2022 いりや画廊 個展 「雲根」 展示風景 
 
 床に展示している作品は、白御影石。
 壁のレリーフはキャストガラス。


禅僧の漢詩資料である『中華若木詩抄』に、
「雲ハ石ヨリ生ズルニヨリテ、石ヲ雲根ト云ゾ」とあります。

高い山の岩にぶつかった水蒸気は、命を得て湧き上がり、
さまざまな形に変化していきます。
それが雲だというのです。
つかみどころの無い雲の根源、つまり「雲根」は、
正反対に圧倒的な存在感をもった石なのです。

そこにあることはわかっているのに
触れようと手を伸ばしてもすり抜けていく「何か」を表現するために
今回は「雲根」をテーマに選びました。

硬い石を磨き上げずに輪郭が作られ、曖昧と確かさが背中合せに
共存する石彫作品。

キャスト鋳造した塊を削り、磨いて形を作る過程で、生み出される半透明の色と
滑らかさ、そして形が一致することで生み出される
触覚的な気体感を感じるガラス作品。

この二つの素材が融合されることで、ゆっくりと時を刻む「雲根」空間を
創出しました


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