鉄板の面白さ!「児童書300選」
〈その5〉
読書通信「アトレーユ」 61号
   数の辞典 てのり文庫編集委員会編 (1989)
1から100までの数と関係あることがらを順に並べていった辞典です。19なら富士山が見える都道府県の数で、何と京都府からも見えるとか、64は一番字画の多い漢字の画数だとか・・・
   二分間の冒険 岡田淳 (1985)
主人公小6の悟(さとる)は居残らされてあすの映画会の準備。体育館での拾い物を保健室に届ける2分間の間にネコのダレカに「竜のいる別世界」へ導かれる。「ダレカを見つけろ。おれはこの世界で一番たしかなものの姿をしている」という不思議ななぞとともに。
   まんが百人一首辞典 山田繁雄 監修 竹本みつる 漫画 (1983)
昔の人の喜びや悲しみの感情がうたわれた百人一首は、カルタや教科書で誰もが必ず目を通すのですが、一部の人しか通にならないものです。私も門外漢の一人でしたが、今回のこの漫画はちょっと昔のベストヒット100を聞くようで・・・おもしろかった!
   続あしながおじさん ジーン・ウェブスター (1915)
前作「あしながおじさん」のジェルーシャ・アボットの大学の親友サリー・マックブライドがジェルーシャのいた孤児院の院長になる。孤児院には暗い雰囲気と時代遅れの評議員と、頑固者の医者と幸せを待つ111人の子どもたちがいる。原題『 Dear Enemy(親愛なる敵さん)』の敵とは?
読書通信「アトレーユ」 62号
   ジャングルの少年 チボール・セケリ (1983)
アマゾン川を進む汽船が突然船底に穴があいて、難破する。乗客30名は岸にのがれたが、食べ物すらない。そこへ一人のインディオの少年が助けに来る。名前はクメワワ、12才、そう、12才!
   くだもの王国 さとうち藍 文 松岡達英 絵 (1987)
さくらんぼ、イチゴ、びわ、うめ、もも、あんず、すいか、メロン、なし、ぶどう、くり、かき、りんご、みかん・・・・についてのおもしろい話が満載。イチゴとキイチゴの違い知ってますか?アーモンドは扁桃(へんとう)という桃の実。寒いところに甘柿はできない・・・
   びりっかすの神様 岡田淳 (1988)
主人公、木下始。小学4年生。転校した先のクラスはテストの成績順に席が決まっていた。自己紹介のとき、始の目にはとんでもないものがいきなり見える。びりっかすの神さまだ!始の席は一番後ろ、びりの席。びりをとるたびにこの神さまが飛び回る。
   砂漠は生きていた 高田勝 (1989)
小さいときから自然が大好きで、ついに根室に移住してしまった著者が、全長15pしかない世界最小のサボテンフクロウを見るためにアメリカの砂漠に行く。期待しなかった砂漠は何もない所どころか、生き物の宝庫だった。砂漠が始まったとたん、鳥の声だらけ!
読書通信「アトレーユ」 63号
   さんすう文庫 全12巻 藤沢市算数教育研究会 著 秋玲二 絵 (1986)
@ 数の探検  A じゅもんは九九  B 分数のたべ方
小学校の算数を、とってもおもしろい読み物にしています。万や億や兆のずっと上の位の無量大数g本当に0が68個付きで書いてあったり分数の説明がわかりやすくのってたりします。
   漫画で学習 『奥の細道』を歩く 萩原昌好 編 山口太一 画 (1989)
中学の国語の教科書の時間に必ず習う、『奥の細道』のまんがによる紹介です。そういえば、矢立て初めは千住大橋のほとり。詠(よ)んだ句は「行く春や鳥啼(な)き魚の目は泪(なみだ)」。時も場所もピッタリですね。山口太一さんの画風もなかなかですよね。
   ニムオロ原野の片隅から 高田勝 (1979)
前号で紹介の高田さんが自然を求めて根室の牧場に牧夫として住み込むところから始まる。牧場生活は体験してみると自然を求めるひまもないほど厳しい。トラクターが湿地に落ちる。朝は早くから父しぼり。昼は一日重労働。夜はくたくたになり寝るだけ。
   ヘリオット先生奮戦記 上・下 ジェイムズ・ヘリオット (1972)
イギリスの田舎で新米の獣医として仕事を始めたヘリオット先生。牛や馬の病気をうまくなおせればいいけれど、そうはいかないときもあるさ・・・新米獣医の見立てに農場主たちの目は厳しいが・・・やがて一人前になるまでのユーモアあふれる話。
読書通信「アトレーユ」 64号
   さんすう文庫 全12巻 藤沢市算数教育研究会 著 秋玲二 絵 (1986)
C まほうの式  D おかしなおかしな計算  E なんでもはかろう
Cでは25のうまい使い方がわかります。DではSEND+MORE=MONEYというふくめん算が紹介されています。Eにはいろいろな面積のはかり方が出ています。算数を「本で読む」のもいいもんだよ!
   三国志(さんごくし) 全3巻 羅貫中 原作 竹崎有斐 文 白川三雄 画 (1989〜90)
今から1800年前の中国。漢の国が乱れて黄巾賊(こうきんぞく)が都にせまろうとするころ。漢王朝の末裔、劉備玄徳(りゅうびげんとく)に名をあげ家を興す機会が訪れる。義弟関羽(かんう)、張飛(ちょうひ)とともに五百の手勢をひきいて旗あげする。さあて・・・
   日本の地理 朝日ジュニアブック 高橋伸夫・鳥海公・船津政裕・田代博 文 (1988)
写真とイラストで見る日本地理です。水田が大貯水池の役割も果たしているという説明はP40の写真を見れば納得。鳥取砂丘がどういうものかはP66。水島コンビナートの姿はP72。神戸港のポートアイランドはP84。牧ノ原台地はP110。などなど、興味深い写真だらけ。
   モグラの鼻、ゾウの鼻 小原秀雄・谷川雁 (1990)
詩人の谷川さんがシカ、クマ、タヌキ、ネズミ、リス、ウサギ、モグラについてユニークで、鋭い質問をするのです。動物学者小原さんの答えがまたすごい。ゾウの鼻が長いのは頭を動かさないためで、それは、エネルギーを節約するためで・・・
読書通信「アトレーユ」 65号
   さんすう文庫 全12巻 藤沢市算数教育研究会 著 秋玲二 絵 (1986)
F 時計で算数  G はやさのひみつ  H つみ木であそぼう
 
Fには、通過算・旅人算・時計算・・・の紹介があります。Gでは星形マークを五芒(ぼう)星形といい、その比が黄金比(1:0.618033・・・)とわかり、Hでは積み木っくずしのクイズがおもしろい。
   ぼくの板前修業 田村平治 (1988)
29号の「ぼくはコック長」が西洋料理なら、今回は日本料理です。有名な料理屋「つきじ田村」を経営する田村平治さんの修行を通して、一流の料理人になる道がよくわかります。ところで、あなたは料理人のお昼ごはんは誰が作るのか知っていますか?
   おもろいヤンキーつむじ風 西村宗 (1990)
60号のアメリカ留学の話の反対で、アメリカの女子高校生をホームステイさせた体験記です。題が「おもろいヤンキー」とあるとおり、優等生とは正反対のアメリカの普通の女の子の行動にあきれて、驚いて、怒って、やがていじらしく感じ始める・・・
   法隆寺を支えた木 西岡常一 (1978)
飛鳥時代に建立されてから1300年の間、法隆寺はヒノキによって支えられてきた。そのヒノキを分析すると、1300年を経た法隆寺の柱材は、何とヒノキの新材と強度が同じなのだ!ヒノキ以外のスギやマツやケヤキでは1300年ももたない・・・
読書通信「アトレーユ」 66号
   さんすう文庫 全12巻 藤沢市算数教育研究会 著 秋玲二 絵 (1986)
I 図形がおどる  J 数のせいくらべ  K 算数ゲーム
Iには、相似、線対称、点対称そして面対称!まで書いてある。 Jにはいろいろなグラフや以上、以下、未満の話が、Kには魔法陣(まほうじん)やケーニヒスベルクの橋のことがのっている。
   馬のゴン太の背にゆられ・・・やったぜ!日本縦断2600km
島崎保久 著 関屋敏隆 画 (1985)
話は昭和41年。当時大学生の島崎さんが112日間かけて北海道から鹿児島まで馬で旅をした日記。馬は道産子(どさんこ)のオス5才。ところで島崎さんは馬にのれないのだ!
   チャレンジ漫画 日本の産業 西川治 監修 (1990)
@ 米作り編宮城県小牛田町のササニシキを開発するまでの話と山形県高畠町で有機農業に未来をかける話。
A 野菜・くだもの編松島市平田町のイヨカン栽培農家の話と嬬恋村の高原キャベツの話。
B 畜産編北海道苫小牧での乳牛牧場の話と茨城県八郷町の養鶏場の話。
どれもいい話だよ!
   雨の動物園 私の博物誌 舟崎克彦 (1975)
ヒキガエル、コウモリ、トカゲとヤモリ、コジュケイ、犬・・・とう目次を見ていくと少し以前の東京の郊外に普通にいた動物達だと気が付きます。母を7歳で失った著者の子ども時代の気持ちが身近の動物を語るなかから伝わります。そう、雨の日の動物園!
読書通信「アトレーユ」 67号
   さんすう絵本 割合 新居信正・荒井公毅 (1990)
@ 割合っておもしろい  A 割合をとく
算数の中でも小5から登場する割合の世界はみんな本当に苦手です。この本はその難しいと思っている割合の問題をすらすら解けるようにする魔法の本です。大推薦です。
   墓どろぼうの話 たかし よいち (1970)
著者のたかしよいちさんは考古学をわかりやすく説明する有名な作家です。この作品は著者が17才のときに自分たてだけで古墳を発見した本当の話です。後に稲荷山古墳(熊本県)と名付けられます。そういう名誉ある話なのになぜ墓どろぼうなのかねー?
   チャレンジ漫画 日本の産業 西川治 監修 (1990)
C 沿岸・養殖・栽培漁業編   D 沿岸・沖合漁業 編
Cの「ルビとイクラのサケ物語」はサケの立場でサケの一生がたどれるというユニークな話。「東京湾は生きている」は東京湾の魚業の話。Dの「太平洋のビデオレター」はマグロ漁業。「土佐のカツオ一本釣り」は・・・わかるね!
   チップス先生さようなら ジェイムズ・ヒルトン作 菊池重三郎訳 (1934)
イギリスのパブリックスクールって知ってるかい。日本で言えば6年一貫の私立の男子中学ってとこかな。チップス先生はそういう中のあまり目立たない一つの学校で42年の間ラテン語の先生だった。セピア色の写真の時代が光輝き出す!そういう話だ。
読書通信「アトレーユ」 68号
   ことわざ事典 英文つき 仲野和正 文 毛利将範 絵 (1990)
ことわざ事典はたくさんあります。どれでもいいから一冊持っているといいよ。今回紹介の本は説明スペースがゆったりしているし、仲間のことわざや、英語ことわざまである点でおすすめ。
   川は生きている/道は生きている/森は生きている 富山和子 (1978〜81)
この三冊の本からは、自然破壊について考えさせられる一方、昔の日本人の知恵のすばらしさにも気づかされますよ。
   呉書 三国志(さんごくし) 全3巻 斉藤洋 (1990)
@ 将の巻−孫堅伝  A 王の巻−孫策伝  B 帝の巻−孫権伝
今回の三国志は蜀の劉備玄徳たちの立場ではなく、呉の孫堅一族の立場で書かれています。父孫堅、兄孫策、弟孫権にそれぞれ「将」「王」「帝」という字をあてているいところなど、うますぎますが、すでにほかの三国志読んだ人は読まなきゃ損だよ。
   動物と話せる男 宮崎学のカメラ人生 塩澤実信 (1989)
主人公宮沢さんは中学卒業とともにカメラの部品工場で働きだす。そのときの縁で初任給3.5ヶ月分の値段のカメラを買い、偶然のチャンスからムササビを写した写真が月間アサヒカメラに入選する。そのことがどれだけ後の支えとなったことか・・・
読書通信「アトレーユ」 69号
   がんばれ赤スズメ 唐沢孝一 (1989)
スズメは何年生きることができるか知っていますか。スズメが桜の花をちぎることは知っていますか。どうして人間にこんなに近くて安全に生きていけるのでしょうか。知らないこと多いねー。
   化石のなかの生きもの辞典 小畠侑生 (1990)
イチョウ並木の葉が散り始めました。そのイチョウは「生きている化石」なんだそうですよ。伝説の中に出てくる竜の話をよく調べてみると今から6500万年前ごろにほろんだ首長竜(エラスモサウルス)とよきう似た形になるそうです。ハテナ?
   まんが 覚えておきたい俳句100 小林清之介 編 山口太一 漫画 (1987)
「石仏誰が持たせし草の花」「赤とんぼ筑波に雲もなかりけり」「おりとりてはらりとおもきすすきかな」「親よりも白き羊や今朝の秋」「とどまればあたりにふゆる蜻蛉かな」「啄木鳥や落ち葉をいそぐ牧の木々」・・・いいねー・・・どれも秋の句だよ!
   李陵(りりょう)−史記− 久松文雄 画 久保田千太郎 作 (1989)
今から二千年前、漢の軍人李陵は北方の宿敵、匈奴(きょうど)討伐にわずか五千の、それも馬を持たない歩兵を従えて出撃。苦労を重ねて胡地に到達し、匈奴軍をさんざんに破るが、衆寡(しゅうか)敵せずついに捕虜となる。武帝怒って一族を殺戮(さつりく)する。これを知った李陵は・・・
読書通信「アトレーユ」 70号
   まんが 覚えておきたい短歌100 萩原昌好 編 山口太一 漫画 (1987)
「春過ぎて夏来たるらし、白たえの衣干したり天の香具山」「向日葵は金の油を身にあべてゆらりと高し日のちいささよ」「金色のちいさな鳥のかたちして銀杏散るなり夕日の岡に」「新しき年の始めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事」・・・いいねー・・・
   コロンブス物語 古田足日 (1990)
「1492年、コロンブスがアメリカ大陸発見」という歴史の必修暗記事項があります。それからまもなく500年がたちます。コロンブスから後のアメリカ大陸はどうなったかについてこの本はいろいろなことを考えさせます。
   ナイルの流れのように ハムザ・エルディーン作 中村とうよう訳 (1990)
ハムザさんはウードという日本の琵琶に似た楽器の奏者です。あの有名なアスワンハイダムの下に沈んだ村に生まれ、電気技師として社会にでた彼がなぜ今日本にいるのか・・・?
   アンナプルナ登頂 モーリス・エルゾーグ作 近藤等訳 (1957)
人類が初めて登った8000m級の山がアンナ・プルナです。エルゾーグはフランス隊の隊長として僚友ラシュナルと登頂に成功するが、下山の途中で凍傷にやられる。そのうえなだれにまきこまれ、靴と手袋まで失う。はたしてキャンプに戻れるか?
読書通信「アトレーユ」 71号
   むささび「モモ」の卒業式 舟崎克彦 文 津田かつみ 絵 (1990)
東京都檜原村(ひのはらむら)を流れる南秋川でキャンプをしていた久留米市下里小5年1組は偶然であった死にかけたネズミに似た動物を持ち帰って育てたところムササビの赤ちゃんだった。全員で共同して育て、名も「モモ」とつけクラスのペットになるが・・・
   三国志(さんごくし) 全3巻 園田光慶 画 久保田千太郎 作 (1988)
すでに三国志は二度紹介しましたが、今回は漫画版です。作者が違うと物語の細部が少し変わります。例えば呂布(りょふ)の死の場面がこの漫画版ではとても印象的です。孫策の亡くなり方も他とは違います。そういう違いを比較しながら読むときっとおもしろいよ。
   雨月(うげつ)物語+春雨(はるさめ)物語 上田秋成 作 松崎仁 訳 (1768)
雨月物語の9つの短編はだいたいが不思議な怪奇小説です。ぞくぞくと寒気を感じたい人には最高です。寒気がいやなら「夢応の鯉魚」という、夢で自分が鯉(こい)になって泳ぎ回る話は?
   聖書物語 山室静 (1976)
アダムとエバ(イヴ)の話や、カインとアベル、ノアの箱船、バベルの塔の話、アブラハムとイサク、エジプト副王ヨセフの話、モーセの出エジプト記、シナイ山での十戒(じっかい)・・・など旧約聖書と新約聖書の話が親しみやすく紹介されていますよ。

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