英検準1級合格体験記
〈後編 英検準1級からの道 2〉
 300〜500ページ時代  300ページ越すときついです!
300選の発行の時期と重なりましたが、2005年から2006年にかけてはしばらく厚い本にこだわってみました(1)。おもしろそうでも300ページ未満の本は後回しとしてみました。あこがれの大作に挑戦です。そうしないと薄い本につい手が出るためもありました。分厚いペーパーバックを前にしたのはいいのですが、結果通読に3週間以上かかることになり、読みこなす術の修得とでも言えばいいのか、長丁場の過ごし方に苦慮しました。たとえおもしろくても日本語の本に比べれば圧倒的に時間がかかり、その間の頭のスピードと現実のずれのやり場がなくなるのです。3週間もかかって一冊ですから情けない。つい家人に途中経過のあらすじをしゃべっていやがられたものです(今風の表現なら「空気が読めなくなってしまった!」)。
(1) 分厚い本(既出と重ならないもののみ) Angela's Ashes / The Accidental Tourist / The Joy Luck Club / Saving Cascadia / Chocolat / White Teeth / Key of Light / About A Boy /
 ジャンルについて
あたり前ですが、私のような中年のおじさんが300選の主たる読者であろう20〜30歳前後の女性対象のハーレクイーン物やチックリットをおもしろがるのは厳しいです。映画とのタイアップも多すぎます。この紹介本は少し軽めの本かなーと思っているといつの間にやら新着映画紹介に登場している。あやしい本も手が出にくい。サイコパス系はだめ。悲しいものもだめ(未だにアンネの日記やE・フランクルやロードオブザフライに手がでない。)・・・本当に普通のおじさんです。そんなわけで300もあるのに、意外や、次の選書に困り始めました。
今読んでいる英書を読了しかかるころにいつも次の選書を考えて、少し大げさですが、身もだえしています。候補を何冊も探し、あれやこれや、迷いに迷う。しくじると2週間前後が空回りになるからですし、途中で投げると未達成感がどうしても残るので、したくありません。それでも50ページまでで投げ出した本がずいぶん目につきだし、目障りで困ります。「そのうち読むからね」と家人に言い張り、私自身にも「ちょっと一休み」と弁解したりとごまかしてはいるのですが・・・(まあ、読まないな。)
 私がおもしろかった本
私が面白かった本の例を上げてみます。ここらが私にとっての今後のヒントでしょう。
Snow Falling on Ceders / A Matter of Honour / Gone South / The No.1 Ladies' Detective / Frost At Christmas / To Kill A mockinbird / The Machine Gunners / Where The Heart Is / Da Vinci Code / The Eagle Has Landed / The Door Into Summer /
どれもストーリーが意外性に満ちていてはらはらどきどきしたものです。心理描写系ではありません。暴力ものもだめ。いってみれば、子供っぽさが残ったままの読書です。酸いも甘いもかみ分けた読書ではありません。そんな微妙なニュアンスを理解するほどにはそもそも英語理解がついていかないのですからしかたありません。
 私がつまらなかった本
The Other Side Of The Midnight / Master Of The Game / The Bad Beginning / Madame Doubtfire / In Cold Blood / Saving Cascadia / White Teeth / Key of Light / About A Boy / Love And Glory / Mackenzie's Mountain
 一作者一作品にこだわってみて
ここまでとにかくいろいろな英書の傾向に触れてみようとの思いから、ハリポタやカニグスバーグのような例外はありますが、「同一作者は一作」をわざと原則にして来ました。そのことで読書の幅を確保した気はします。連作の場合、次がおもしろそうなときも読まずに先に取っておくことにしました。ですが、今回この振り返りをしていて「同一作者は一作」などというこだわりも終わりに近づいていると感じました。そろそろおもしろかった作者にもう少し目をむけます。
 二作目は楽し  ひょっとするとこのために今までがあった?
またフロスト警部に会おう、相変わらず働き過ぎているのかねー。ジェフリーアーチャーのジェットコースターのようなストーリーにひたれるか。マッキャモンの濃いキャラクターにびっくりしたい。プレスリーのそっくりさんにはびっくりしたぜ。もう一人にはもっと驚いた。ラモツエはどうなった・・・結婚したか?マコートはアメリカへ渡ってどうした?まだおなか空かしていたのだろうか?ハリーはどうなる、世界の名作で終わって欲しい。ずっこける危険が少しあるからね。カニグズバーグの不思議な主人公達!今度はどうぶっとんだ子を出してくるんだろう。
 身長の2倍が見えてきた!  2倍目の前半がきつい!
さて、身長の2倍の英書という伊藤サムさんの提言を一つのゴールとすると、今1.5倍まで来ました。私はこの後は上述の二作目、三作目作戦で後約80センチメートル読むつもりです。
それにつけても、2倍とは実にうまい節目だとこのごろ感じます。
第1に、とてもではないが、すぐできることではないからです。1倍は勢いで何とか行きました。しかし次にもう一度この分量を読むとわかったときは残りの量の多さに正直がっかりしました。さりげない言葉の裏に意外に壮大な仕掛けが待っていました。プロの卵の方でも2倍までは3〜4年はかかるようです(1)。私は途中寄り道していますので平坦ではありませんが、気づくともう7年目に入りました。
第2に、どの方も途中経過がいろいろあって結局相当広範囲なジャンルをカバーすることになるに違いない。2倍までには量も範囲も、そしてたぶん質もそれなりにたどり着いているはずです。中身が専門中心か、娯楽中心かは別として・・・
第3に、これだけ読めば、「趣味」と言えるでしょう。ただし、最近私が振り返ってつくづく思うことは、私のような普通の人間にとって、経験則上「趣味はいつか必ずあきる」ということです。自分の周りを見渡しても、趣味を公言しても、何に夢中になっていてもほとんどいつの間にか、やめていることが多いです。
ですから、この生活も身もだえしている今が旬かも知れません。なぜなら、2倍越した頃に何を考えているか少し見当がつきはじめたからです。今書くなら、きっと「なーんだこんなことか!」と言うに違いない。もう一つの可能性として「楽しくてしかたない」とまだ言っているかもしれないですね。ポイントは「面白そうな本」をその時点でどれだけ確保しているかです。
(1) 参考にさせていただいたのは、伊藤サムさんのホームページで有名なジャパンタイムズ記者の高原さんの例です。彼女ですら、身長の2倍=301cmまで3年10ヶ月かかったそうです。ところで、翻訳本はなぜ原書のペーパーバックより分厚くなるのでしょう。500ページものだとたいてい上下2分冊になります。そんなに分量あったかなーといつも不思議です。日本語の方が長くなるのでしたっけ?
 英書読もう運動の中で
自分の経過を振り返ろうと書きながら、この稿の最後にインターネットでいろいろ確認しました。今や「英書読もう」は一大運動になっていますねー。楽しんでいる方が本当に多い。それも急に増えたのはこの5年ですねー。たとえば、酒井さんの運動は賛同者の方々の努力でいつの間にか驚異的にリストが増えてきています。すごいです。いつの間にか、SSS方式のグレード8・9・10が各100冊近くなっています。これだけあると壮観です。私の体感では、紹介本が4冊あると1冊読む見当かなーというところ。前述の紹介本にもないものも増えています。ますます期待しています!
 たどり着いたら高校生
インターネットの世界はいやなら誰もアクセスしてこないのですから逆に少々の偏屈はお許し願えるものとして今回も掲載しました。
特に「読むこと」に特化すると、書くことと違い、読むことは創造性の面で2次的なため、人に訴える手段が少なく、今までのマスコミにはとびきりの読み手は別として、普通の人のこの手の文は登場しようがなかったと感じます。インターネットはこの種の情報がうまく引き出せるいい媒体ですね。アマゾン等の感想欄、本当に感心する内容が多いです。「野に遺賢あり」という言葉を思い出します。
ところで、この後編の本当の題は「英書読もう運動参加、中年版、普通人の一例」でしょうかね。エッ?本の選び方の中身がまるで中高生みたい?そうそう、自分でも中高生のころと似ているとつくづく思っているんです。たどり着いたら高校生ですか・・・孫悟空のようですね。もっと口の悪い人は「英語病の一種」といいますね。まあ、上記の「おもしろかった著者の他の本」「児童書」「ハリポタの7」などを駆使しても私はまだ2年はかかりそう。還暦とどちらが先になるやら・・・
今回もここまで読んで下さった方、本当にありがとうございました。もし読んでくださった方に英検準一級を目指している方がいらっしゃいましたら、心よりのエールを送らせていただきます。
 
(初稿 2007年7月7日)

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