体を作る。対角線が貫く直方体の数を求める。
いやー難しい。長い。面倒。
2  おもしろい問題です。紅茶にレモンを入れるとなぜ色が薄くなるか、から始まる酸・アルカリの中和問題。
 問1 理・算 たて横表を作って酸に対してアルカリ、アルカリに対して酸という風に順番に性質を確定します。その後、いわゆる連比につながる作業をして計算すると20mLの@水溶液に対してE水溶液は96mlという計算がでます。さて、これ、何の実験なのでしょう?ただ、難しくしただけ?おもしろかったですが、結論がいじめ?
3   おもしろい!そして最後はわけわからん!
(1、2、3、4、5、6、7、8、9の数字でできた9桁の数つまり、最低1億2千3百4十5万6千7百8十9から最高9億8千7百6十5万4千3百2十1までの、間がすかすかした数についての質問ですね。
 問1 算 (1)番 600000000に一番近い数を書く。1分でできます。
(2)作ることのできる9けたの数で、12の倍数の数はいくつあるかを聞いています。なんだか私立中の問題です。もちろん、間がすかすかした数の列ですから、987654321を12でわっても意味はないのです。実際には9×8×7×6×5×4×3×2×1=362880通りよりもさらにすかすか版です。12の倍数になるのは3の倍数でかつ4の倍数。ところで1から9までをたすと45ですのでどう並べても3の倍数にはなっているのです。なーるほど、すると4の倍数になる並べ方を調べればいいと気づくのですね。下二桁が4の倍数になるのは16通りでした!
(3)最高9億8千7百6十5万4千3百2十1までの、最も大きい13の倍数を答える。13は素数だからどうあがいても掲載されている倍数表とはつながりません。さーて・・・・アイディアがさっぱり浮かびません。とりあえず降参ですね。987654321は割ってみると75973409あまり4。したがって987654321−4=987654317が制限なしの場合の最も大きい数。そこで、しかたなく、13を引いているうちに該当する答えがでるはず。これ、する?するとしたら、時間無制限にしてくれないですか?
 問1 (4)番 算 作られる数の中で、まず2の倍数。その中の数の平均を求める。えー・・・・この中学すげーな!123456789から987654321までに2の倍数はそもそも  小さい方から 123456798、 123456978, 123457698、 123457896、 123457968、 123457986・・・  大きい方から 987654312、 987654132、 987653412、 987653214、 987653142 987653124 上下合計   1111111110 1111111110   1111111110   1111111110   1111111110  1111111110
 ここまではいい感じの合計です。これでちょうど同数たせるなら、すべて1111111110となるので、後は同数になるかどうかのチェック。次ぎに総数は一の位が2,4,6,8の4つ。残りの8桁の場合の数が、8×7×6×5×4×3×2×1=40320通りで、、4つ×40320=161280通りある。つまり偶数だから先の予想があっている。
 つまり2の倍数はどの前半と後半のセットの和も111111110だから、足して2でわるといいとわかる。結果、1111111110÷2=555555555が平均と出る。
 この考え、大きい方の数と小さい方の数がきれいに足せると気がつくまでに時間がかかります。当方は6セット確認してしまいましたが、まあ、3セットで確信がもてるでしょう。実は当方、最初の3セット目でミスをし、しばらくやり直しをしたりして、すっかりやる気がうせました。時間を空けてやり直したら間違いがわかりました。ここでも時間オーバーの元が作られる。難問だー!
 問2 1,1,2,2,3,3,4,4,5,5の10個から選んで5桁の整数を作る問題。
(1)番  できる整数は全部で何個か。これは完全な場合の数の問題で、結構難しい問題のタイプです。私立中なら上位校の問題です。今の学校教育では正式には高校数学Aでようやく習う問題です。 まず1,2,3,4,5というような全部別な数で構成される タイプA。 1,1,2,3,4で構成される タイプB。 1,1,2,2,3で構成される タイプC。に分けて考えます。
 タイプAは 5×4×3×2×1=120通り。
 タイプBは、まず1,1のような組が全部で5通り、どの場合も5桁にばらかすと10通りの場合がある。1,1を決めた後に残る3つの桁には残った4通りの数字が、4×3×2×1=24通りあるから、このタイプの合計は 5×10×24=1200通り。
 タイプCは、最初に一つだけの数が5通り、入る桁が5通り、つまり、25通り。その後、Bタイプと同じ考えで最初の1,1にあたる場合が4桁でばらかし方が6通り。そのとき残った2けたに最後の2,2タイプが自動的にあてはまるので、この件では場合は増えないのです。ありがたい。つまり、Cタイプは 5×5×6×6=900通り
。  結局、 A+B+C = 120+1200+900 = 2220個 となる。12歳で、これだけの思考が連続してできるのですねー。尊敬です!
 問2 
(2)番  (1)の中で、3の倍数はいくつあるか。ここまでくるとほとんど息切れします。前半で、5桁で3の倍数になる組み合わせを考えます。何とこれで17通りあるのです。問題1のタイプA(12345)が1通り。タイプBが4つ(12234、23445、11235、13455)。タイプCが12通り。(11223、11334、13344、22344、11355、12255、22455、34455、11244、11445、22335、23355)
 タイプAが5×4×3×2×1=120通り。  タイプBが10通り×3×2×1=60通り。  タイプCが5×6=30通り。
 したがって、A+B+C = 120×1+60×4+30×12 = 120+240+360 = 720個 となる。
 ゆっくり考えればできますが、時間制限45分で解く問題ではないですね。第一、時間でせかされたら、おもしろくない。第二、場合分けはしくじるのが前提のような問題。修正しながら正解を出す醍醐味が感じられない。暗記にしたら本当につまらない!訓練ではなく、考え抜く力を持つ生徒さんが欲しいのではないのですか?じゃーおまえならどうする?ですね。いや、制限時間を2倍にして下さい。少し違うタイプの子が受かりますよ。ジックリ型は国の宝になります!
 問3 
理  ヒキガエルの繁殖行動を科学する問題。ヒキガエルが池をめざすときのよりどころは何(てがかり(信号)はどここら来るか)か。3つの仮説をたてて科学するのです。仮説1 天体からの信号、 仮説2 池からの信号、 仮説3 通る道筋からの信号。 おもしろいですねー。実験した後、最後に図3でヒキガエルの行動した方向がレーダーチャートに示されているのですが読み取り解釈を間違えると、せっかくのそれまでの理屈の積み上げが無駄になりますので、気をつけてね!
 ふー・・・終わりました。適性2。この学校の算数はどの大問をとっても、後半までを45分で解くのは無理な問題です。まあ、順番に難しくしてあるのですし、前の問題は後ろの問題の解法のヒントなのですね。入試本番では、この適性2は理科から解くべきですね。算数はできるところまですればぎりぎり合格ねらいができるのでしょう。いや、問題はおもしろかったですよ。
 理科は酸・アルカリ問題と、ヒキガエル問題、都立一貫中の普通の良問レベルです。
 ただ、正解は一つだけ、しかも解答の仕方は記号や、ずばり数字そのものを記入。都立中のように「原則、解は複数」にはならない点も印象的。記述式なら部分点がありますが、できたかできなかったかだけなのは私立型。そうか、公立一貫中にも様々な進化形があるのですね。たぶん、この中学は、横浜市内の私立難関中を意識して出しているのでしょう。栄光中、聖光中、ですか・・・神奈川県、へたをすると都内以上の受験圧力の中、満を持して5年前から登場したのですから、都立中型の適性試検の弱点、面倒さ、不十分さを研究した上でこの形にしたのでしょう。これはこれでおもしろい存在主張ですね。がんばれ、横浜スタイル!
  日本の生乳利用の現状は?/観覧車から見た遊園地の地図。
 2017・7・26(水)
 
適性検査V(3) 9題あります。
   問1・2 歌川広重の東海道五十三次をかるたにした読み札と取り札の絵。その組み合わせから考える問題です。有名な絵もあれば、あまり見たことないなーという絵もあります。最も当方、永谷園のお茶漬け袋のおまけで知るレベルですので、知っている生徒さんはよかったですねー。
 ところで、岡崎城や京都の三条大橋、知名度が今一つです。細部がもう少し鮮明なら城の絵はすぐわかります。岡崎そのものがどこか?で迷う生徒さんがいたかもしれません。徳川家康の生誕地でわかりますかね。結局たいていの生徒さんはできたでしょう。問題としては絵もあり、歴史知識を基礎とした「あてっこ」でもあり、おもしろかったです。
 問3 (1)番 算 江戸時代の算木の使い方の問題。23×17の計算を例として図示し、同じ手順で57×29を計算する問題。算木問題は都立中でも出題されたことがあります(平成20年、桜修館中)。
 (2)174×14の手順が書かれた8つの図を並べ替える問題。
 (3)答えが4823になる算木の上下の2けたの数字を書く問題。実質4823の素因数分解問題。この問題3はあわてなければ簡単です。
2  1905年から2010年までの5年刻みで表された日本の「生乳(しぼったままの牛の乳)生産量」の表とグラフを読み解く問題。なぜか1905年から始まるのですが、その年は資料がないのです。おしまいが2010年ですから、1910年から始めるとちょうど100年です。それでもいいでしょうに。1905年からあえて始めるというこのこだわりは、原資料のせいなのでしょうか。それとも日露戦争が関係しているのかも知れません。また別な歴史のおもしろ豆知識につながりそうですね。いずれにしろこの問題も気合いが入っています。労作。
 問1・2 生乳の生産量の増加や減少と、関東大震災、太平洋戦争の始まり、高度経済成長の始まり、石油危機との関連性があるのですねー・・・戦後の学校給食も関係するのですか。そして、2000年をピークに生乳生産量が減っているのは、すでに理由がわかっていることですね。ここでは扱っていません。次に生乳の加工方法3つを説明しています。当方も、「へーそうなんだ」と改めて知りました。とてもおもしろい良い問題です。ぜひ実際の問題をご覧下さい。ここでは割愛します。
 問3 2011〜2013年のデータである、都道府県別、生乳生産量、生乳移出量の一覧表を見ての社会科の計算問題。これが難しいのです。つまり、適性2と同じで、時間無制限なら一つ一つチェックして解答にたどりつけますが、何しろテストは全部で45分しかないのです。どうやりくりしてもきついのです。解くには「見当をつけて」「計算対象の県の数を減らす」ことしかないのです。関東地方で生乳生産と生乳移出量の関連性を考えると、生産量ベスト3の栃木、群馬、千葉のみにしぼって少数割り算をするしかないのです。およその数で処理もできます。とはいえ、疲れます。
 最後に北海道の生乳の処理の仕方の質問で締めくくられています。X、Yの解答について記憶していることを書きますと、こうなっているというより農林水産省の指導により北海道は生乳は利用せず、加工品を生産する、生乳は本州より南の担当とする、というふうに棲み分けているのではなかったでしょうか。酪農家そのものの危機の前にはたぶんどうしようもないらしいです。違っていたらごめんなさい。
3  総合的判断力を試しているのでしょうが、問題1など、「遊園地=楽しい」から大きく外れたマニアの世界。お馬鹿な男の子の世界観まるだし。誰だ?この問題を作った奴は!まあ、いいか・・・それはそれで。
 問1 遊園地で、「いろいろなアトラクションにできるだけ多く乗る」ための計画を立てる問題。全国で出まくっている「遊園地・遠足問題」の一種です。問題の世界そのものがどうなんでしょう。加えて、今回は乗れるアトラクションなら何でもいいからできるだけ多く乗るのです。きっと何かの罰ゲームなのでしょう。そのための計画を練るのです。結果、何度も何度もコーヒーカップやメリーゴーランドに乗るのです。かなり馬鹿馬鹿しい。乗り物酔いしませんか?これはテレビでよくやっている「全国勝ち抜きアトラクションゲーム」とでもいうものです。
 問2 ジェットコースターの平均の速さを求める問題。この「平均の速さ」という概念はのちのち中学、高校、と大切になり、最終的に数学の「微分」という分野につながる重要テーマです。ジェットコースターのグラフを調べて考えさせるのはなかなかいいアイディアですね。解かせる中味は、5秒ごとにチェックしてグラフにメモした速さ25回分をまず足して、次に平均を出す。ほぼ二桁の足し算を25回させるのです。隠れメッセージ、「計算スピードが遅い生徒さんは当校には縁がありません。」ですね。問題はいいのですよ。粘る子もとりませんか?公立中なんですから!
 問3 観覧車から見えた周りの景色をメモし、そのメモと8つの会場図をつきあわせて正しい図を選ぶ問題。こういうタイプはさっさと始めるに限ります。そして、解いていくと、「あれ、この観覧車は右回りなの、左回りなの?」。当方、観覧車に乗った経験はそれほどないので困りました。両方の回り方があったような気がして、最初からまごまごしてしまいました。右か左かすら本文からはわからない。説明文を読んでいるうちに初めてどちらかがわかります。慎重に慎重に読んで○×を図につけていけば正解はできます。これをすばやく正確に判断した生徒さんが合格するわけですか・・・なら、うからなくてもいいぞ!と言いたくなる当方・・・いかん、いかん。
   アサガオの開花時間、ソライロアサガオの色水の変化
  2017/7/26(水)
 横浜南中H28年問題の後に横浜サイエンスフロンティア中を解いて見ました。サイエンスフロンティア中の入試初年度のせいかもしれませんが、難度からするとずっとやさしく、無理がないなーと思いました。都立中と比較すると雰囲気が似ていて、解が一つだけタイプです。適性Uの一番はアサガオの開花期の問題も、ソライロアサガオの色水の問題もおもしろかったし考えさせられもしました。作文が横書き指定なのも新鮮。
 
適性検査T(1) 6題あります。
   問1 算 (1) 江戸の時刻の決め方。不定時法の現代の時間との比較。夏至と冬至で昼の一刻は夏至の方が約何分長いか。
(2)玉川上水の工事がなぜ難しかったかの理由を20〜30字で書く。
(3)有名なグラフ、「1957年から2014年までの主要電化製品の普及割合の移り変わり」と、「1966年・1973年・2014年間のエネルギー消費量の使い道と移り変わり」の帯グラフ、「1995年から2014年のエネルギー消費量の変化」の3つの資料から主要電化製品の、まあ、栄枯盛衰を聞く問題。2015年まであるのは、さすが今年度の試験!この2015年まであるせいで、B番目の資料がエアコン、電気冷蔵庫、液晶型テレビの省エネルギー技術の進化がはっきり理解できる表になっています。そしてもちろん、この省エネ技術のことまで聞く問題になっているのです。なるほど、あの有名なグラフの最新版は省エネとからめていく問題になるのかーと感慨深かったです。
 ここまでの3題、横浜サイエンス中のデビュー問題ですね。いろいろな公立一貫中の過去問と同じ視点でもあり、違う視点も問う。はずれるかも知れないけれど来年のサイエンス中ではこの3題のような有名な問題はもうださないでしょう。
 後半はインターネットの問題。脳神経外科医、築山節(たかし)先生の書いた「フリーズする脳」からの文章。
 (1) インターネットにより、知のありかたが変わって、「知識は覚えるものでなく、その場で消費するもの」になった。しかし、それでいいというのは甘い考えで、暗算をしないで、計算機を使えたからといって高度な数学的思考ができるわけではない。インターネットを使えば創造的なアイデアがわき、創造的な仕事ができるということはない。享受しながら、、依存しすぎることなく、脳機能を使う機会を意識して補う自己管理が求められる時代だという趣旨。素晴らしい観察眼です。
 この話を、200字〜255字で内容紹介するという問題はいいですね。内容紹介、それでいいのですよ。ここに自分の体験をからめるのが都立中問題の典型。12歳の体験談は当方はいらないこと、聞きたくもないことだと思っております。書く方もそんなにあれこれ体験談などないのですから!これでいいのですよ。
 (2) 最後に、科学技術の発展の問題点として、「科学技術の発展の結果、現在ひろくつかわれているものを一つ取り上げ、自分の考えを書く」問題。250字〜300字。(1)も(2)も横書きなのが新鮮。
   インターネットの便利さから生じる問題点
  2017/7/26(水)
 
適性検査U(2) 13題あります。
   問1・2・3 理 アサガオの開花を調べる。アサガオの開花条件がどうやら「日の入り後の光を浴びていない時間が一定以上ある」ことらしいのです。ですから、開花は日の出より早く、夜中に咲き始めているのですか!何となく「朝はもう咲いている」ことは知っていますが、9月中旬で夜中の2:30に開花とは意識していませんでした。日の出直前ぐらいの印象ですね。ここで文章を読んでいて、自分の雑な理解とのずれに驚きました。小学校の理科の典型例ですと、日照時間が長くなる、短くなる、温度が上がる、下がるが条件だったはずですので、この、「光を浴びていない時間」が条件というのは新鮮です。
 次のヒント、明け方の気温と開花時刻の関係の表が、またしばらく考え込ませる。あれ、この表はたて軸が原因で、横軸が結果になっている。普通は横軸に原因因子を置き、縦軸は結果因子でしょう。そんなところで、なぜこうしたのだろうかなどと考えてしまいました。中味の結果もいい感じでばらついているので、ここから明け方の気温が21℃のときと26℃のときの開花時刻を予想するのにまたもたつくだろうなーと思いながら、統計学や理科でのお約束の「中間に直線を引く」をしてみました(この約束は中学校で習うのではないかなー)。小学生はどうするのでしょう。理科部の子が有利?
 なるほど、生徒さんも、解いていて、思考がとまることがこんな風にあるのです。無駄な空回りをどう防ぐかが、合格へつながる王道ですね。
 問4 理 5鉢の中で1つだけが開花してなく、つぼみから咲き始めるところなのは、この鉢にどんな仕掛けをしたのか。この実験観察の日にちが10月中旬の昼休みだと問題冒頭に書いてあるのですが、それも探して、少しまごまご。それなら暗くなってから8時間10分(これも夜中1;30−17:20の計算の結果)したら開花だな、「当日午前5時頃に暗室に入れる」と5+8=13時、午後1時ごろ開花、今昼休み、それだ!答えは4だ。解答までの途中経過、あらすじの中継です。この一問でもけっこう疲れました。
 問5 理 問題は1ですが、実質全く別問題。ソライロアサガオの色が咲いているときは青色で、つぼみやしおれた花は赤紫色なことから、酸、アルカリとソライロアサガオの色の関係を実験で確かめる問題。良い問題でした。暗記項目はリトマス試験紙の色と酸・アルカリの関係だけ。いかにも適性問題。
 さて、始めて見ると、そもそもソライロアサガオの花の色水は中性ではないらしいのです。実験4で色水100mLとうすいアンモニア水1mLで中性になるとわかります。つまり普通の状態の色水はほんの少し酸性。実験3から色水が青色になるのは4mL色水に対して、アンモニア水1mL加えたとき。実験2から塩酸を加えると赤紫、赤、うすい赤と変化していくから、ソライロアサガオは酸−中性−アルカリ性でいくと、左からうすい赤、赤、赤紫、?、青、青緑、緑と変化していくことがわかる。ただし、ちょうど中性の時の色は確定できません。うーん・・・気になる!
 (2)実験終えた試験管Bは中に、色水4mL、塩酸3mL入っている。これを試験管Cと同じ青にするために加えるアンモニア水の量を計算して求める。実験@より中和の当量点は塩酸:アンモニア=4:3なので、4:3=3:□から、□=1.5mL。実験Bより、色水が青になるのは、色水:アンモニア=4:1より、4:1=4:□、□は1mL。したがって1.5+1=2.5mLが答え。
 わかるけれど、頭使ったー・・・知識でなく、その場での比較、分析、総合の繰り返し。
 問5 算 (1) 市松模様の正方形の模様の数を数える。(2)縦3個、横4個、高さ2個の市松模様でできた直方体を斜めに切った断面で立方体は何個切れるか。そのうち黒は何個か。よくある空間図形問題ですが、結構慎重に上の段、下の段と図を書き、通った直線を書き、数を数えます。一定の時間がかかりますね。同年の横浜南中の3段の問題と比べたら、2段だから、できないわけではない。
2  
 問1〜6 燃料電池の問題。資料が一気に1から9まで紹介されています。その後に問題群が6題。問題4のみが計算問題です。130km走行すると、ガソリンエンジン車の方が燃料電池車と比較して二酸化炭素の排出量がどれだけ多いかを具体的に計算する問題。それ以外の問題は易しすぎかも知れません。1、3、5、6は本文を見ないでも解答可能でした。よけいなことですが、計算の基礎で、ガソリンエンジン車の燃費を1Lあたり10.4kmとして計算させています。今の時代ですので、実際に走行しているハイブリッド車だとその倍は楽に走ります。すると燃料電池車の方が不利とでます。この話、第二幕がありそうですね。
   今年は、「鳥海山の空の上から」「成り立て中学生 初級編」「競技 場の芝師と緑の悪魔」の3つの文章が受賞!、名付けて市立浦和直木賞、芥川賞、ノンフィクション賞!
  2017/ 7/30(日)
 
適性検査U(1) 25題あります。
 
  45分でです。最初の大問3つは国語長文読解です。知識ではなく、素直に中味を聞く問題です。良い問題ですよ。スピードを出して読み、一読でさっさと答えるのがこつなのです。読書スピードの遅い生徒さんは端から無理です。だからこそ、25題も出す。文化系スピード競争タイプ。
   毎年恒例です。とても良い文章なのです。以前から読むのを楽しみにしています。その意味で市立浦和中名物なのです。この出題の個性はとてもいいです!裏話。業者模擬テストは「市立浦和中」対応テストがしにくい。業界の大手「公中験」テストに浦和対応はないのです。きっと著作権がネックなのですね。
   解答の指定の仕方で、4題は「適切でないものを選べ」です。中堅上位の私立中問題みたいです。
  1  
   問1〜5 国 三輪裕子著「鳥海山の空の上から」の一部を読んで答える問題。普通の私立入試問題の物語り系。簡単。ただし、適性テストTの全分量の中での解答なので、読み直す時間がないだろう分、読むスピードが要求されます。
   2  
   問1〜5 国 ひこ・田中著「なりたて中学生 初級編」から、算数と数学の違いについての文章を読解する問題。
   3  
   問1〜5 国 スポーツライター増島みどりさんの「競技場の芝師と緑の悪魔」の一部を読んで、緑の悪魔とは何かなどに答える問題。
   問1 社 前のオリンピックが行われた1960年代の様子を聞く問題。
   4  
   問4の1〜4 社・算・ 参政権が18歳になることをきっかけに、選挙制度について調べると言う問題。
   5  
   問1〜4 社・算・ さいたま市に関する問題。さいたま市内の地理が関係していますので、むしろ興味深く体験しました。素人目には岩槻区・見沼区・緑区がひとかたまり。西区・桜区・南区が次、そして、さいたま市の中核はやはり大宮区と浦和区。グラフや表からはそんな有様が浮かび上がってきますね。岩槻区の昼間人口が夜間より多いのは何が原因なのですか?元岩槻市はたしか通る鉄道が東武線でしたよね。
 
   てこのつりあい、花火の音、南半球でのオリオン座
  2017/ 7/30(日)
  適性検査U(2) 20題あります。45分でです。この適性Uは私立中受験勉強をした生徒さんが有利です。類似問題が次々にでています。市立浦和中の受験生は東京とはまったく違って、私立公立同時学習がしやすいと判明。これもまた一つの方向性なのでしょう。最もこれは近未来の私立中の出す適性問題のモデルなのでしょう。
   では、良い問題だったかというと、練りが足りないと思いますよ。公立中の問題を解いて、「あーおもしろかった」と生徒さんに言ってもらうのが当方の考える適性問題の理想なのですが、その視点では落第です。既視感ありすぎですよ。
  1  「もとちょう牧場」見学・体験活動の行動計画表を作る問題。
   問1 総合・算   「もとちょう牧場」見学・体験活動の行動計画表を作る問題。
   問2・4 算   消費税が計算にからむので、少し気を付けて下さいね。消費税は値段の合計に対しかかる点うっかりしないで下さいね。ですから問4は500÷1.08を先にしておいて、元の値段が合計463円までで調べましょう。メインメニューを「牧場スパゲッティ」にすると後のサイドメニューが120円だとドリンクメニューのどれを選んでも最終500円を越してしまいます。サイドメニューで100円のスープを選んでも合計が500円超す場合がでます。この一例を落とさないことですね。
   問5・6 総合・算   ?(ヘクタール)の質問です。haを?に直します。40分×2=80分搾乳するので、どうしても分数計算になります。問6は休ませる乳牛の頭数を引いて計算して下さいね。こういう割合なのかな、と豆知識をもらいました。
   問1 総合・算   私立中入試で良く出ていた典型問題です。まとめて3.14の計算をして下さいね。
  2  理科のてこの問題。よくある私立中入試の左右つり合い(モーメント計算)問題です。字と図がくどい。だから適性問題なのですが、知っている受験生が多い問題のときはこれを読む生徒と読まずに解答する生徒の時間差はけっこうあります。簡単。
  3  理・算 花火の光と音を計算する問題。これもよく私立中入試ででています。
   問1・2・3・4 算 速さ・距離・時間の計算をして下さい。簡単です。いいすぎかもしれませんが、適性問題としてはねりが足りず、不適切。言いたいことは、私立中受験生が得な問題だということです。たぶん、それでいいという方針に思えます。市民の税金で営む学校の入試としては、よい度胸だ!私立受験生優遇かよ!ワンパターン問題出すなよ!などの文句でません?(??言ってるのはおいらだけか・・・昔埼玉に住んでいたんだぞ!)
  4  理 月食の問題。 南半球での太陽の影の移動の仕方。南半球でのオリオン座の見え方。これもよく私立中入試ででています。
   問1・2・3・4 理  月食の始まりには地球の影が月に写り始めるのですから、地球の公転方向から、スケッチの左側からかけ始めるのです。
  5  理 魚の行動範囲を調べた観察記録を読み解く。
   問1 理 魚の頭部の動いた後のマス目の数を数える問題。活動の実態がわかるということでしょうね。それ自体はとても良い問題です。ただ、けっこう時間がかかります。こういう問題でいたずらに急がせるのはいかがでしょう。時間を生徒さんにもう少しあげませんか?やはり45分は短い。
   問2 理 はだいたいの直感でわかります。2秒から5秒まで大きく動いているでしょ。
 
   削除するファイルの容量を計算する/高齢者の事故の実態
  2017/ /31(月)
  適性検査V(3) 3題です。
   資料を提示し、その資料から読み取れることを書き、自分の意見・提案を少し披露する。こんなところが文章記述系の適性検査問題の理想ではないでしょうか。何しろ12歳への要求ですから。てごろな良い問題だと思いました。
 問1 算・総合  学校のコンピューター環境の問題。太郎君の在籍している学校として生徒全員で30GBの情報量を保存出来る環境設定がしてある。生徒は240人。ここからは自主計算。従って、一人あたり125MB容量がある。これから高齢化社会に関する調べ学習をするので、新たに作成するファイルを保存するために20MB使うので、容量を空ける必要がある。現在太郎君は120MB使用中。すると、不要なファイルを削除して105まで下げる。120−105=15MB。ここからが実質的な取り組み。AファイルからJファイルまでの10のファイルのうち、動画は消さない。削除するファイルの数は出来るだけ少なく。この条件だと・・・とうとう出始めましたね。今風問題です。メガやギガという用語が日常の割りには小学校算数にまだ登場しないのが不自然ですね。まあ、出口ではこんな感じで質問に利用されはじめたのですね。
 問2 社・総合 国民生活センターの「医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故−高齢者編平成25年3月28日版」の3種類の資料から、高齢者の事故の特徴と事故を減らすために有効な手立てを具体例を挙げながらまとめる問題。よくこんな資料があるし、探してきますねー。そう苦労しないでも、事故が起こった場所は家、けがの程度は中等症、事故のきっかけは、誤飲・誤嚥、転倒、転落。以上から、65歳以上の方が20歳以上65歳未満の人の割合より高いことがわかります。これを元に対策を書くのはそれほど難しくないですね
 問3 総務省、財務省、内閣府の5つの資料から、高齢化社会の問題点とその解決策についてまとめる。300字以内。「高れい化」「負担」「年金」「収入」「仕事」の5つのキーワードから3つ以上を使う。資料自体とキーワードである程度誘導されている感じがします。要するに「働けるうちは、できるだけ働きましょう」という方向性です。それでいいというか、しかたないと当方も思うのですが、それは12歳にとっとはあくまで解決策の一つ。少しせばめすぎでは・・・
   国際宇宙ステーションの見え方・回り方/図形の2分割
  2017・8・1(火)
   
適性検査T(1) 13題です。
 問1・2・3・4・5 社・算・統計処理・道徳 郵便局の職場体験 から手紙を手書きするかどうかの統計。統計を比較してりかさんのまとめが適切かどうかを判断する問題。
 問1・2・3・4・5 北陸新幹線特集(2016年のトピックス)というか、きっかけにした一連のごった煮問題。
 地理・歴史・鯖江のめがね作り特集。ふつうにまじめに読めば、点はとれます。ここは逆に落とさないようにと祈るばかり。もう過去問になってしまっていますので、どう書いていいかよくわかりません。越前和紙が奈良時代の昔から副業以上のもてはやされ方をしていたことを改めて知りました。鯖街道も問題にされると改めておもしろかったです。
適性検査T(2) 16題です。
 問1・2・3・4・5・6 理・算 国際宇宙ステーションや人工衛星の回り方問題。
国際宇宙ステーション、ようするに「人工衛星の人間乗ってる版」です、が地上からどう見えるかを質問。これ、めちゃくちゃおもしろかったです。当方がこの話をまじめに考えたことがないからのせいですね。図も上手でした。角度が付属しているので、理解しやすかったです。何だ、こういう説明順序でいけば理解できるぞ!
 もし見えれば、1等星ぐらいの明るさで、飛行機と違って点滅しない。地上400kmのところを時速28000kmで回っているとすると、計算すると1時間半で1周する。地球の半径を6400kmとすると案外あっさり計算ででました。最後に8時間で一周する極軌道衛星の飛び方をメルカトル図法らしき図でたどる問題。  いやーこれはおもしろい、!極軌道衛星のスタート位置を東経150度の赤道上とすると、2時間後、東経120度で南極点に到着。図面上は左下で一回消えるのですが、直ちに西経60度になって再登場する。いやー、うすうす気づいていた経緯が、自分で書き記すことでなるほど!と腑に落ちました。ありがとうございました。すっきりしました。知識の中で見たことある図だがただ見たことあるだけの図でした。そのぐるぐる回りの理屈を体感できました。
 問1・2・3・4・5  算 平面図形の2分割問題。なるほどなーという問題で、これも新鮮でした。。
 直線で囲まれた4つの図形を2分割する問題。4つとも回転移動で説明できます。
 問6・7・8・9・10  算 長方形に2本の直線を引き。正方形に直す問題。もともとの長方形がある整数の累乗(同じ数を2度かけた整数)になる場合のみでできています。
   気球の動いたルートと高度と距離を調べる。
  2017・・8・9(水)
 
適性検査 U(2)−2  気球の問題が特におもしろかったですが、どれもいい問題ですね。さすが、千葉県の総力をあげた問題。「解いておもしろかった」要素もおおいにあり、好感が持てました。解答は一つタイプ。
 問6 理   野菜についての調べ学習から、特に「冬のホウレンソウは甘い」問題に集中しています。
 改めて知ると、ホウレンソウは11月1日に種をまいて、12月20日に収穫したりもするのですね。花芽が出る前に収穫するのは葉がかたくならないからだそうです。さらにホウレンソウは収穫前10日間の平均気温が5℃以下の低い気温だと葉に含まれる糖分の重さが増す。結果、冬のホウレンソウは甘いのだそうです。へーですね。どうやら糖分を多くすることで凍るのを防ぐらしいです。水に他のものをとかした水溶液の方が凍りにくいことと関係するようです。これらのことを踏まえて、ビニールハウス栽培で収穫できる大きさにしてからビニールハウスを開け、外の冷たい空気を入れ、甘いホウレンソウを作る方法を書く問題。なかなかおもしろい豆知識です。
 問2の問3 社   A市の観光客を増やす方法を考える問題。紹介されている図が、名前は知りませんが、最近よく見る図です。説明を試みてみると、長方形を縦に二分割、横に二分割し計4分割する。横左にA市内部の観光と関係する要素、右にA市外部の観光と関係する要素を書く。縦上にA市の観光につながる要素を、縦下にA市の観光を妨げる要素を書く。すると何が問題なのかが分類されてわかりやすくなる仕組みの図です。理解不能なら過去問集見て下さいね。で、生徒さんが埋めていくと新発見があるという設定の問題です。読んでいて、うん、なるほどねと思いました。こういう細工を取り入れながら議論していくのはいいことですよね。新知見でした。
 問3の問3 (1) 理   気球を暖めるとなぜ浮くかを理屈で説明する問題。物体が水中で浮くのと同じ原理だと最初にお父さんが夏夫に説明します。うん、いい導入です。空気にも重さがあるのかと夏夫は聞きます。そりゃ、そうです。水と違うのは、はるかに軽くて普段重さを感じないこと、温度による膨張度がはっきりと違うので、温度によって単位体積あたりの空気自体がどんどん軽くなること。従って添付されている空気の温度と1?あたりの重さのグラフが紹介されています。気球の体積が2000?、機体の重さが480kg。このあたりの想定は後の計算が楽になるようにしてありますね。12℃のとき、気球は2000?メートルの空気を押しのける。グラフで計算すると、たまたま2480kgの空気。これが機体の重さを支えるだけ軽くなればいいのだから、2000kgになるといい。グラフからだと80℃とわかる。つまり気球内を80℃に暖めるといい。え、予想より温度が高いものなのですねー・・・勉強になりました。
 問3の問3 (2)(3)(4)(5) 理   気球の動いたルート(方向など)と高度と距離を調べる。気球は上下には動かせる。水平方向は風まかせ。だから高度を調節して違う風をとらえて移動する。すると上下方向の速さと、水平方向に流される速さの二つの要因をうまく調節して着地点を目指せる。
 これを資料2は気球自身のスピード調節できる上下動の操縦結果を1から8までにわけて記録。資料3はそのときの高度と吹く風の方位と秒速。資料4は結果として離陸から着陸までの経路図。この3つを駆使して、水平方向の移動距離をグラフに記す。
 いやーこれ時間かかります。わかるのですが、うまくチェックしていかないとメモだらけ、時間かかりまくり。何しろ、経路図のABCD・・・と飛行船の操縦記録1〜8とは一致しないのです。風の吹く高度次第で気球は8方位のいろいろな方位にながされるので、どこが「方位の変化点」だったかわからなくなるのです。本当はABCDと1,2,3,4・・・の途中確認点は統一してくれなくては、・・・最もそこが出した方の作戦でしたね。この問題はたぶんうまくノート整理しないと当方のようにハッとと気づくと2時間たっていたとなってしまいます。しかも(5)は合わないじまい。エーイ、くやしい!
   リンゴを狂言回しにして社会を問う!
  2017・・8・1(火)
 
適性検査U(2) 28題です。社会・理科融合問題と自主的に記されています。やさしくても28題あると忙しい。
 問1・2・3 社(1)は量と率の違いですね。いい問題なのです。適性試検ではしょっちゅう形を変えて問われています。統計の理解の問題ということです。・算・統計処理・道徳 郵便局の職場体験 から手紙を手書きするかどうかの統計。統計を比較してりかさんのまとめが適切かどうかを判断する問題。
 問1・2・3・4・5 社 リンゴの話をきっかけにして、理科・社会の広範な分野の質問に誘導しています。江戸末期の説明のまちがいを探す。明治期のできごとを古い順に並べる問題。りんごを対象にした理科の観察、知識、そしてなぜ沖縄ではりんごは栽培できないか。京都見物、京都を題材にした地理問題、再び歴史で、刀狩りの意味。また理科で酸・アルカリの判定に適したものの理解。二酸化炭素の性質。上弦の月の見え方。最後はモビールでのつりあいの問題。
 まあ、いったりきたり、理科と社会のバラエティー番組のような問題。けっこううまく小学校の理科・社会のかなりの範囲をカバーしています。これでいいのではないでしょうか。難しい問題はほとんどありません。最後のモビール問題は算数の比の問題ですね。普通ここまでバラエティーに富んだ内容だと、問題番号を分けて出しますが、どうどうとすべてリンゴ問題の一部で押し切ったのもすごい!
   都立中では絶対でない、分数計算が出た!
  2017・8・4(金)
 
  適性検査V(3) 17題です。算数的問題と自主的に記されています。けっこうこなれた、今現在の、準難関私立中問題といってもいい問題です。スタートの3題はださなくてもいいのかもしれません。だしてもださなくても同じ問題はいずれ無意味化するでしょう。2、3、4番はいい問題です。
 問1・2・3・4・5 算 基本中の基本問題です。当方のように東京都で仕事している者にとっては驚きのスタートです。
(1) えー!!!分数計算だ!
(2) えー、そのまま計算問題だ!
(3) えー、トーナメントの試合数問題そのままだ!
(4) うん、ようやくそれっぽい問題が始まった。
(5) あれ、これ私立中学入試対策学習で有名な比と面積の問題だ!
(6) 何か、秘密があるぞ、あー横一列を合計すると45、その下の段は45×2、45×3・・・・わかった!
 一番は、学校の基本中の基本の計算問題から、私立中対策でないと知らないかもしれないちょっと訓練が必要な問題。ふーん、こんな出題、都立一貫中では絶対に出さないぞ!都立中の出題基本方針として意地でも出さない問題をさらっとだしてしまった!そんな感じです。
 問1・2・3 算 (1)的当てゲームを題材にして、的の半径を反比例を利用して解く問題。的の面積と点数が反比例。すると半径×半径と得点が反比例。半径を□とすると、□×□が36とでるので、半径6cm。(2)出せる得点の出方の種類が何通りあるかを求める問題。0点の存在を忘れると大変です。もう一つ、U案では得点が9点になるのが2つ出ますので、要注意です。場合の数が一つ減ります。
 問1・2・3・4 算 (1) 富田林高校の校章を題材にした図形問題。最後の方はなかなか難しいです。(3)まではふつうに解けます。
 問1・2・3 算 (1) 容積問題の一種。グラフが第一のポイントです。6回傾きが変わっています。そのうち、最後の横線(y=55)は、水があふれているグラフとすぐわかります。次に5つ残っているグラフの変化(傾き)のうち2つが同じ、3つは違うということは、@、Dは直方体をはりつけていないところと気づきます。
 (2) 従って、A、B、Cの3カ所が直方体がはりついているところとわかります。傾き方を調べると水の深さの深くなり方(一種の速さ)がAは@の3倍、Bは@の1.5倍、Cは@の2倍とわかる。これは直方体でじゃまされていない、水が入る部分が反比例でAは3分の一、Bは3分の2、Cは2分の1。これで(2)の図が書けます。
 (3) その図の斜線は全体の12×11分(ぶん)の48だから、176000?にかけると64000?と出ますね。
    
 結局この大阪府問題も解答は基本「一つ」なのです。不思議でした。都立一貫中があれほどこだわっているいくつかの基本方針は、ものの見事に「無視」されています。
 冒頭に書きました、別な小宇宙にワープし、それなりにその世界を探検しました。  中でも、横浜サイエンスフロンティア中のソライロアサガオ問題、さいたま市の長文を題材にした問題。千葉県の極軌道衛星の問題や気球問題、富田林中の容積問題など、印象的な良問でした。
 一方でまたしても思ったことは、45分の制限時間では厳しい場合が多すぎです。横浜南中などはいい問題ですが、その典型例です。45分にこだわるあまり、おそらく多くの塾で、しなくてもよいバイパス解法を開発しつつあると思います。それで生徒さんに残るのは本質と関係ない一時的な対策術です。時間を45分より延ばして、もう少し骨太な正攻法で解いていく生徒さんと向き合っていただけますと、おおげさですが、日本の将来に資すると思っております。
なお、この首都圏版は対象校の範囲を今後拡大する予定です。
資料    
 公立中一貫校適性検査問題集2018版(みくに出版発行)によりますと、
 全国47都道府県中、未掲載県が8県あります。富山県・山梨県・愛知県・岐阜県・三重県・兵庫県・鳥取県・島根県です。
 掲載公立中は全部で116校です。(大阪市立「咲くやこの花中」のように掲載されていない学校があります。)
初稿脱稿  2017/8/04(金)