漢検準1級合格体験記
〈準備編〉
![]() 少し鼻持ちならない話も出てしまいますが、怒らないで読んで下さい。本当は私が知りたかった、けれど本にも、インターネットにも、他人の話にもなかった情報を出来るだけ書きました。読んで下さる方が私と似た性格の方でしたら必ず役にたちます。 ちなみに、漢検準1級の問題を初めて見る方、こんな問題はどうでしょう?
@ 炭火を埋ける A いやというほど B いまいましい C かやぶき D たつみの方向
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![]() こういう些末な情報が必ず役に立つと思います!
![]() まあ、そういう意見もあるとご容赦下さい。
![]() 振り返るとこの本が市販の問題集の中で一番薄い本でした。漢字の選択眼、語句の解説がある点もなかなかでした。準1級の熟語は辞書で調べても意味不明が多く、他の本で始めていたら投げ出していた気がします。各分野の始めにある、「対策」もよくわかっている人が書いていて味があります。わずか90ページ。普通なら本にならない量。これが幸いでした。 何と、285日かけていやいや一回目を仕上げたのです。つまり、ほったらかしていて、時々見、1年近くするうちにようやくお終いまで見たわけです。普通なら手前でその本は終わっていますが、ねばってみるものです。知らないことだらけでした。知らない度合いが半端ではありませんでした。完敗。この年でこれほど知らない世界もあるのか!が感想。しかし、この一冊を仕上げたおかげでこの世界に入ることができました。
![]() 本格。@の3倍の内容量。ABCの区分けがいいのです。Aで1冊、BCで1冊、あわせて2冊が合本になっていると思うべきでしょう。ただし、AにしろBCにしろ繰り返しページがくどいかもしれません。もっとも最初は夢中でそのことにすら気がつきませんでした。この本を始めたらなかなか終わらないのであきてしまいましたが、当分この本のみを仕上げてよそ見しないのが得策とがまんしました。付録の字体が教体なので書くときに参考になって助かりました。点数に普遍的根拠はありませんが、うまくすると@とこのAで120〜140点は取れるのでは。
![]() 再び完敗。ほとんど読めなかったのです。それほど本格ですが、試験対策向きではありません。例:前半の1017字の確認ページには二次熟語はあるが、四字熟語はない。試験ではなく学問向き。例えば「胡」を「えびす・あごひげ・なんぞ・でたらめ・ながいき・みだり」と6つも訓読みをあげ、例文で、「元気で胡きしたいものだ」とあったりします。6つの言葉の関係を考え始めたらさぞおもしろいでしょう。1017字の全体を知りたい、時間無制限の人にはむしろお薦めの本。話の種が一杯つまっています。
![]() 同じ出版社。Cは他の形式内容もあるため、11回。Dは純粋に予想のみで15回(15回とは、漢検本試験5年分!)。2冊は内容的には重なっていません。これはいい。ただし、最初に使う本ではないと思います。@A終了後の記憶力の平原状態を維持するのに大変よかったです。人間誰しもストイックは長続きしません。毎回点を出せて一喜一憂できるのが何よりでした。
![]() とにかく必需品。やみくもに解かず、戦略を考えて、この勉強開始時に1回か2回分を解き、他の本での学習を終えたときにまた1回か2回を到達度確認に使う、最後の仕上げに1回か2回取っておく、というやり方をしました。同じ回を二度目にするときは明らかに点が上がり、それがやる気のもとになりました。
![]() 字の最終確認に必需品。「一度は凝った、字の細部!」おそらく受験経験者の全員がこの種の共通体験をしているでしょう。また、四字熟語掲載ページは複写してトイレの壁に貼ったりして役立てました。
![]() 意味がわからないときには当たり前といえば当たり前ですが、この本の検索率は極めて高いです。しかし、今の時代これでもIより面倒でした。広辞苑等は漢検には対応していないので検索率低く、お薦めできません。
![]() この製品そのものは紙の辞書より便利です。ただし、まだ世の中に出て間がないせいか、本当の引き易さには至っていません。例えば広辞苑と漢字辞書間のジャンプ機能がないのでどちらかで出ていない場合、同じ字を二度打つことになります。両方ともに目的の読みが出ていないことも多く、検索できなかったときの徒労感といったらありません。時間と勝負しているなら、辞書引きは余暇と言わざるを得ません。この中の学研の「漢字源」辞典は常用漢字の表外読み分野で漢検とまったく相性悪く、出ていないとわかってからは時間が無駄なので辞書はHもIも引かないことにしてしまいました。一番いいのはHの漢検辞書がこの電子辞書に搭載されることです。
他に、私は購入せずに過ごしてしまいましたが、漢検「四字熟語辞典」もあるといいです。ただし、ここまで並べると本だけで1万〜1万5千円かかります。検定受験料や電子辞書までいれると相当になります。高校生大学生及びその保護者なら漢検準1級ではここまでは「しない」、「できない」、「考えない」でしょう。私も一回目に落ちて後に引けなくなってから漢検漢字辞典はしぶしぶ買いました。辞書は、あの厚さと集める労力を考えれば安い物だとわかってはいますが、門外漢には絶対的値段とでもいう尺度で言って3200円そのものが高い。辞書というものは常にそうです。
![]() 1年前、保護者の方のお一人から職場に「漢検準1級を貴会場で受けられるか」と問い合わせを受け、身近に準1級を考えて実行している人をそのとき初めて知りました。先にも書きましたが、たぶんそのことが頭の隅にあって、本屋でひょっとして万が一これを勉強すれば受験出来るか(いくら私が厚顔でも「合格」ではもちろんありません。そこそこの、おそらく100点以上ぐらいはとれて格好がつくかどうか)と、一番薄い本を買って、始めた次第です。私の人生でこの薄さの本を読了するのに1年弱もかかったことはありません。普通は通読をとっくにあきらめています。ついでですが、「禿、親爺、鬱、癒す、脳溢血、頸椎の捻挫、癌・・・」など私の年代にピッタリの漢字が続出しており、おかげで書けるようになりました。「いつでも来い!」の心境・・・最初の二つ三つはもうとっくに来ていますが・・・
![]() 自分のことは棚に上げて言わせてもらうならば、漢検は高校もしくは大学卒業時点で2級を持っていれば社会生活には十分です。準1級以上には実用性はほとんどありません。メリットがあるかもしれないグループは明治以降をカバーする立場の現代国語の先生達、出版・雑誌・新聞・マスコミ関係者でしょうか。塾の教師もお守りとして持つといいかもしれません。あとの人には、準1級ともなると「趣味」の一言でいいでしょう。 だが、趣味では若者には訴えません。私自身、「死者との対話」と自嘲しながら始めました。この勉強をしても成果を話す相手がいません。まれにしゃべっても敬して遠ざけられるだけ。話し相手は、なくなった人と「戦友」か「真白き富士の峯」が歌える人。山本夏彦の気分です。始めたころのいやいやな気持ちは忘れられません。 ただ、英検・漢検・数検の準1級を横に並べ、かける時間と合格のし易さを比べると、この漢検準1級が一番効率がいいかもしれません。ということは、大学の推薦を貰うには狙い目の試験ということになります。このことは高校受験における漢検3級や準2級にもいえます。2級をとった中学生の話を身近で二人聞いています。やればできるといういい例でしょう。ただし、それはまれでもあります。証拠にその話は「ニュース」として伝わってきています。なお、私が使った本は@ABCDのどれも2級用も出版されています。
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